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羅小黒戦記という「anime」

羅小黒戦記というアニメを見た

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圧倒的クオリティの塊

海外作品は字幕派なんですが吹替のみの上映でした、しかしアニメーションということもあり実写ほどの違和感がなかったので良しとしよう。

内容については「見てください」としか言えないのだが、ギャグのテンポが抜群に良く、また作画枚数が尋常ではないっぽいので、キャラがぬるぬる動くし、何気ないシーンもとにかく細かい。国内のアニメでもそうそう作れないレベルの高さの傑作。

ところで、中国アニメの大波が押し寄せてくる予感はあったのだが、この「羅小黒戦記」の再上陸が決定的だった。

2016年に「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」が中国でヒット、さらに2019年の「哪吒之魔童降世(ナタ)」は空前の大ヒットを記録し、興行収入は2019年の国内映画で第1位の50億元(約782億円) となった。

これらの作品は、日本ではアニメファンの間以外であまり話題になったわけではないが、これが何を意味するのかと言えば、それは中国ひいては海外における日本アニメの地位が脅かされているということなのである。

「君の名は。」が中国でも一定のヒットを飛ばしたことは記憶にも新しいが、「KUBO」や「ナタ」はそれ以上に受けているわけで、animeという輸入品ではなく国産のアニメーションを消費する形態、つまりアニメーション作品の地産地消が日本、アメリカだけでなく中国でも成立しているということなのだ。
加えて、「羅小黒」が決定的だと述べたのは、それが単なるアニメーション作品ではなく「anime」だったからだ。

これまで「anime」という土俵で中国産のアニメが存在しなかったわけではない、筆者の視聴した作品でも「銀の墓守」や「一人之下」などがTOKYO MXといった国内局で放送されていた。しかし、その多くの評価はあまり芳しいものではなかった。中国と日本の趣向が異なるというのもあるが、目に見えて違うのは作画をはじめとした全体の質だった。正直に言えば、10年前の作品のような少し古いデザインと単調な陰影やカクついた動きが目に付く。それでも、毎週の視聴には最低限耐えうるラインを保てていたし、なにも中国作品だけが低いクオリティだったわけではなく、むしろ大量のアニメが粗製乱造されている現状では平均的なものであったと言っても良い。

先述のテレビアニメは日本向けに作られたもののヒットしなかった作品たちであるが、皮肉なことに実際に日本でヒットしたのは、中国国内に向けて作られた「羅小黒」だった。
日本における専売特許だった手書きのアニメーションは、既にジャパンブランドではなく、アニメーションの一つのスタイル、概念となった。そう捉えるならば「羅小黒」は2Dのリミテッドアニメーションであり、キャラクターデザインなど複数の条件をみても十分に「anime」と呼べる。わかりやすく言うならば、日本でアレンジされた中華料理や、日本発祥でありながらイタリアンとして扱われるナポリタンのような、日本スタイルで制作された中国産アニメーション作品なのである。日本がanimeにおいて独り勝ちだった時代は終わりを迎え、今後は様々な国・人種・嗜好の人々がanimeを作り、消費していくだろう、その中で日本アニメは果たして今のように生き残れるのだろうか。

長々と書いたが、つまり何が言いたいのかと言えば、中国のみならず日本というanimeの本場で、海外で作られた日本風のアニメーションが大勝利をあげた、ということなのだ。


あとがき

なんか最初に書きたかったことと違うことばっかり書いてしまったなーと。AIが人間の知能を超える転換点のことをシンギュラリティと言いますが、ここ数年の海外アニメの台頭を見ていると、日本のanimeと海外のanimeにおいてもシンギュラリティのようにある種の転換期が来てしまうのかなー、いやもう来ているのかもしれない、日本はanimeにおいても追われる側から追う側になったのかもしれないなー、なんてぼんやり考えながら追記をする今日この頃です。部外者のくせに何を偉そうに言ってるんでしょうね()

それと、記事を公開してから細部が気になって、また何回も編集し直す悪い癖はさっさと治したいです。

面白いからみんな見たほうがいいぞー的な話を本当はしたかったのですが、それは宣伝が得意な人に任せるとして、そろそろ終わります。

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