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IU インタビュー日本語訳 GQKOREA 2020年12月号

GQ KOREA12月号のIUのインタビューの日本語訳です。
元インタビューはこちらから

IUが残す痕跡ひとつひとつにイ・ジウンが染みついている。ジウン、IU。

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GQと10年前に初めてのインタビューをしました。「Boo」、「小言」を歌っていた頃。
わあ、もう10年も経ったんですか?

あの時の最初の質問はこれだったんですよ。「学校お休みに入りましたよね?生活計画表はどんな…」
ハハハハハ

もうお休みはありませんね。
はい、そうですね。でもこの写真がすごく記憶に残っています。髪の毛を束ねた感じでスイカを食べる姿も撮って。その頃はまだほとんど雑誌の撮影をしたことがなくて、すごく緊張していたのを覚えています。

この前「ユ・ヒヨルのスケッチブック」を通じてデビュー12周年記念ステージをされましたよね?それも並外れた思い出になったでしょう。
スケッチブックのスタッフの方々の中には、私を高校生の頃から見てくださってる方もたくさんいて、その方々はどうかわかりませんが、私はそれがずっと感無量で不思議だったんですよ。なぜならスケッチブックで、新人はほとんどラストのステージにあがるんですね。私も最後の順番で収録するところから始めたのに、今では一回分の特集ステージをやらせてもらってるんですから。

2枚目のアルバムの曲「あなたと私」から未公開の自作曲まで、一時間半で歌った17曲に今までの12年間の時間が凝縮されていましたね。
カン・スンウォン監督という、「30歳になる頃に」を作曲された作曲家さん、私が音楽的にもすごく尊敬している先輩がスケッチブックで最初から今までずっと音楽監督をされているんです。あの日すれ違いざまに「すごく大きくなったな」とおっしゃってくださったのですが、「まったく、そうなんですよ」って答えたんです。私がスケッチブックで単独ステージをするなんて…それが私はずっと不思議でした。一日中。

私は特に「」(2015)という歌を紹介する時が印象的でした。
私の代表曲として残ってほしい、そう話しました。

そして「一番私っぽい」とも言っていましたね。でも曲紹介の字幕にこう出ていたんですよ。「かすかな気配にも眠れなくて、警戒する大人になってしまったことがふと悲しくなる夜を込めた。」
あ、私がその言葉書いたんだっけ?私が書いた気もするし…そうだった気がします。書いた気がします、はい。ハハハ

警戒心が強くなったように感じますか?
眠れない理由はいずれにせよ何かを警戒しているから眠れないんだと、すごく単純に不眠のメカニズムを説明しようとしたらそうなると聞いたんです、病院で。警戒するから眠れないんだと。

あまり眠れないんですか?
最近は3日に一度の周期でよく眠れています。昨日がよく眠れる日でした。季節の変わり目は特にそうな気がします。夏はよく眠れても、秋になると不眠が少しひどくなって、いくら運動して日光を浴びても、毎日は眠れないんです。

何を警戒しているのでしょうか?
わかりません。それはわからないけど、ただ…眠ることを警戒しているんじゃないかな。無防備な状態になることを。

いつ頃からですか?
ちょうど20歳の時からなのですが、私が思うに、単純にいきなり一気に忙しくなって仕事があまりに多かったので、睡眠パターンがおかしくなったんですよ。眠っても起きたらすぐに家を出て仕事をしなくちゃならなくて、常にスタンバイできていないといけない状況なので。深い眠りについたら、起きるのに時間がかかるじゃないですか。なので眠ることを警戒するようになったみたいです。でも最近は、作品やアルバム活動の時でなければすごく規則的に一日が流れていく方です。朝9時、10時頃に起きようと努力しているところです。もともとは2時に起きていたんです。一日をあれこれして過ごして、夜12時には眠るようにしています。

20歳の時からだとしたら、歌で表現するまでに3年かかったということですね。
今はもうそれが大したことじゃないし、現代社会に不眠症じゃない人がどこにいる?と思うんですけど、当時は芸能人がそういうことを簡単に口にしてはいけないような、そんな雰囲気がありました。

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弱みになってしまうかもしれないから。
不眠症だということがそんなにすごいことなのかなとも思いますが、その当時はそうだったんです。今まで作り上げてきた、健康で明るくて、そういうイメージがあるじゃないですか。可愛くて。そういうイメージがあるのに「私は常に明るくて悩みのない、そんな子ではありません」って言うようなものでもあるから。

