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#現代川柳
川柳10句『はっぱ隊』
焼き海苔の落ちる音して明日となる
運命に左右されない上下運動
無条件という条件を出す肉袋
複雑さに弾かれたピースは八つ
切り裂いた 布だったら良かったのに
何度目の何万回目なんですか
疼くのがTPOで異なるの
エスカレーターに良く似合う海老
連射されるボタンの気持ち 分かります
またはっぱ隊に宥めてもらいなよ
川柳10句『マイティジャック』
文豪を蒸気機関車に喩え出す
京王線にサイコロを乗せていく
トイレから出られなくなった天狗とは
和室から失踪しても改変される
国別の人工心臓も軽くて
ゾルゲ事件に温泉卵だけ付ける
ナシゴレンの葬送のため閉じた門
ほんとうのマグネシウムと漂った
地下室の宗教日記から脱皮
マイティジャックのささくれと近代史
川柳10句『観察記録』
遊星のフレーバーだと軽傷です
爽やかだ 白線を遠くに見てる
祝日の拗音にみるしたたかさ
入門書傑作選の融点は
理髪師に閉じ込められた絵物語
缶詰の行間を読むトイプードル
ダビデとの距離感をただ保つ
監獄で語り明かした右手左手
神々のピストルでさえ光らない
電柱の観察記録
川柳10句『星雲のチェ』
さすられて眠りについた御惣菜
土踏まず豆腐を乗せて よっこいしょ
もやもやもへったくれもないさとうきび
脂から飛び立つこともありました
誰も知らない穢れた腹筋
クセのある喫茶店だと朗読して
当時から靨があったホタテ貝
終わりに向かいエラ呼吸してもいい
読書会に青い鳥を持ち込んだ
星雲のチェ・ゲバラにみる可動域
川柳10句『窓と窓とを』
原色を囲んで込めて小さな光
文字群が飲み屋街より溢れてる
サイコロにトゲトゲつけておきました
気まぐれに天井近くに 本能
花束を 蛍光色も大嫌い
缶詰に生ハムの遺灰を詰めて
閃光弾 不正確に添い寝しよ
鼓膜から拭い去るナツメグの味
大系に収録された卵の殻
窓と窓とを掛け合わせてください
川柳10句『4 bytes』
地図にないカウントダウンの面影
掠めた星もフィクションのはず
待合の人類学を忘れない
明日死ぬならば歌わなかった
王朝と鼠の群れの角度から
正夢だからロードマップに
左右から踊り出てきた扇風機
寝返りを打ち世界を固定
ロマンスの身代金に胡麻饅頭
なんとなくいるだけの人 4 bytes
川柳10句『まぜこぜ#1』
ゾンビです サランラップを巻きましょう
喉にある骨から学ぶ成長譚
湿地帯 初めては濡れ煎餅で
文化的悪人側の遍歴
内臓にいーろん詰めて座ってる
怪電波 乾いた頬に通る曇
閉じ箱にピンボケ写真の人混み
都合よくSF風味でサヨウナラ
微生物まだワルツを踊る
ゆびきり 天文台の遠い過去