#川柳みずうみ連作20句『見知らぬわたし』
海馬さんが主催された「#川柳みずうみ連作大会」に投句した20句連作です。
川柳連作20句『見知らぬわたし』
そのままの身体を脱いで墜ちてゆき
湿り気を含む全てを否定した
からからに添い寝をすれば花が咲き
満たされたシンメトリーで失った
さざなみに名前を聴かれ忘れても
モラルだけ少し遅れて加速した
遠くから濁った声に叩かれて
串刺しにされた影さえ笑ってた
背を向けて寄せては返す空洞に
脳髄を墓標代わりに差し込んだ
さかさまの石ころだけを信じれば
付け根まで侵食されず風にまぐわう
ねむいから背骨にそってさまよって
あたたかい小鳥を急かし繭となる
砂浜のこびとの死者に指示されて
不自由に微笑みだけが転移する
うなじから掴む気持ちを考えて
足首の輪郭なぞり覗き込む
謝罪する電気信号に絆され
呼びかけられた見知らぬわたし
連作の創作過程覚書
今回の連作を作るにあたっての覚書も書いておきます。とはいえ、「これが正解」という訳ではないです。読み方や解釈は読んだ方々の人数分あると思っています。というか、作者の意図から遠く離れた剥がされた読み方や解釈ほど面白いと思うのですよ。
テーマが「みずうみ」ということで、真っ先に思い浮かんだのは、レイ・ブラッドベリの短編「みずうみ」。少し安易すぎるけど、この短編をスタート地点として広げていった。
作り始めて出来上がってきた句たちを眺めて、2個やりたいことを思いつく。
①「2つの句で1つのまとまり(一文)としても読めるようにする」
例えば、以下の2つの句を
「そのままの身体を脱いで墜ちてゆき」
「湿り気を含む全てを否定した」
以下のような一文としてでも読めるように他の句も創作・配置していくことにする。
「そのままの身体を脱いで墜ちてゆき、湿り気を含む全てを否定した。」
②「前半10句と後半10句で時間の流れを表すこと」
前半を回想(過去)として、後半を目の前の出来事(現在)となるよう創作する。出来上がった連作を画像に落とし込む時は、上下10句ずつに配置する。これによって「2.②」の効果が少しでも上がることを期待。あと、背景色は眩しいぐらいに反射している水面をイメージ。
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