琵琶湖のほとり、百菜劇場へ
10月5日、京都の楽天堂を営む千晶さんに紹介していただいて、滋賀県近江八幡市でおひとりで畑をやっておられる、百菜劇場のひろべさんに会いにいきました。百菜劇場はいきものたちが住みやすいように農薬・化学肥料はいっさい使いません。いっぱい紹介したいのですが、まずはミッションが素晴らしいので引用します。
ね、すてきでしょう。これまでも百菜劇場のお米を家まで送ってもらったりしていました。やっとやっと現地に行けるのです。
早朝の新幹線で京都駅まで行って、そこから琵琶湖の方向に1時間ほど。初めての滋賀県、初めての琵琶湖、初めての稲刈りでした。
この日のボランティアははじめ私ひとりで、まず乾いた竹を組み合わせて稲架(ハサと読む)を立てました。
ひろべさんから、生産から出荷までをほとんどひとりで行うことの大変さをぽつりぽつりとうかがいながら、おさないころに垣間見ていた農家の父(とその家族)の働くすがたが重なり、そうだ、農家は基本的に外にいるんだったよなあ、と思い出したり、あの仕事をたったのひとりで、ということが、肉体的・精神的にどれほど大変かを想像しました。ひろべさんの言葉は、純度が高く、心にすんと入ってきました。志を持って自然と真摯に向き合って仕事をしている人のつよさを感じました。
ひろべさんは学生のころ国分寺に住んでいて、でめてるでスタッフもされていたと聞いて、すっごく嬉しい気持ちになりました。でめてるは私が西東京で一番好きなごはんやさんです。(でめてるのお店のコンセプトは、 「女性が1人でも、気軽に入れる店」、「安全でおいしい食べ物を出す店」、「女性が子育てしながら働ける職場」。これを体現してきた貴重な場所です)
「近畿の水がめ」とも呼ばれる琵琶湖。琵琶湖周辺に住む人たちは特に、自分の身体の水分がどこからきているのかが実感を持ちながら暮らしているとひろべさんがおっしゃって、それはとてもいいことだなと思いました。東京ではPFAS問題からやっと、この水はどこからきたのか、どんな成分が含まれていて、いったいどこから汚染されているのかに意識が向いています。私もこれまで、水道水がどこからきているのか、PFASのことを知るまで考えたこともなかった。
手刈りも初めて挑戦しました。「この一粒一粒が、米かあ…」と思わずつぶやいてしまいました。ふだん米はビニールにパックされた姿で対面します。魚は切り身の姿で、肉も細切れの姿で。どれだけ実感のない生活をしているんだろうと自分に途方に暮れました。
手刈りは初心者にはとても難しく、刈るところまでできてもそれを干すためにまとめる手順になかなか慣れず苦戦しました。これを爆速でこなしてゆく名物おばあちゃんボランティアさんがいらっしゃるようです。すごいなあ。
一般的には、これらの作業は家族総出でやるもののようです。稲架を立てるのも稲刈りも男たちの仕事で、女たちは刈り残しや刈りにくいところを始末していくのが仕事とうかがいました。「こどもには農家以外で食っていく道を」と思う親も多く、後継者不足が広がっているそうです。一次産業の後継者不足は新聞などでよく見聞きしてはいたけれど、同じ作業をしながらその地に暮らす人の声を聞くことは重要だと改めて思いました。
自分でやったものはこのうちの4つくらいで微力でしたが、なんとか一人でまとめられるようになりました。教えてくださってありがとうございました。また来年も来たいと思います。経口補水液一本しか持ってこなかったことをびっくりされました。ふだんは日中にコーヒーを数杯しか飲んでないこともざらにあるので、反省しました。ひろべさんに水筒のお茶をいただきました。ありがとうございました。
百菜劇場のことを、もっとたくさんのひとに知ってもらいたいです。
HPをご覧ください。
そして、手間ひまかけてつくられているたべものをぜひ手に取ってください。オンラインショップもあります。