泣く子も黙るインドア派

豪雨の「Rockin'Radio!」から早くもひと月以上の時間が経ち、季節はいつものように梅雨へと流れ込んで久しいのだけれど、なんだかんだで未だにあの日がもっとも雨が「降り続いていた」日のような気がしていて、そうして得た「雨耐性」でこのどうにも憂鬱な日々をやり過ごしている。向こうひと月経つかどうかというところでさらに強烈な嵐に巻き込まれ、あっさりとバフが解けるまでがセットだ。なにせ、私はと言えば、「祇園祭をその歴史上初の天候による中止に追い込みかけたほどの当代随一の雨男」の異名をほしいままにしている。嘘かどうかを検証する気も失せる異名はさておき、「京都大作戦」が台風との闘いの歴史であることからみても、油断ならない季節が控えているのは間違いない。

"15th anniversary - People In The Boxの大団円"@京都磔磔は、そんな台風の影響をギリギリ避ける形で開催されたので、それはそれで僥倖でしかないのだけれど、さっそく異名の嘘っぽさが増してしまった。至近距離で浴びたピープルはやはりとんでもなかった。音源だけ聴いていると忘れがちになるけれど、この構成の楽曲をスリーピースで完結させていることをまざまざと見せつけられるにつけ、その事実が楽曲の体験そのものを上書きして深みを与えてくる。「Camera Obscura」はそうして思い出深いアルバムになったけれど、個人的な原体験たる「Family Record」曲が来たときの興奮もなかなかだった。MCの中で、アルバム制作において「毎回過去最高を更新している」という話があったけれど、全くもってそれは同意するにやぶさかではないのだけれど、やっぱり「Family Record」はすごいアルバムだったのではないか、という思いが強い。それくらい盛り上がりが顕著だった。余韻に浸るバスの車中、目前の座席に座るおばあさんのカバンから「ミュージカル桃太郎 偽桃太郎 VS メカ桃太郎」という気になり過ぎる文字列が書かれたフライヤーが飛び出しており、あやうく印象がそちらに持っていかれるところだったけれど、いい日だった。

一年の、いわゆる上半期が終わろうとしている。後悔が前提の例年と比べると、今年は「まずまずといったところ」という逆にポジティブに捉えられる評価を与えられそうではある。「手当たり次第にライブ申し込んだれ精神」はガス欠を起こしてしまったので、8月以降は鳴りを潜めそうではあるけれど、冒頭で触れた「Rockin'Radio!」含め、「以外とまだ動けんね」というのは自分にとって少し希望になっている。


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