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哲学教室 [小学生の部] (5月18日実施)

ナラナラ・スクール事務局の矢口ゆりです。
各教室の様子を個人的な感想と共にお伝えします。

https://narranarra-school.myportfolio.com/

5月18日(木)に哲学教室(小学生の部)を実施しました。
世界中で読み親しまれている『ガリバー旅行記』(ジョナサン・スウィフト 作、柴田元幸 訳)を読みながら、自由に語り合う教室です。


◉『ガリバー旅行記』第2部のまとめ、第3部第2章までの内容等
5/18に確認した内容:
・リリパット国、ブロブディングナグ国、ラプータではそれぞれ独自の言語が話されており、スウィフトはガリバーがそれらの言語を勉強の末習得する姿を描いているが、世の中に存在しない言語を新たに作り出す能力は、詩を書く上での想像力や自由さと共通するものがある
・以前取り上げたミヒャエル・エンデ作『モモ』の主人公は、人間の言葉だけでなく動物や星の言葉も聞くことができたが、大人になると聞こえなくなったり忘れてしまう言葉を詩人は覚えている
・ブロブディングナグ国にはイデア、実体、抽象、超越といった哲学概念がないため、人々は抽象的(哲学的)な発想ができず、具体的なことしか考えない
・パウル・クレーやピカソに代表される抽象画は、20世紀に入り次々と描かれるようになった
・スウィフトはキリスト教の神父でもあり、天使を信じていた
・プログラミングの世界には、抽象化という概念がある
・宮崎駿の『天空の城ラピュタ』と『ガリバー旅行記』には多くの類似点がある
・『天空の城ラピュタ』以外の宮崎駿監督作品でも、王蟲や猫バスといったこの世にあり得ないものが登場したり、ガリバーのように主人公が冒険していく等の類似点があり、『ガリバー旅行記』の影響を受けている
・『ガリバー旅行記』の凄いところは、この世にあり得ないものを作り出す宮崎駿の発想の源となったものが、既に200年以上も昔に書かれていた点である

語り合った内容、意見等:
・この世にない言葉を作ることは、とても自由で面白いことである
・大人の言葉を勉強することは非常に大事なことだが、幼い頃に聞いた自然の言葉も思い出してほしい、そして今後大人へ成長するまでに自然の言葉をどんどん聞いてほしい
・抽象的、具体的とは何か
・犬と聞いて、頭の中で思い浮かぶイメージ(犬種等)は何か
・天使を信じるか
・ブロブディングナグ国民のように具体的なことしか考えない人は、少し物足りない感じがする
・宮崎駿は映像の詩人とも言える
・宮崎駿の映画を観る機会がある時に、作品に込められたメッセージを見つけてみてほしい

次回実施予定日:5月28日(日)




ここからは私の個人的な感想をお伝えしますね。

最初に、参加者さんが自作の詩を朗読してくださいました。
小学校の課題で提出されたものとのことで、先生からのコメントも併せて教えてくださったのですが、先生の仰る通り、弟と自分を対比させる表現が素晴らしかったです。
言葉のリズムも心地良く、中村が発言していたように、綺麗にオチが付いて見事に纏まった詩だと思いました。
弟さんのお写真も見せていただきましたが、詩の内容を彷彿とさせる少しおどけた格好のお写真だったので、思わずクスッとしてしまいました。

続いて、童謡『ぞうさん』の作詞で有名なまど・みちおの詩『タンポポ』を中村が紹介していました。
タンポポについて、動物や昆虫がそれぞれ独自の呼び方をしていることを書いた詩です。
確かに犬だったらタンポポをこう呼びそうだな、と思わせる言葉の感覚や音の響きが面白かったです。
中村の発言にもありましたが、このような感覚を思い出して忘れないようにすることは大切だと改めて思いました。

ブロブディングナグ国には哲学概念がないという話から、抽象的、具体的とは何かについて中村が説明していました。
今日食べたいものを例に用いていましたが、中村の質問に対する参加者さんの回答は、私も食べたいものばかりで嬉しく感じました。
相手に何かを伝えたい時は、確かに具体的な説明の方がより伝わりやすくなりますよね。
一方で、抽象的なことが悪いわけではないということも中村は説明していました。
そこで紹介していたパウル・クレーの抽象画は、独特な色使いと自由に描かれた線が不思議な世界を作り出していて、抽象画の魅力に触れたような気がしました。
「寝ている時に夢で見る世界は、案外抽象画のようなものなのかもしれない」と中村が発言していましたが、その通りかもしれないですね。
そしてこの発言の後、次回までに夢の中の世界を絵に描いてきてほしいと参加者さんにお願いしていました。

後半は、『ガリバー旅行記』と宮崎駿監督作品との類似点についての話になりました。
確かにどちらの作品にも、この世にあり得ないもので強く印象に残るキャラクターを次々と登場しますよね。
存在したら面白いと思うキャラクターがあったら、それも絵に描いてきてほしいと中村がお願いしていました。
参加者さんの夢の世界と新しいキャラクター、とても気になります。
絵の発表が楽しみです。

今回も興味深く拝見いたしましたが、参加者さん自作の詩が印象に残りました。
次回の内容も楽しみです。
皆様、お疲れ様でした。

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