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『スマートフォンRPGのつくり方』を読んでみて

良い企画というのには必ずコンセプトが一本筋通っている。
それは企画の大小を問わない。
やりたいことを通じたゴールの感情が明確であり、それに沿わないものを捨てているか。
また、そのやりたいことが独りよがりではなく、受け手の感情に沿っているかどうか。

この設計が甘いと、狙った通りにはいかない。
仮に「上手くいった」ように見えてもそれは、ラッキーパンチであり、「再現性を高くする」というのは難しいと思われる。

今回、久しぶりに読み返すのは、『チェインクロニクルから学ぶ スマートフォンRPGのつくり方』
同作のディレクターの松永純さんによる、「スマートフォンRPG制作の極意」が語られているもの。
この本が、本体980円(税別)というのはあり得ないお買い得プライシング。
このnoteを見たゲーム企画者の方にはぜひ読んでもらいたいところである。

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以前に本書にラインマーカーを引いていたものを、再度読み返して、コメントしてみる。

コンセプトとはすなわち「ゲームの一番の魅力、面白いポイント」

コンセプトの役割はゲームを開発・運営している最中に「今、自分達が作っているものは一番面白いポイントをちゃんと抑えられているのか」を確認するためのもの

直近のタイトルでは、いわゆるコンテンツディレクターという、作品軸の範囲におけるディレクション業務を担当している。
主なところは、いわゆる月間の大きめのシナリオ付のイベント施策の企画とプロット(シナリオ)の領域。

そこで、まず気にするのは技術の巧拙ではなく、「意図がなんなのか」ということ。
企画のモチーフ、テーマなども各人に対しておまかせ。
なぜ、おまかせかというと、本人が本気でやりたいことが一番熱量高くパフォーマンスが出るから。テーマ自体が良くない場合は修正依頼をするけども、初稿はやりたいことをぶつけてもらっている。

いい企画とわるい企画の差分は、「コンセプトが明確であるか」「届けたいビジョンが明確であるか」
これに尽きる。

物語、ゲームシステムが主で、世界観設定は従という関係

自分の経験則で言うと、うまく言っているタイトルは、
主:ゲームシステム
従:世界観
になっている。

まずは、体験や遊びとしてのゲームのデザインが必要。
世界観は、その体験を活かす・増幅するものになっていること。

しかし、ソシャゲで遊びのフォーマットが限られたことで、これが逆転するフェーズがあったのだと思う。
そこで、上手く行かなかったタイトルというのは、
主:世界観
従:ゲームシステム
になり、結果として「世界観の制約で、ゲーム体験を損なわれた」ケース。
これは、何が課題かというと「IP的にこれは、やってはいけないからゲームに落とし込めない」という、本末転倒な現象が発生する。
ゲームのつくり方はやはり「体験となるコンセプト」それを活かすために、必要なゲームメカニクスを用意するなのではないかなと思われる。

ディレクターにとって一番大切なのは「最後まで立っていること」

ディレクターがいないプロジェクトは必ずといっていいほど、うまく行かない。

ディレクターとは、本書の言葉を借りるのであれば、
「自らのコンセプトを実現するため、各職掌から出てくる成果物について、判断と指示を行っていく職掌」

ディレクターがいない。どういうことなのか。
それは、「寄るべく軸」が存在しないとことになる。
なんとなくこうだ、だったり合議で物事が進み始める。
こうなってきたら、そのプロジェクトは赤信号であるなと思う。

決める。責任を持つ。そして最後まで残る。
これが大事になると思う。




ここまで読んで下さり、ありがとうございました! サポート頂いた分は、新しい記事を作成時の参考書籍や、 勉強代に充てさせてもらう予定です。