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運命

2011年9月
憧れの大型犬が欲しくてネットで犬の里親募集を見始める。
保護犬がどんなものかも分からないが、ただ成犬の大型犬が欲しかったからだ。深い理由も何もない。
しかし、なかなかピンとくる犬はいない。
運命の糸はまだまだ見つかりそうになかった。

10月
里親募集でシェパード『なな』を見つける。
写真を見て何故か心踊った。
一見シェパードと書いていないと分からないような、少し貧そな犬だった。だが、その犬の目に強く惹かれた。
しかし、見つけたのは過去の募集記事。
現在、山口県にトライアル中と書かれていた。
運命の糸じゃなかったのか、と落胆。

11月
相変わらず里親募集を見つめる日々。
その中で、あのシェパードの事が気になり、更新記事がないかチェックしていた。
そんなある日、『トライアル失敗』の記事が更新されていた。運命だ!と思った。
すぐに保護主に連絡を取る。
しかし、決していい返事は貰えなかった。

この子はシェパードらしいシェパードです。
躾も入っていないし、シェパードを飼ったことがない人には難しい。現に何度もトライアルに失敗している。もっと飼いやすい犬を探してみてはどうでしょう。と。

確かに、私は犬を飼った事があるとはいえ、シェパードというある意味特殊な犬には慣れていない。しかし、その子の目が忘れられない。
その後も何度も保護主さんに連絡をしては、犬の様子を聞いたり、どうしたら飼えるのかを聞いていた。そして、保護主さんから実際に見てみたらいいと言われた。私からすると実際に会うのは良い返事だと思っていたが、保護主からすると諦めさせるために言った言葉だった。
だが、やはり私は勝手に運命を感じて興奮していた。

第一印象は小ぶりなシェパードだった。
顔の割に耳が大きい。
全身ややボサボサの毛質。
色も日焼けしたように抜けていた。
だが、やや色素が薄い茶色の瞳を見た瞬間、やはり運命だと感じた。
この子が欲しい。
そう直感したのだ。

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