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リスクを負わせる

 ある営業管理職の方から、最近立て続けにコンペに負けた、と聞きました。A社では社長が代わり、方針が変わったのだとか。クライエント(XX部長)と相談してA案、B案、それからAB折衷のC案を用意し、C案を提案したところ、社長から却下されてしまったのだそうです。

 これ、部長の新社長に対する影響力が不足だった事例です。社長を動かせなかったのですから。

 でも私は話を聞きながら、ああこれはと思いました。部長はB案がいいと思っていたにもかかわらず、リスクを避けて、どっちに転んでもいいようにC案を選びます。反応を見ながら、次の一手を考えられると考えたのでしょう。
 でも一般的にトップは部下(それも幹部管理職)のこのような中途半端な態度を嫌います。リーダーはリスクをとって決断するべきだ、
と考えるからです。そして、そういう社長は大概そうやって、ときには人を蹴落としてそのポジションについているのです。
 ちょっと脱線ですが、高野山奥之院には多くのリーダーの墓があります。信長も光秀も秀吉もあります。現代の企業の従業員供養塔もあります。私はあれは、現世の罪深さwl認識しているリーダーたちが、今生の罪を軽くしてもらうために拵えたものじゃないかと信じています。多くのリーダーがそれほどのリスクを負っているのです。

 だからトップはリスクを避けようとするリーダーを好まない。最初から言い訳しているように見えるのでしょう。

 「新社長が部長を試すのに巻き込まれましたね」と言ったら、その通りだ、思い当たると納得したようでした。そこですかさず「あなた自身がその部長でしたね」と続けると深くうなづき、そうだったと認めたのです。
 B案がいいと思うなら、覚悟を決めてそれで勝負しなければならなかったのです。部長に勝負させなければ!それがあなたの仕事でしたね、とたたみかけました。部長は腰が引けて嫌がるけど、そんな部長を動かす影響力が、あなたにはなかった。ボクシングのセコンドが、最初から逃げてたんですよ。それではボクサーは闘わないでしょう?励まして、なだめて、最後は私がついているから、ぶつかっていきましょう、という。そんなありとあらゆるカレンシーを繰り出してクライエントに闘わせなきゃ。

 すべての言葉が自分に返ってくる。おかげで私も勉強になりました。影響力は目の前の人を闘わせる力でもあるのです。

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