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観光の根っこは「そのまちが素晴らしいこと」

その点で、京丹後市は本当に強みがあると思います。
僕は京丹後というまちの素敵さに惹かれて、このまちで生きていくことを決め、このまちを支える力になりたいと思いました。
そんななか、京丹後市では多様な観光施策がとられています。
どんなキャンペーンをうつのか、どんなキャッチフレーズにするのか、などさまざまな手立てに挑戦しているところです。
どうすれば成功するかというのはやる前にはわからないので、基本的には応援したいと思っています。
一方、どうすれば失敗するかというのは、かなり明確になっていると考えます。

「美しくない」と失敗します。
ゴミだらけの浜辺。自然が破壊された森。気持ちよく使えない状態のトイレ・・・など。
京丹後市の観光には、自然環境の美しさと、滞在中の利用環境の美しさを守ることが肝心です。
これは、特別なことを言ってるのではありません。「成功のための施策」の土台にあたる部分です。
僕は行政の責任として、そこに力を入れるべきだと考えます。

政策:公衆トイレの維持管理を強化しよう

京丹後市内には約40か所の観光用公衆トイレがあります。
その衛生状況は築年数や排水の仕様によってばらつきがあります。なかには、かなり汚いトイレもあります。
このトイレの数は、合併前につくられたものがほとんどで、いまの京丹後市の体力に合っていません。
その結果、トイレの清掃が月に1回や2回となっている状況です。
また、汲み取り式の和式便所のところもあり、現代の利用ニーズから考えると「トイレの機能」を満たしていないといわざるを得ないトイレもあります。汚いトイレがたくさんあるのでは「トイレの機能」を果たしていないと考えます。

そこで、京丹後市議会の一般質問にて議場で提案しました。その一部を紹介します。

コロナ禍において、いっきに需要が認められるようになった「安心安全の観光」ですが、アフターコロナを見据えても、普遍的に大切にすべきおもてなしの姿勢だと考えます。
そういった意味で「安心安全をブランドにする」という現在の京丹後市の観光施策の方向性は、普遍的に価値のあるもので、強く応援するところです。
その方針のもと市内を見渡したときに、解決すべき課題が公衆トイレの衛生状態です。それでは、こちらのトイレをご覧ください。

網野町小浜にあります、市が管理する公衆トイレです。
これから実際のトイレの写真をお見せしますので、この記事をご覧になっている方で、お食事中など、不快に思われる方は、目を背けてください。

網野町小浜にある公衆トイレの実態から、京丹後市内全体にかかる公衆トイレ管理体制を問うことで、安心安全のブランド力をより一層高めるための観光施策を提案いたします。
こちらのトイレ中に入りますと、臭いはかなり強く、汚れも掃除して綺麗にできるレベルではありません。
こちらは小便器です。カチカチにこびりついた尿石だけでなく、虫が沸いておりかなり不快感が強いです。

写真では拡大仕切れないので、印をつけました。これ、コバエです。おびただしい数のコバエが壁や便器に張りついています。用をたすと、それに反応してコバエが人の方に飛んできます。

利用者からは「こんなトイレ二度と使いたくない」
観光事業者からは「こんなトイレの管理体制では観光客がリピーターになってくれない」
地元住民からは「あんなトイレ汚くて使おうと思わない」という声があります。
私自身の感覚としても、それぞれ同意するものです。

安心安全・美しいまちの観光を期待して京丹後市に来た人に、このトイレの衛生状態で「おもてなし」をすることは、私はすごくがっかりされると思います。
安心安全という需要にこたえるためには、不衛生なトイレは、存在するだけでマイナスポイントになります。

この場所は海や夕焼けが望める、場所で、見晴らしも良く、このトイレがなければ景観を利用した活用方法も考えられます。
また、西に200メートルいけば、八丁浜の公衆トイレ、東に200メートル行けば遊歩道前の公衆トイレがあります。どちらもこの小浜海水浴場トイレよりは快適な状態です。
こういう理由から、このトイレについてはまず撤去することがベターだと考えます。


観光施策として公衆トイレを綺麗にしようということで、それを裏付ける調査がありますので、紹介いたします。
トイレメーカーのTOTOの調査では、観光客の70%が「トイレが綺麗だと観光地のイメージが良くなる」とこたえています。
また、37%が「安心して長時間滞在できる」とこたえており、京丹後市の観光施策の軸のひとつに「滞在時間を伸ばす」とありますが、それを後押しすることになります。
逆に、30%は「トイレが不衛生だともう訪れにくくなる」とこたえています。新規顧客だけでなく、リピーターを大切にする観光地として京丹後があるのであれば、公衆トイレ管理が重要であるといえます。
さらに、国交相が「道の駅のトイレ」についてまとめたものから引用しますが、1日2回以上トイレを清掃している道の駅は、そうでないところに比べて売り上げが1.7倍になっていると言われています。
これは、TOTOの調査による滞在時間が長くなることとリンクしていると考察されます。

ひるがえって先ほどの小浜海水浴場のトイレの管理について、清掃を担当されている方に直接お話しを伺いました。
月に1回もしくは2回の清掃があるが、そんなくらいでは、掃除のたんびに恐ろしく汚くて、一回で殺虫スプレー一本消費することもあるそうです。
それでも毎回汚くて、利用者や地元の人の不満を聴くと掃除の担当者としてほんとにやるせないと話してくださいました。
これは、清掃員の能力とか、利用者の使い方とかの問題ではなく、市がどういう管理をしているかという仕組みの問題だと考えます。
いまの京丹後市の公衆トイレの管理体制では不十分であり、管理体制の根本的な見直しが必要だと考えるのですが、市全体の公衆トイレ管理体制に対する市の考えについておこたえください。

ただただ一か所のトイレを取り上げて、指摘するものではありません。
私の主張は、京丹後市における公衆トイレの適切配置・改修の計画の策定を求めるものです。
散々紹介したように、たくさんのトイレを抱えているが、その衛生環境が良くなければ、京丹後市への印象は悪くなります。
いまの清掃頻度では、そういうトイレの衛生環境しか提供できないということがいまの課題であり、綺麗なトイレを維持するために管理できるトイレの数を定めていくことが必要です。
それにあたっては、どのトイレを維持するのか、撤去するのか、新設を目指すのかの配置の方針が必要です。
さらに、耐用年数や利用頻度によって、改修などの優先順位は異なることは用意に理解できますので、それも踏まえて、何年にはこのトイレ、何年後にはこのトイレというように大規模改修の計画を作ることが大事です。
京丹後の未来を見据えたとき、公衆トイレの適切配備、管理の計画を作成するべきだと考えます。

冒頭「目を背けてください」とお伝えしましたが、「目を背けなければいけない公衆トイレ」という事実については、目を背けてはいけません。
こういう事例がひとつ起きているということは、他にもそうなる懸念があるととらえるべきで、政治はその根本の解決を目指すべきものだと考えます。
公衆トイレをネーミングライツとして民間に売り、民間企業が自社製品のPRとして公衆トイレの衛生状態を高めるという事例もあります。

観光施策の土台となる「利用環境」への丁寧な配慮を重視するというのが、鳴海まさのりの考えです。

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