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【薬2】酸化Mgとレボドパ・カルビドパの相互作用はあるのか

酸化Mgとレボドパ製剤って同時に経口投与してもいいの?

レボドパ製剤は、酸化Mgと同時に簡易懸濁するとメラニン生成によるレボドパの含量低下が知られています。
では、経口投与ではどうでしょう。

マグミット®︎とネオドパストン®︎の添付文書を開いても特段の記載はありません。

疑問に感じたので調べてみることにしました。

- パーキンソン病患者35名を対象とした前向き研究では、マグネシウム酸化物の併用によりレボドパのCmax(最高血中濃度)が24%、AUC3h(3時間後までの血中濃度-時間曲線下面積)が23%低下した(A)。カルビドパのCmaxは39%、AUC3hは41%低下した(B)。

N.Miyaue et al, Clin Park Relat Disord. 9 (2023)
N.Miyaue et al, Clin Park Relat Disord. 9 (2023)

酸化Mgと併用することで、レボドパの血中濃度が約20%、カルビドパは約40%も低下するとのこと。
これは無視できる値ではないですね。

In vitro溶解実験では、pHの上昇およびMgO懸濁液の存在下で、レボドパ、カルビドパ、ベンセラジドの相対濃度が低下した。

N.Miyaue et al, Clin Park Relat Disord. 9 (2023)

また、in vitroにおいて、塩基性条件下でレボドパ・カルビドパを溶解するとレボドパ・カルビドパともに含有濃度が低下するとのこと。
同時に簡易懸濁してはいけない理由は、pHの上昇も原因なのですね。
ということは、酸化Mgだけでなく、pHを上昇させる薬剤との簡易懸濁も注意が必要そうです。

さらに、経口投与で吸収低下する理由の一つが、酸化Mgによる胃内pHの上昇なのであれば、PPIなどの胃内pHを上昇させる薬剤との併用でも吸収低下を引き起こしそうですが。。
ということで検索してみます。

パーキンソン病患者102名を対象とした研究では、PPIやH2受容体拮抗薬および酸化Mgの制酸薬併用群と非併用群間で、1日3回のレボドパ/カルビドパ(100/10mg)服用後のレボドパ血中濃度に有意差は見られませんでした。この結果から、PPIなどの胃酸分泌抑制薬の併用は、レボドパの血中濃度にあまり影響しないと考えられます。

M.Nagai et al. International Congress 1335 (2017)

この文献では、PPIやH2 blockerの併用では血中濃度に影響はなかったとしています。
ただ、酸化Mgを併用しても非併用群と比較して血中濃度に有意差はみられなかったとしています。

文献によって結論が違うようですが、このデータは2017年、はじめの論文は2023年と比較的最近のデータなので、これからデータが蓄積されれば添付文書の改訂などがあるかもしれません。

ただ、パーキンソン病という疾患の特性上、そして血中濃度が低下するというデータがある以上、結論は、
酸化マグネシウムとレボドパ製剤の併用はなるべく避ける(服用タイミングをずらす)

今回も大変勉強になりました。

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