正直に告白する力はどこから湧いてきたんですか?
曲を書いていると、どうしても自分の告白を歌詞に込めるしかなくて、なのでぽろぽろこぼれ出してしまったみたいです。だから「膝」が好きです。もっとも正直な告白だから。

そう言えば「膝」が収録された3枚目のアルバム<CHAT-SHIRE>はIUが本格的に作詞、作曲、プロデュースにまで参加したアルバムですよね。
私が歌詞と曲の両方を書いた歌は、日記みたいに出てくる文章が多めな気がします。他の方から曲を頂いてそこに歌詞を当てる過程では、完全なる想像でたくさん書いたりもします。例えば「Blueming」がそうですし、「時間の外側」もそうです。最近はほとんど半分半分です。私の話ばかり書いていると、それも題材が限定的じゃないですか。なので新しいキャラクターを設定して、演技するみたいに語っている歌詞もすごくたくさんあります。

IUが作詞した曲だけ集めてみたのですが、インタビューしている今日までを基準に54曲ありました。
おお、たくさん書いたな。

この54曲の中で真っ先に頭に浮かぶ歌があるとしたら?
満足している曲がまず頭に浮かぶのですが、やっぱり「膝」や「心」(2015)もそうですし、うーん、私は「BBIBBI」(2018)もとても好きな歌詞ですし、「終止符」(2017)という曲があるんですね。ソン・ソンジェ先輩が曲をくださって、私が歌詞を書いたのですが、私はその曲が「ほんっっとに」好きです。だけどすごく落ち着いていて、はっきりとクライマックスがある曲ではないのでヒット曲になるような、そういうジャンルではないんですが、いつか、いつの日か注目されてほしいです。再び照明が当たればいいなと思う曲です。

どうして好きなんですか?
その曲は本当に胸を痛めながら書いたことを覚えています。その歌詞を書く時、もちろん私も恋愛経験があって別れも経験しているので、本当に生き生きとした言葉を書こうとたくさん努力しました。

ちょっと歌詞を見てみますね。うーん…恋にたくさん苦しんだんですね。
へへへ

最後の挨拶を遅れてしたという話ですね。
そうです。先延ばしにし続ける中で、私の別れは今日だ。今日こそ本当にすべてぶちまけるぞ、っていう。

そうするとすべて吐き出せますか?
私はそういうタイプですね。

決定が遅いだけで、決定した瞬間からははっきりするんですね。
なのですごく身近な人たちからは情がないという声を聞くこともあります。私って本当に情深いんですよ?でも、それよりさらに深い層の身近な人たちっているじゃないですか。私の姿を全部見ている、本当の私をほとんどすべて知っている人たち。その人たちいわく、私があることについて未練を払いのけて背を向ける時、それがどんな目標であれ人であれ、今日まで「ほんっっとに」苦しんでいたはずなのに、いきなり次の日「私もう完全に吹っ切れた」って言ってくるんだそうです。どうして一日でそんなことになるの?っていう言葉を、人生ですごくたくさん聞いてきたんですけど、聞いてみると私もそうだね、その通りだね、って思うんです。その境界が自然とフェイドアウトするんじゃないんです、私は。ただプツッと途切れる時があります。そうなってからはもう思い出しもしない、そういうことが多いです。

IUの深い内面まですべて知っている人というのは、一般的にどんな人たちですか?
何といっても長い間付き合ってきた方々であり、ユ・インナさんもいますね。一緒に作業をする作曲家の方々は、私を中学生の頃から見てこられているので。家族からもそんなことをよく言われてきました。

私はIUが書いた54個の話を読みながら、こんなメモを書きました。「様々な姿のIUを武装解除させるものは、結局愛のようだ」何パーセント合っていますか?
すごく的を得た言葉だと思います。

すごく的を得てますか?
私って、愛も多いんです。ハハハハハ。愛が多くて、これは必ずしも恋愛する時の愛だけではなくて、私は自分のこともすごく愛しています。20代後半になったので、それの区別がつくようになったんです。自己愛と自尊心は違うんだな。幼い頃はその区別がすごく難しかったんです。私は自分がこんなにも大切ですごく好きなのに、どうしてまだ自分が何も持っていないように感じるんだろう?どうしてなのかな?こんな風にすごく悩んだんですが、自己愛と自尊心は別物だったんです。私は自己愛が本当に深い方です。でも私は自分が足りていないとも思います。でも足りていようがいまいが、私は自分のことを愛してはいるんです。

