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陸上養殖
漁師が船を降りて引退したり、他の仕事に就く時には「オカに上がる」という。
魚は海のものだから魚取りにとっては、文字通り陸(オカ)に上がることは魚との縁が切れることだった。しかし、最近はずいぶん事情が変わっている。養殖は海上だけでなく、陸上でもやっている。将来は、むしろ、陸上のほうが主力になりそうだ。理由は赤潮とか台風などのリスクが避けられること、使える場所がふんだんにあることだろう。海は広大に見えるが、使用に適したところは波静かな湾の内側で、沖合数十Kmといいうわけには行かない。作業は揺れ動く船の上でやりにくいし、磯焼けという変色もある。それぞれの漁業権が細かな区画を主張して意外に不自由、重ねて場所によっては密漁で盗られることすらある。
陸上設備なら、機械化、省力化ができるし、1年を通して安定的な管理が可能である。問題は水だが、最近は「閉鎖型循環式」と言って、海水を循環させながら常に清潔新鮮な水槽にする技術が進んでいる。プレイヤーの特徴は機械屋、シンフォニアテクノロジー(高級魚に特化)、JFEエンジニアリング(クエ、トラフグなど)、ヤンマー(あさり、カキなどの貝類)、フジキン(チョウザメ)、キッツ(各種魚貝類)。
耕作放棄の水田が、そのうち、魚を育てるオカ海に変わっているかもしれない。
【ホアキン・ソローリャ:バレンシアの漁師】
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