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いちプロSS_02

2話 夢伽なのね―私の太陽―

なのねちゃはいつも前を走ってる。時々よくわからないこと言ってわーっと走ってく。そしてよく転んでみんなになのねちゃかわいそって言われて照れくさそに笑ってる。みんなつられて笑ってる。
ぽかぽかする、そしてよくポカする。そんな可愛いお姉ちゃ。

初めてなのねちゃに会ったときはほとんどおしゃべりしないすごっこわこわな子で、
人見知りで人とおしゃべりするの苦手な私とは違った、人と話すのが怖いじゃなくて、人に興味ないみたいな、とても冷たい目だた。
家の中でもほとんどお部屋から出てくることなく、家族になってからも一緒になるのはご飯の時だけ。
そいえば初めて一緒にご飯食べたときはびっくりした、ずっと無表情だったなのねちゃがビクーー!!ってなったと思ったら今までで一番の笑顔になって…。
一心不乱に食べては急ににへらぁ~ってなるのがとっても可愛かった。ずと怖かったけどその時の笑顔はとっても可愛かったの。

それからもずとご飯の時以外は怖かった。無表情ななのねちゃとご飯の時のなのねちゃは別人みたいでどっちがほんとのなのねちゃなんだろなんてよく思ってた。
きっとみんな今のなのねちゃからは想像できないかも。
――なのねちゃが変わったのはきっとあの時だと思う。
大好きな配信を見てるときになのねちゃがご飯に呼びに来てくれたことがあた。
「はわぁ~~~~~~~~」
最初はだれかと思た、振り返るとなのねちゃが目をキラキラさせてへたり込んで、でも視線は配信画面からまったく逸れない。
画面ではゴシック風の美少女と深紅のドレスを身に纏った美女が《今宵月の館にて》を妖艶に歌てる。
―Eritent-
その日からのなのねちゃは相変わらずお部屋にこもりっきりだったけど、時々すれ違うその姿はスキップをするようだた。
事件は1カ月くらいっ経った頃、晩御飯の時に突然やってきた。
家族みんなが席に着いたとたん急になのねちゃが立ち上がり《今宵月の館にて》を熱唱し始めた。
突然のことにみんながぼーぜんとしてる中なのねちゃが高らかに宣言する。
「私アイドルになる!!」

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