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哲学教室 [中学生の部] (4月25日実施)

ナラナラ・スクール事務局の矢口ゆりです。
各教室の様子を個人的な感想と共にお伝えします。

https://narranarra-school.myportfolio.com/


4月25日(火)に哲学教室(中学生の部)を実施しました。
世界中で読み親しまれている『ガリバー旅行記』(ジョナサン・スウィフト 作、柴田元幸 訳)を読みながら、自由に語り合う教室です。


◉『ガリバー旅行記』第2部が風刺する内容等
4/25に確認した内容:
・日本を代表する作曲家であり俳優としても活躍した坂本龍一は、反戦運動や環境保護運動等の活動家でもあり、SDGsの先駆者であった
・ピアノ音楽は右利き用に作られているが、バッハは利き手が関係しない曲を作っており、左利きの坂本龍一はバッハの曲を聴いたことで自由な気持ちになり、音楽家の道に進んだ
・民族音楽学者である小泉文夫の影響を受けた坂本龍一は、音楽以前の音そのものに注目し、西洋音楽のルールに対する反抗心を持っていた
・私たちは近代から現代まで人類は進化していると考えるが、自然と調和せず支配しようとする人類は衰退の一途を辿っているとスウィフトは考えている
・特に『ガリバー旅行記』前半において、スウィフトは国家や権力に関する内容に筆を割いている

語り合った内容、意見等:
・アヘン戦争、イギリスの植民地主義と香港の民主化運動について
・SDGsとは何か、人類はSDGsを達成すべきか
・マイクロプラスチックについて
・エレクトーンの発明は、芸術的(音楽的)な側面における進化と言えるかもしれない
・人類は良い方向に向かっていくのか
・権力というものが物事を良くしたり、駄目にもしたりする
・英雄について
・ガリバーは自分を英雄にして利用しようとする権力者達の心の薄汚さに嫌気がさして逃げたが、そのガリバーの生き方は興味深い

次回実施予定日:4月14日(日)




ここからは私の個人的な感想をお伝えしますね。

3月に亡くなった坂本龍一の話から始まりましたが、音楽家であり俳優でもあり、才能溢れた実に多彩な方が亡くなったのだと改めて感じました。
坂本龍一が出演、音楽担当の映画『ラストエンペラー』を中村が紹介した流れから、物語の背景にあるアヘン戦争、イギリスの植民地主義の話になりました。
そして中村が、この歴史的背景が『ガリバー旅行記』で描かれるイギリスの問題と通じるものがあると説明していました。
第2部でも、ガリバーからイギリスについて説明を受けたブロブディングナグ国王が、なんて汚れた国だと憤慨する場面が登場します。

坂本龍一がSDGsの先駆者であったという話から、SDGsとは何か、人類はSDGsを達成すべきかについて中村が質問していました。
参加者さんの回答を聞いた中村が、参加者さんの意見は本質的にスウィフトの発想と共通しているという意味合いの発言をしていました。
確かに、人間は自然をコントロールできると思うこと自体がおかしいのかもしれないと思いました。
続いて、人類が良い方向に向かっていくと思うかについて中村が質問していました。
比較的ポジティブな回答が多かったのですが、参加者さんの仰る通り、環境問題対策を含めて遅きに失した感はあるのかもしれません。

後半では、権力や英雄についての話になりました。
「岸田首相への襲撃も、英雄になりたくてテロを起こしたのかもしれない」と参加者さんが発言されていました。
「ハイジャックや爆破テロの首謀者、要人の暗殺者が、国や宗教によっては英雄視される」と中村も発言していましたが、英雄とは何か、英雄の定義について少し考えてしまいました。

最後に、参加者さんが自作の詩を朗読してくださいました。
言葉選びの素晴らしさと絶妙のテンポで、詩の情景が鮮やかに目に浮かんできました。
中村の発言にもありましたが、非常にウィットに富んでいて、素敵な詩だと思いました。

そのようなことを色々と感じながら、興味深く拝見いたしました。
次回も参加者さん自作の詩を発表していただけそうなので、とても楽しみです。
皆様、お疲れ様でした。


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