海外駐在員の心得①3つの変化
みなさん、海外駐在にポジティブなイメージをお持ちの方が多いように思いますが、2回も駐在すると、駐在あるあるをついつい言いたくなってしまって…まとめちゃいました。
まず、それは急にやってきます。私の場合は、一昨年の10月中旬に、担当役員に急に会議室へ呼ばれて、「君には来年1月1日からブラジルで、商品企画をやってもらいます。以上」えっ!それだけかよ!ってな感じで。その後はVISA取得から始まる赴任準備と引継ぎで忙殺、気が付いたら家族に見送られて、飛行機に乗って、そこでふと我に返り、不安が波のように押し寄せてきます。
一つ目の変化:責任と権限
赴任先の異国に到着して、借住いのサービスアパートメントで眠れぬ夜(時差ボケ)を過ごした翌日に、あなたは新たな事務所へ初出勤。そこには日本ではいなかった部下たちと前任者が残していった膨大な決済書類が待っているではないですか!
という感じで、海外駐在すると、大体日本の役職から2ランクアップする人が多いようです。平社員が課長、次長クラスが現地子会社の社長という風に。日本であってもそのポジションに合った働き方をするには時間が必要なところに、異国で文化、言語、生活環境に慣れる必要があるというハンデ付きで、いきなり放り込まれる訳です。ここが勝負所です。自分は素質を認められてきた、絶対に出来ると、自分を奮い立たせて、歯を食いしばって頑張るしかありません。海外駐在して、心の病気に掛かって1年ほどで帰国される方も結構います。
2つ目の変化:本社(日本)との距離感
怒濤の3ヶ月をほぼ休日ゼロで何とかしのいだあなたは、ようやく現地社員との信頼関係も構築し、仕事も落ち着いてきました。それなりに自分の時間も持てるようになり、語学学校や趣味をスタートし、他業種の駐在員仲間との交流も始まります。住めば都だな〜と思う一方で、あんなに飲みに行っては管を巻いてた元同僚たちとの関係がギクシャクし始めます。朝一チェックしたメールの内容にキレそうになることもしばしば。本社が旧態依然としたまま、矢継ぎ早に海外展開を進めている会社では、本社と現地スタッフとのコミュニケーションを駐在員が担う事になりますが、たまに「社長に言われたから、すぐやれ!」的な依頼が来ると頭を抱えてしまいます。現地スタッフに「お上の言うことは絶対」という文化は理解出来ませんので、日本と現地スタッフとの板ばさみでただただ消耗します。
私の駐在ネットワーク情報によれば真のグローバル企業へと脱皮出来ている企業は案外少ないようで、みなさん大なり小なり同じ悩みを抱えています。
3つ目の変化:人生観
日本に居た時は常識だと思っていた事が、海外ではそうではなかったと気付く事が多々あります。日本とは違う価値観に触れることで、自分の価値観も変化していきます。ラテンの国に駐在して、過去未来よりも今に重心がシフトする、インドで死体を目の当りにして死生観が変化する等。そのような中で、あまり海外志向なく初めて駐在した方はそのインパクトが強すぎて、稀に180度方針転換される方もいらっしゃいます。妻子ある身の上での離婚・国際再婚や海外でのフリーランス化等、10年スパンで考えた時に本当に大丈夫かな?今は良いけど後でしんどくならない?と周りが心配になるくらいに極端なんですよね。
方針転換ほどではないですが、帰国した元駐在員の四人に一人は転職するそうです。日本に帰ると役職ダウンになるケースが大半ですし、海外で培ったスキルを活かせるポジションもなかなか見つからないので、異動先に不満を持つケースが多いみたいです。それに外資系企業に転籍してたようなもので、帰っても浦島太郎状態で異動先に馴染むのも大変なんですよね。一方、海外展開したい他社には貴重な人材だったりするので、案外売り手市場であったりします。
以上3つの変化でした。これから駐在に旅立つ方の一助になれば幸いです。