ネット句会提出句

私は他の方が主催されているネット句会にも参加させていただいており、そのネット句会で提出した句を掲載します。

【第6回】
白百合の蕊星々の悲しみを　
病棟に卯の花腐したおやかに
手花火の残り数へて夜の明ける
昼顔のパンクロックにひらきゆく

【第7回】
口開けたらんちうニュートリノ捕ふ　
書きかけの準備書面に差す西日　
立葵にいにが背伸びする高さ　
花魁の扇を隠す禿かな　

【第8回】
愛を説き終はつたチョーク夜這星　
図書館の窓に新涼の山々　
蜩や侍の子は泣くまじと　
独りごつ女は役者秋の川　

【第9回】
ハイウェイを真っ直ぐに行く穴窓ひ　
アイドルの北の訛りや濁り酒　
皆立ちてアイーン月見舟ゆれた　
秋空に赤黄の糸を比べたる　

【第10回】
秋の川落武者役の小栗旬　
ゴスペルや黒き手にはらりと芒　
哺乳瓶欲しがる目つき夜半の秋　
蟋蟀の声を地主と聞いてゐる　

【第11回】
朝ぼらけAEONを仰ぐ狐かな
小間使い同士の愛撫虎落笛
ざらついた記憶を冬の水に漬く
ストーブの影寄り添ひぬキスシーン
もう行かぬデイサービスよ冬の虹

【第12回】
微動する三島の肩にマフラーを　
冬晴や寝起きの殿のシュークリーム　
バギーより垂るるマフラーほの赤く　
熱燗や「別れの曲」のクレッシェンド　
万両やふたりの眠りゆく窪地

（全30句）