炭で放射能を吸収

炭の内部の多孔質構造が放射性物質を吸着することが注目されている。

この多孔質は細いパイプを何本も束ねた構造になっており、そのパイプ一本一本の中はさらに凸凹の状態になっている。その凸凹を平たく伸ばした内面積は、なんと親指ほどの大きさの炭で約、300平方メートルにもなる。炭は、日常的には水を浄化する浄水器から、専門的なものでは原発施設のエアフィルターまで多く利用されている。

実際の浄化・吸収の程度については、木炭・竹炭・備長炭・活性炭、あるいは他の物質を合わせて加工したものなどによって様々で、実証データにもバラつきが見られるが、内部被曝した際の放射性物質の除去や放射性物質を含んだ水の浄化で一定の効果がある。

ロシアでは豚や牛などが下痢をすると、炭の粉を飲ませる習慣があったが、チェルノブイリでも炭を食べさせた。真っ黒になった便の検査をしたところ、放射能が異常に高く、放射性核種も検出された。炭の粉がセシウムやストロンチウムなどの放射性核種を吸着したらしい(放射能、放射性物質、放射線、核種などの言葉の区別がつかないまま写した解説を許されたい)。

活性炭は放射線から体を防護するのにも使われていて、米軍のベストやマスクにも入っているという。中性子も吸着するらしく、東海村の事故のときも活性炭入りのマスクが使われたと言われている。

チェルノブイリ事故の後、医師たちは周辺住民の治療にあたってきたが、食物や水を通して取り込まれた放射性核種を取り除く方法がなくて困っていた。とくに子どもたちの甲状腺にたまった放射性核種をヨードの溶液を飲ませて除こうとしたが、子どもが嫌がって吐くので、うまくいかなかった。そのうち老人たちが消し炭をすりつぶした黒い粉をみんなに飲ませだした。ロシアでは昔から民間療法で、毒物を誤って食べたり、お腹をこわしたりしたときは炭の粉を飲ませれば治るという言い伝えがあったそうである。 大きな効果があったという(検査結果の一次資料はまだ、確認できていない。資料があれば是非見たいものである)。

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