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創作『金持ち忍者』
気配を感じて目を醒ます。枕元には忍者がいた。
また、刺客か。誰が来ても私は討ち取れぬ。刀の錆にしてくれようぞ。
「お覚悟を。忍法、分身の術!!」
忍者が10人に分身した。ほう、見事なものだな。どれが本物かわからぬ。今回の刺客は手ごたえがありそうだ。
──斬ッ!
分身のひとりを斬る。手ごたえ、あり。本物だったか。しかし、他の分身は消えない。どういうことだ?
他の分身も斬る。手ごたえあり。
「全部本物じゃないか!」
よく見ると全員顔が全然違う。せめて少しは似てるやつを揃えろよ。
こんな大勢に侵入されるなんて……護衛どもは何をやっているんだ。
「見破るとは見事! 次は火遁の術だ! にんにん!」
いまどきにんにんなんていう忍者がいるか!
忍者の分身というか、他の忍者たちがなんか大きな筒を運んでくる。火炎放射器だ。
「くらえっ!」
「くらうか!」
噴き出す炎をかわし、火炎放射器をたたき切る。
「やるな」
「……貴様。本当に忍者か?」
「も、もちろんでござる! お次は水遁の術!」
ゴォンと勢いよく、屋敷に消防車が飛び込んでくる。世界観どうなってるんだこれ。
忍者たちがホースを伸ばしている。
「くらえっ!」
案の定、ホースから水が勢いよく噴射される。
が、当然そこに私の姿はない。
「よけるとは、さすがだな」
「あれだけ時間があればな……ってか、水遁の術ってそういうのじゃなくない?」
「……そうだっけ? まぁいい。次はええと……爆撃の術!」
もはや適当になってきたな。
キーンと上空を何か飛んでいる。まさか。
それは爆撃機だった。
ばらばらと爆弾が落ちてくる。屋敷が燃える燃える。
「ふははは! これはかわせまい!」
「かわせるが。貴様の連れてきた忍者、燃えてるが」
「しまった!」
茶番につきあうのも飽きたので、私は忍者を斬る。
──手ごたえがない?
「ふはは! 真・分身の術だ!」
ずらりと忍者が分身する。これは──ホログラム映像。
「貴様……さては金持ちだな!」
「そうだ! 拙者は──金持ち忍者でござる! にんにん!」
私の屋敷は爆発した。
金持ち、恐るべし。
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