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IUを武装解除させる愛について、IUは一番に自己愛をお上げになりましたね。
私は自分が一番好きです、はい。自分がすごく大切な人っているじゃないですか。自分の基準がすごく大事な人。私もそういう人間なので。私は本当に自分の基準が重要なんです。

では、準備中の映画<ドゥリム>のソミン役を選んだ基準は何ですか?周りにこんな友達がひとりいればいいと思ったと聞きました。「こんな友達」というのはどんな友達ですか?
ソミンは単純です。台本の読み合わせを初めてした時、イ・ビョンホン監督からもお話があったのですが、キャラクターたちはすごくいろんな事情があってとても立体的であるというよりは、その状況状況ごとにカジュアルに演技してほしいと、そういうキャラクターたちなんだとおっしゃったんですよ。その中でも私が一番単純な事情をもった役だと思います。単純でありながら誰もが持つ悩みを持ってはいるけれど、いずれにせよたくさんの人々を奮い立たせ、導いていく役でもあります。明るいんです。明るくて好きです。

明るい子なんですね。
ひょっとしたら、私には最も難しい種類の演技かもしれないんですよ。何ともないキャラクター。でも、今までは「私のおじさん」のジアンや「ホテルデルーナ」のマンウォルみたいに、性格がすごくきつくて、色んな事情を抱えたそんな役を続けてやったので、次はお気楽なキャラクターをやるのが正しいようにも思ったんです。これが私の初めての商業映画と言うべきかな、長編映画デビュー作なのですが、それにしては自分がすごく大きな比率を占めてしまっているんじゃないか、キャラクターに合っていないんじゃないか、そんな風にも思いました。これはお聞きになる方によって受け取り方が変わるかもしれませんが、私はまだ息の長い映画をやったことがないのに「どうして、私の何を信じて、こんな大きな役をくださったんだろう?」と疑ってしまうような提案もありました。そういう場合は、私が少し保守的に考えていたように思います。ソミンは人間的で、一生懸命生きていて、こういう子周りに一人ぐらいいるなと思うし、今演じなくてはならないとも思いました。「コメディー映画だから、きっと笑えることも多いはず」という単純な計算もありました。

笑えることは多かったですか?
はい、たくさん笑いながら、臨場感を持って撮影しました。私は普段から興奮したり、すごく喜んだり悲しんだり、こういうことがあまりないんですよ。でも仕事をする時は、これはちょっと例外だと思うほど、行くところまで行きます。すごく興奮して、頭の回転が一気に速くなって、血の巡りも一気によくなって幸福感や罪悪感を感じることもあるのですが、仕事の時、仕事をしている時だけこうなります。平常時にはほとんど無気力に過ごしています。その姿を「ヒョリの民泊」で見られてしまった気がして、放送を見た時すごく衝撃を受けました。あれが放送されるなんて。

だから衝撃を受けたんですか?「私にあんな姿があったなんて」と知って驚いたのではなく?
「私だけが知っていたあの、あの、あの無気力な姿が放送されるなんて」でしたね。10年間隠してきた姿なのに。

自己満足に向かって最後まで突っ走る心は、そんなに無気力じゃないように思いますけど。
そのパワーは天性のものみたいです。

新しいアルバムも準備中ですか?
来年に発表する予定ですが、コンセプトはもう決まっています。挨拶。20代最後のアルバムなので。

そうですね。来年は29歳ですね。
18歳でデビューしたので私の10代は途中からご覧になりましたが、私の20代は完読されたじゃないですか。私の20代をずっと見守ってくださったということなので、それに対する挨拶、最後まで見てくださった方々にありがとうという挨拶をしたくて作っているアルバムです。華やかな挨拶がしたいです。派手に、悲しい感じではなく。

20代が終わるのは心配ですか?
しっかり締めくくらないとというプレッシャーは、あるにはあります。私がどこかで話す時「プレッシャーがあります」という言葉はあまり言わない方なのですが、正直に言うと20代の締めくくりなのでプレッシャーを感じてはいます。そして、すがすがしく30代を迎えたいです。30代からは少し変わるつもりです。

どんな風にですか?
少し。「すこおし」変わろうと思います。音楽的にも、色んな部分において。もっと正確に言うと、もう少し自然に、楽になろうと思っています。それに際しての挨拶でもあります。「今から次のチャプターに移ります。」


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