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オートエスノグラフィー論ノート(増補版):2024.7.9

自分が自分の意味を引き出す文化誌「オートエスノグラフィー」(14分)2024/7/10
https://stand.fm/episodes/668db9b396bb5f17ca9d640c

オートエスノグラフィー論ノート(増補版)
2024.7.9 増補版 note
2017.8.7 改訂版 goo
2016.1.11 改訂版 blogger 暫定的定義「◉みずからの実践(研究を含むあらゆる生命活動)を対象として、みずからがその意味や意義を見出し記述・外化することによって、みずからと他者のよりよい実践のために仮説や課題を生成するプロセスである。また、その成果物そのものである。仮説・課題生成型質的研究の一つである。(成田2016.1.11)」
2014.8.19 初版 goo

【オートエスノグラフィーとは何か】

井本由紀(2013:104-111)さんが、その問いに対して、次のような応答をしてなさっています。
・「オートエスノグラフィーとは、調査者が自分自身を研究対象とし、自分の主観的な経験を表現しながら、自己再帰的に考察する手法だ。」(p.104)
・「自己の置かれている立場を振り返る再帰的な行為だけではなく、自分の感情を振り返り、呼び起こす、内省的な行為でもある。」(p.104)
・「自分の経験を振り返り、『私』がどのように、なぜ、何を感じたのかということを探ることを通して、文化的・社会的文脈の理解を深めることを目指している。」(p.104-105)
・「経験した『事実』を正確に描くことよりも、経験についての『意味づけ』を表現することが重視されている。」(p.108)
・「自分の経験を主な(場合によっては唯一の)データとして、自己の内面に迫る。これは、自己中心的でナルシスティックな行為であると批判されることがある。」(p.109)
・「エスノグラフィーは芸術なのか、科学なのか、表現なのか、分析であるのか。」(p.110)
・「ノーマン・デンジンは、(中略)権威的研究手法や歴史の意味を揺るがす実践としてのオートエスノグラフィーを提示している」、「『ドラマティックで詩的な演出スタイル』で、個人史、公的文書、論文や一般書の記述をつなぎ合わせ、『歴史の中に自分を書き込みそしてその歴史を変えるために』オートエスノグラフィーを実践する、とデンジンは言う。」(p.110)
*出典:井本由紀(2013)「オートエスノグラフィー:調査者が自己を調査する」藤田結子・北村 文編『現代エスのグラフィー:新しいフィールドワークの理論と実践』新曜社,pp.104-111.

 私は、これまで学校や大学・大学院などの現場で取り続けてきたField Notesをもとに、著書・論文・口頭等など、多くの記録/Documentationとしての「作品」を書き残してきました。
 それらは、以下のようなオートエスノグラフィー(一部に協働エスノグラフィーや詩的エスノグラフィーとしての「創作叙事詩・解題」、「ライフヒストリーデザイン曼荼羅」を含む)の手法を援用して書き記してきました。

・「次世代型学校組織マネジメント理論の構築方法 : 『水の思想・川の組織論』の創成過程」(成田2012)  *土元・サトウ(2022:89)においてレビューされた作品です。
・「子どもと教師のためのオートエスノグラフィーの可能性:「創作叙事詩・解題」を書く意味」(成田2013)
・「東日本大震災における発達障害者の PTSD と学校危機管理=ケアのあり方 :発達障害当事者との協働エスノグラフィーを読み解く」(平沢直樹・成田2015)
・「創作叙事詩 刹那毎に岐路に立つ」(成田2015)
・「オートエスノグラフィー『ライフヒストリーの中の環境教育』 : 『史的環境教育学』への誘い」(成田2017a)
・「協働エスノグラフィー 懐かしい未来との対話:ラダックの暮らしと私たち」(成田2017b) * 成田と学習当事者と津山直樹直樹氏・福若眞人氏四者による協働.
・「『創作叙事詩・解題』の実践:生徒の内面を引き出すこれからの学習方法」(津山直樹・成田2017c)
・「『帰国子女』からの問いかけと教師の応答経験の有意味性 : オートエスノグラフィー1978-2006を中心に」(成田2020)
・「深層からの『崩壊露呈』ともう一つの深層からの『覚醒開眼』との狭間に立つ—学びの『創発(emergence)』への気づき : Holistic Education/Care 2020—」(成田2021)
・「ライフヒストリーデザイン曼荼羅への旅はいかに紡がれてゆくのか:未来から現在・過去へとさかのぼり、今ここに舞い戻る」(成田2022)
・『物語「教育」誤訳のままで大丈夫!?:Education のリハビリ、あなたと試みる!』(成田2023)等

*出典は、成田喜一郎(2023-2024)「オートエスノグラフィーとしての「創作叙事詩・解題」のかたちの実践報告:非キリスト者による礼拝の記録とその意味 2018年10月~2022年2月 自由学園」(Web Site)

