水浸し事件

大学2年の冬。フランス語の授業中に電話がかかってきた。
「お宅のトイレが水漏れして、大変なことになっています」

帰宅してみて呆然。ずぶ濡れのカーペットは外に干され、3、4人のおじさんたちがうちを出入りしていた。よくわからない機械で床にできた水たまりを吸引したり、トイレの前で何やら話したり。もはや私の部屋ではない。

トイレのタンク内の水がうまく流れなくなり、溢れ出したとのこと。真下の部屋の人が天井からしたたる水に気づき、事務所に連絡したおかげで、私の部屋の惨事を発見できたそうだ。

(下の階の人、恐怖体験をさせてしまいすみませんでした。優しい人だった)

このときは試験対策や課題提出に追われていた時期で、それはもう焦った。友だちのアパートに避難させてもらった。「うちでゆっくりしていって〜」という彼女に、惚れそうになった。


ときはかわって数カ月前。トイレのタンクから水漏れしていた。部屋が水浸しになる前に管理会社に連絡し、修理屋さんに来てもらった。

修理屋さん「部品の交換が必要なので、一旦取り寄せてからまたお伺いします!」

次に修理屋さんが来てくれたのは、最初の訪問から10日以上経ってのことだった。トイレで頭がいっぱいの10日間は、最初で最後であってほしい。

「また水漏れ?それにしてもツイていないねー!そんなの一生に1回経験するかどうかでしょ」

疲弊して母に電話したら、笑い飛ばされた。

「あたしンち」のエピソードは全然大げさじゃない。


20220611 Written by NARUKURU

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