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小豆色のプロミス:キヨシと一輪のペチュニア

キヨシは部屋でひとり、ひっそりと研究していた。

緑のデスクライトの光の中で、小豆色からチョコレート色に変化し、中心部が黒色のペチュニアが目に入る。この花は確かに美しい、しかし商品化するのは簡単な問題ではない。


外は雨が降っていて、その音がコンクリートに落ちるたび、キヨシの心はいくぶん軽くなる。

このペチュニアが生まれたナラフラ研究所は、小さいながらも確かな志を持っている。


それは、一花一花に命を吹き込むこと。


キヨシはコーヒーを手に、小豆色とチョコレート色、そして中心部の黒色が織りなすこの花の未来について考えていた。


「どうしたらいいんだろう?」

と彼はつぶやく。


商品化することはもちろん考えられるが、それがナラフラの能力を超えてしまうかもしれない。




でも、その花が持つ独自の美しさ、それを楽しむべき人がいることも確かだ。

そこで、ひとつのアイデアが彼の心に浮かんできた。


「それでは、毎日一セットずつ、このような特別なペチュニアを販売してみよう。

名付けて、『本当に世界で一つの花セット』としよう。」


はい、大変だろう。

でも、その一花一花にはそれぞれの物語がある。

それを伝える価値がある。


キヨシは立ち上がり、小さな声で「頑張るべ」と呟いた。

そして、カメラを手に取り、小豆色とチョコレート色の綺麗なペチュニアの写真を撮った。




うん、今決めたぞ。

これで、新しい章が始まる。


キヨシはその夜、新しいプロジェクトに向けて動き出した。


雨の音が窓を打つ中、彼は「本当に世界で一つの花シリーズ」の通販ページを立ち上げる作業を始めた。そして、翌日、最初の一セットが販売されると、すぐに売れてしまった。


それは何よりも、その花が持つ美しさと独自性、そしてキヨシがその背後で感じている情熱が伝わったからだ。


部屋の隅で、今もそのペチュニアは黙って咲いている。

外の雨はやんで、新しい朝が訪れる。


キヨシはコーヒーを飲みながら、これからどれだけの「本当に世界で一つの花」が人々に届くのか、その可能性に胸を躍らせていた。

そして、どこかで誰かが、その小豆色とチョコレート色のペチュニアを見て、感動する瞬間を夢見ていた。


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