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国分寺の鐘(豊川市)

愛知県豊川市を訪れました。

東三河地方です

豊川稲荷が全国的に有名ですが、古代の豊川の中心地は別の場所にありました。政庁である官衙と信仰の拠点だった国分寺と国分尼寺は、西の山手にあったことが判明しています。ここは三河国の中心地でもあったのです。かつての堂宇は礎石以外何も残っていませんが、地元の方々と市が遺跡を大切に守っていることが伝わるとても素敵な場所でした。そして、旧国分寺の継承寺院である国分寺には、奇跡的に鐘だけが残っています。

装飾の少ない素朴な佇まいです
長い年月の間、上部の「乳」と呼ばれる突起物の多くが落ちてしまいました

寺の創建当初の奈良時代ではなく平安時代前期のものと考えられるそうですが、一千年を経てなお宙にぶら下がり、鐘突棒が備わっていました。大正時代に国指定の重要文化財に登録されたので、太平洋戦争時の金属供出も逃れることができたようです。

現代の覆い屋に吊るされています

見に行った直後、曇天が激しい雨に変わりました。「おいでよ、待ってるから」と言われたような気がして、自転車を漕いで行った甲斐があったと思いました。一千年の間、どれほどの人を見守ってきたのでしょう。今も地元の人はその音色を聞けると思うと、羨ましいほどロマンに溢れています。全国に国宝や重要文化財の鐘は少なからず伝わりますが、かつての主だった国分寺跡にずっと寄り添うのはここだけかもしれません。

今の国分寺も旧国分寺の敷地内に建っています

所在地(国分寺):〒442-0857 愛知県豊川市八幡町本郷1-1
アクセス:名古屋鉄道名古屋線「国府駅」下車 徒歩およそ20分
     豊川市コミュニティーバス「国府駅」発「やわた町民館バス停」下車

*国分尼寺史跡にある三河天平の里資料館(入館無料)で自転車が無料で借りられます。二月下旬の今なら、西古瀬川沿いの河津桜もオススメです。

(おわり)

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