川柳大晦日108句チャレンジ
爆ぜてゆく手前向こうの海月から
一舟の洗剤屋だけ川下る
垣根からスノーバウンドの香りよ
首吊りのセンターコードが足りない
木挽町のSSサイズの哀惜
饅頭に死者と怒れる孔雀に
銃弾の対話をずらすコモンセンス
原罪の吠える犬こそ捻り込め
北壁の鎖鎌なら光らない
落とす影と朝御飯にインキュバス
見知らぬ顔のビッグ・フィッシュと
ピアノから地球儀出づる傷を抱く
飴かじり膨らんでゆくエージェント
カリブ海に詐欺師の爪奪い取る
許可を得ず冒険家こそ満腹感
独立をどんぐりまなこにみる風
リアリティを生業にして茂る茎
売店のアイデンティティとラストシーン
映り込む蒸発人の誤嚥力
普通の蛸と蟹は死なない
家猫と繰り返されるブラスバンド
十字路にお手伝いする音楽家
窮鼠まで胡乱とされる夕暮れに
日陰しか観測できぬ蛇の脚
装飾に関する時効を忘却
至近距離から記憶に残る
大陸が二酸化炭素の断面
文章を編み込み出した黒胡椒
鸚哥しか改変処理が間に合わず
鋼鉄の改行ばかり気にかかる
側面はYouTuberの保護協会
電灯の装置としての上位互換
老人の並行世界との契り
伴ってポップソングにしく油
試験的に解体されて絵を描く
背骨から禁じられつつ絶滅す
葬送のフィルムを巻いて眠る過去
偉業からロジックを弾き奏でゆく
有益な瞬間ばかり悪意のみ
黎明も分かりやすく燃え尽きろ
トリモチも波動次第で遺伝する
黄金を漏らしていきる料理人
厳重に負けた者から反してる
共通点はゆで卵まで
桔梗なる交差点から繁栄す
ベリーロールで風呂場を探せ
指先にプログラミングされたコア
知覚過敏なスペースオペラ
シンプルに消されたダンスの残り香
胞子撒き等身大に誘蛾灯
宴よりアレンジされたエフェクトを
掛け合わせ油膜を破るエイリアン
可変式ハードSFを演出
クラウドに極めて私的な定期便
統計的にページ数を描写
犠牲者もロマンスとして飛び道具
記憶からショートショートを服用す
しゃっくりの追体験の精密さ
文脈をキン肉マンとして受ける
海の中を制御せずに予言しろ
ハイウェイを左腕から彷徨った
週末に暗闇のなかの香水
ハッカーからロックスターを懐かしむ
殺風景な映像資料
長靴のデータベースが届かない
かぜ、やま、うみ、を手元に置いて乗り込んだ
ノスタルジックを作り込んだ
流行とNマイナス1だったころ
道中のエンジンかかえ流浪しろ
かきくけこ領土と窓を紀元とす
鏡面を検討すれば月笑う
第二部の討伐命令を発しろ
公開してもコメディータッチ
遅すぎた文明論と神の老い
南極と相互依存の大砲と
実体の影を遮るコミカルさ
洞窟の淵にかかった不老不死
不器用にあの瞬間ですれ違う
亜空間だけキャンディボックス
宙吊りの案山子ばかりを改めろ
閉ざされた幾何学的な勇み足
プロットはボウガンの矢を通さない
眉間から漏れ出たものの謎を解く
星型の靴を探してみてごらん
瓢箪の個別相談もあります
岸辺から自由落下ができるまで
香箱の中の嵐と元舞子
ほうじ茶へ迂回できずに乱高下
ノズルから逆探知するヘルメット
ノーモーションな牛の反芻
三つ編みのコレクションだけ持ち去った
対象者は即物的なその姉妹
約束を確認のたび砂に埋め
訪問から終わりとなったその狂気
ザリガニの先住民に連鎖する
ペガサスのアドリブだけが聴こえない
三角が航海日誌を彷彿
喰べたあと憐れんで泣いてください
テキストに泡の欠片を透けて見る
世間話に地の文が無い
ボーリング玉がお得意さんとなる
バラバラな宝石として吹雪く山
伏線を回収すれば死んでゆく
金利から忍法帖の音がする
間取りから満州隠す黒い染み
贖罪がきわものめいた秘密基地
相棒に口寄せされた斜め線
論文のための虹彩プロローグ
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