見出し画像

哲学教室 [中学生の部] (2月9日実施)

ナラナラ・スクール事務局の矢口ゆりです。
各教室の様子を個人的な感想と共にお伝えします。
https://narranarra-school.myportfolio.com


2月9日(木)に哲学教室(中学生の部)を実施しました。
世界中で読み親しまれている『ガリバー旅行記』(ジョナサン・スウィフト 作、柴田元幸 訳)を読みながら、自由に語り合う教室です。


◉『ガリバー旅行記』が風刺するものは何か、作品の時代背景
2/9に確認した内容:
・人間中心主義=西洋中心主義
・スウィフトは、リリパットをイギリスの持つ悪い部分が凝縮されたものとして表現している
・第1部で描かれる卵の割り方闘争は、宗教戦争である三十年戦争を風刺したもの
・『ガリバー旅行記』発行当時はジョージ1世の治世
・エリザベス1世の時代にイングランド黄金期を迎え、後にスコットランド、アイルランドを併合し連合王国(イギリス)となる
・フランス革命からナポレオン登場までの流れとスターウォーズは、共和制から君主制に移行する点で共通している

語り合った内容、意見等:
・視点が変わると地図の見方も変化する
・些細で滑稽な事から派閥が発生する、手中にした巨大な軍事力に思い上がった結果それを失うという風刺
・歴史上に存在した帝国、帝国という概念
・世界情勢と日本の現状、日本の第二次世界大戦参戦に至る経緯や国民感情
・スターウォーズの世界は現実に起こり得るのか




ここからは私の個人的な感想をお伝えしますね。

今回は地球儀の話から始まりました。
前回、地政学的観点から世界の国や地域を考察しましたが、例えば地球儀を横ではなく上から見たらどうなるのか、中国やロシアを中心にした地図では日本はどのように見えるのか等、確かに見方を変えることでまた違う世界が見えてきますよね。
柔軟な発想に繋がると思いました。
視点を変えて物事を捉えることの必要性と重要性を再認識した気がします。

『ガリバー旅行記』に込められた風刺は、第1部だけでも本当にたくさんあるんですね。
参加者さんが様々な解釈をされていましたが、1枚の挿絵から複数の風刺が読み取れる点も興味深かったです。

リリパットから帝国の話となりましたが、そういえば帝国は紀元前の遥か昔から存在しているんですよね。
何を持って帝国と呼ぶのか。
参加者さんが発言されていたように、戦争によって作られた国という少し血生臭いイメージが確かにあるかもしれません。

中盤から地震の話になりました。
京都の部屋でこたつに入ったまま寝落ちして迎えた早朝、背中から尋常じゃない揺れを感じて飛び起きたこと。
幸いなことに私の周囲では窓ガラスが割れた以外に目立った被害がなくほっとしていたら、たまたま家に来ていた友人が「実家の辺りが燃えている」とテレビの中継画面を前に叫んで青ざめたこと。
神奈川で在宅時、突き上げるような揺れに驚きつつ倒れそうな冷蔵庫を必死になって押さえたこと。
京都での経験から災害時は電話等繋がり難くなることが分かっていたはずなのに、家族や友人と全然連絡が取れなくて焦ったこと。
色々と思い出しました。
「地震は急に起きるけど、戦争も急に起きるかもしれない」
中村のこの発言もそうですが、「もう戦争がやって来てしまった」という参加者さんの発言が胸に突き刺さりました。

前回に引き続き、世界情勢についても語り合いました。
ウクライナ侵攻の話から始まり、日本の第二次世界大戦参戦に至る流れや当時の国民感情、現状との比較まで様々な発言がありました。
参加者さんの仰るように、残念ながら私たちは『ガリバー旅行記』の時代からあまり進歩していないのかもしれません。

リリパットとブレフスキュが和平を結ぶ話から、ウェストファリア条約について中村が説明していました。
微かに聞き覚えのある単語という感じで、内容は勿論すっかり忘れていましたが、世界で最初の近代的な国際条約だったんですね。
折角この条約によってもたらされた国際秩序も結局は二百年足らずで崩壊したことを考えると、国際秩序を保つことは想像以上に難しいのかもしれないですね。

終盤はスターウォーズの話になりましたが、宇宙という新大陸を舞台にした覇権争いの話だったんですね。
残念ながら未見のままなですが、色々お詳しい参加者さんの発言に興味が湧いてきました。
フランス革命からナポレオン登場までの流れとスターウォーズの共通点についても、成る程と思いました。
君主制から共和制への移行が通常の流れと考えがちですが、逆もまた起こり得るということなんですね。
スターウォーズもまた風刺として優れているという中村の発言がありましたが、世界中で長く愛される作品とは何か、その名作たる理由が分かった気がしました。

そのようなことを色々と感じながら、今回も興味深く拝見いたしました。
次回も楽しみです。
皆様、お疲れ様でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?