成田喜一郎(2023-2024)オートエスノグラフィーとしての「創作叙事詩・解題」のかたちの実践報告:非キリスト者による礼拝の記録とその意味 2018年10月~2022年2月 自由学園
https://genkaikyoukaiekkyo.blogspot.com/2023/12/20181020222.html
・成田喜一郎(2023)『物語「教育」誤訳のままで大丈夫!?-Education のリハビリ、あなたと試みる!-』キーステージ21みらい新書
・成田喜一郎(2017)「オートエスノグラフィー「ライフヒストリーの中の環境教育」−「史的環境教育学」への誘い− 」『環境教育学研究』第 26 号, 東京学芸大学 環境教育研究センター 研究報告, pp.159-180.
https://laotao.way-nifty.com/islikewater/files/autoethno2017.pdf


【初版2014のラインナップ】確認・修正・加筆

①成田喜一郎(2013)「子どもと教師のためのオートエスノグラフィーの可能性 : 「創作叙事詩・解題」を書くことの意味」『ホリスティック教育研究』 (16), 1-16, 2013  日本ホリスティック教育協会:★★★
・国際子ども図書館2014-2015:よりよい探究「体験プログラム」をつくるために ママ
http://pedagogytocrosstheborder.blogspot.jp/2014/07/blog-post_8996.html
・学校見学〈エスノグラフィー〉を書こう―その学校のカリキュラムを物語るための一作法―
 ママ
http://pedagogytocrosstheborder.blogspot.jp/2014/06/blog-post_19.html
・ミニ・エスノグラフィー(増補改訂版)〈 懐かしい未来〉のMINORI農ある予感ーF県立G農業高校H分校を訪ねてー:「当事者による省察・応答的エスノグラフィー」を掲載! ママ
http://pedagogytocrosstheborder.blogspot.jp/2014/06/minori.html


②文化人類学資料整理入門:オートエスノグラフィー(auto-ethnography)分析(池田光穂)リンク先変更
https://navymule9.sakura.ne.jp/040120auto.html


③Hana-K.net : 私的資料のオートエスノグラフィックなアーカイブ(花家彩子)
http://hanna-k.net 閲覧不可  花家彩子

④Ellis, Adams, Bochner ‘Autoethnography: An Overview’★★★
http://www.qualitative-research.net/index.php/fqs/article/view/1589/3095
*花家彩子による論文レビュー:http://hanna-k.net/?p=89

⑤中島裕昭、花家彩子(2012)「上演芸術の経験を分析するための方法 ―花家彩子によるオートエスノグラフィー―」東京学芸大学紀要 芸術・スポーツ科学系 (64) 37-46 2012年10月: ★★★

⑥花家彩子(2012)「演劇経験を教育的に評価するための研究方法としてのオートエスノグラフィーの可能性
学校教育学研究論集 (25) 85-98 2012年3月:★★★

⑦櫻井勇介「博士課程留学を通して研究者になるということ : オートエスノグラフィーの検討と筆者が見る大学の国際化の現状」日本教育学会大會研究発表要項 71, 182-183, 2012-08-22
http://ci.nii.ac.jp/naid/110009573002
http://ci.nii.ac.jp/els/110009573002.pdf?id=ART0010023675&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1409689100&cp=


⑧牛田匡(2004)「自由教育学校(Alternative School)研究に関する一考察―オートエスノグラフィー研究に注目して」:リンク先変更
https://cir.nii.ac.jp/crid/1520009407862501248


⑨岡原正幸(2014)感情を生きる――パフォーマティブ社会学へ 慶應義塾大学出版会:http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766421231/#contents
岡原正幸「宣言 パフォーマテ ブ社会学」(2013.6):https://www.academia.edu/5015306/Manifesto_Performative_Sociology


⑩Fuminori Nakatsuboブログ 「事後記録」:概要,活用の方法と技術(2013.1.19):http://ameblo.jp/nakatsub/entry-11452145763.html


⑪酒井朋子「ライフ・ストーリー調査におけるオートエスノグラフィの困難について、プラス 留学通信(2)」: ママ
http://www.agri-history.kais.kyoto-u.ac.jp/news-letter/noushi-tsushin%20no5.htm#a6


⑫小田博志(2009)「「現場」のエスノグラフィー― 人類学的方法論の社会的活用のための考察―
・小田博志(2010)エスノグラフィー入門:〈現場〉を質的研究する 春秋社: 


⑬波平恵美子編『健康・医療・身体・生殖に関する医療人類学の応用学的研究』 国立民族学博物館調査報告 85:11-3(4 2009): ママhttp://ir.minpaku.ac.jp/dspace/bitstream/10502/4046/1/SER85_002.pdf


⑭自分の研究は「誰」に返るのか?:藤田結子・北村文(編)「現代エスノグラフィー 新しいフィールドワークの理論と実践」を読んだ!: ママ
http://www.nakahara-lab.net/2013/05/post_2010.html


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