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ボドゲにおける付添い人のススメ

先日ボードゲームの初心者が同じテーブルの相手に求めているものごとってなんなのか、という記事を書きました。なりさんです。

ボードゲームを遊ぶサークルや団体と言っても色々種類がありまして、
ボードゲームを遊ぶ相手を求めて集まっているところ、
共通の趣味を持っている方と仲良くなることを目的としているところ、
ボードゲーム自体を広めることを目的としているところ
などなど色々あると思います。

場所によっては経験者だけが集まって初心者お断り(というか、知り合いのみで遊ぶ)みたいなところもあれば、どんな方でもOKです、というオープンなところもあります。
参加者のターゲット層を絞れば絞る程、運営は楽になります。
オープンな場であればある程、新しい方が入ってきてそれに応じた対応を考えることが増えますからね。

筆者がやっているのはちょうど中間くらいのサークルです。新しい方々も受け入れながら、コアゲーマーな人もいる。
バランスが良いと言えば聞こえはいいですが、中途半端ともいえます。
お陰でより良い会にするために日頃から考えることは尽きません。
毎回が試行錯誤です。
参加者主体でみんなが楽しく過ごせるコミュニティスペースの役割を果たそうとサークルを運営しています。

今回の話は、そんな初心者大歓迎でもあるサークルで、
大人の初心者がボードゲームを遊んだ時にどう対応すれば楽しめるのか、ということをTwitterのスペースで話題にあがったときの話をまとめます。

前提

さて、今回の話もこちらの前提で進めていきます。

年齢は20歳以上の大人
 (別に13~19歳でも当てはまりそうな気もするが、プレイ人口に当てはまりやすそうなので20歳以上)
ボードゲームにまだそんなに慣れていない
 (TCGにもあまり触れていないor慣れていない)
・30~60分ほどのドイツゲームにいまから初めて挑戦する
(例えば、カタン、ドミニオン、カルカソンヌなど)

大人の初心者に必要な楽しめる条件

子どもがものごとを楽しいと思うには割と簡単で、
「勝つこと」「目的を達成すること」であることが多いです。
それが、手加減されたものや難易度が低めに設定されたものであったとしても、達成経験を通すことで自己肯定感が上がって安心して次のゲームにも入れるわけです。(すべてがそうとは言えませんが…)

それに対して大人の初心者の場合はどうか。もちろん勝つことで楽しいと感じる人もいますが、子どもと比べると「負けた(難しかった)けど楽しかった!」という感想がでるようになります。それは勝利以外のものごとに価値を見いだしているからこその言葉です。
例えば、雰囲気や状況、ゲームシステムなどから。

再挑戦してみたいといったモチベーションや他の人に薦めたいといった考えに繋がります。最高ですね。
松尾芭蕉だったら俳句を読んでしまうような状況です。

ではそのような状況を作るには何が必要なのかいいか考えていきます。

大人の初心者が楽しめない条件

いきなりですが、まずは逆から考えていきます。
これがあるおかげで楽しめていない状況を作り出してしまうのです。

それは「理解できていない」という状況。

それは、会話だったり、プレイの内容だったり、ゲームのシステムだったり。とにかく、終わってから「難しくてよくわからなかった」という感想がでてきたら、楽しんでいたとは言い難い状況です。
それが60分のゲームだったりしたら、その人は60分間よくわからない状況に陥って、時間がただ過ぎていくのを待っていたかもしれません。
最悪ですね。
こんな悲しい状況だと、これも俳句を読んでしまうかもしれません。
嗚呼無情。

会話であれば、専門用語や相手の知らない単語、人名などを出していることが原因なので、それを気をつけてあげれば問題ないと思います。相手の反応を見て、使う言葉を選びましょう。

ただし、ゲームのルール理解や、セオリーを理解していないことが原因の場合、「楽しい」という感情に繋げるにはまた、別のアプローチが必要になります。

わからないという状況はストレスになる

ボードゲームでは度々行動の選択・決断を迫られます。
これもボードゲームのジャンルの中でいえばあたりまえです。
が、そんなことを初心者にそういうもんだと理解しろというのはさすがに理不尽です。だって、「わからない」んですから。

決断ができないと言っても色んな種類があります

例えば、
・どの選択肢がいちばんいいかを決断できない。
・予測できないことだから決断できない
・答えがないから決断できない
などなど

どれが良くて、どれが悪いのか何もわからない手探りの状況で、決断を下す。それが初心者にはとてつもない不安とストレスを感じさせるのです。
(ボドゲ初心者に限らず、慣れないものを行うときは起こりがち)

例えば、ゲームの流れに大きな影響があるカタンの初期配置。
例えば、大量のカードから必要なものを選択しコンボを組めるドミニオン。
はたまた、大量の選択肢の中から何かを選ぶ、レスアルカナなどのドラフト系のゲーム。
この辺りを割り切って「適当でいいや~」となんとなくで選んでしまうと、地獄を見ます

そういった辛い状況を身をもって経験するからこそレベルが上がっていくとも考える方もいますが、初めての方にさすがにそれは暴論です。
昭和の男性にありがちです。気をつけましょう(偏見)

仕事や大会ならまだしも、趣味のあつまりに足を運んでくれている方ならば、楽しんでもらいたいものです。

そこで、経験者にはその初心者が抱えうる不安とストレスを取り除くということをしてほしいと思っています。

プレイヤーではなく、アドバイザーでもなく
付添人に。

ここで初心者に対する対応を考えるとちょっと悩ましくなります。
初心者の心理からすると、不安は取り除いて欲しい。これは分かります。

ただし、初心者が困っているからと言って、明らかな攻略法やアドバイスをしてしまうと、いわゆる手加減やハンデになったり、余計なお世話と取られてしまったりしてしまいます
同じテーブルについている相手から見てもあまり気持ちの良いものでもありません。また、行動をプレイヤーの代わりに全て決定してしまっても、結局その初心者の代理打ちをしているようなものです。

また、このとき助言をする人がテーブルについているプレイヤーの1人であるなら、初心者を誘導して自分に有利に働かせてしまう人であるかもしれません。最悪ですね。(あまりないとは思いたいですが)

また、ボードゲームの楽しさは攻略法や強い手を考えることにもあります。それを奪ってしまうのも良くはないと思っています。
所謂ネタバレみたいなものですからね。

更に言うと、
初心者が求めているのは、強い手でも攻略法でもなく、ゲームをまだ理解していないということから生まれる不安を取り除いてくれることです。

じゃあどうすればいいのか。

プレイヤーではない1人が初心者の後ろについて、
アドバイスではなく、初心者の意思決定を尊重してあげること。
また、それを後押ししてあげるのです

なんだそりゃと思うかもしれません。

イメージ的にはボクシングの「セコンド」。ゴルフの「キャディ」です。
漢字でいうと「付添人」ですかね。

あくまでプレイヤーは初心者であるその人
自分は、そのモチベーションを維持するようにプレイヤーの選択・決定に「いいね」と一言添え続けるだけです。

行動に対する疑問を投げかけられたら、良し悪しではなく、「できる」「できない」の返答を。
あくまで聞かれたこと以上のことは答える必要はありませんし、初心者さん本人が選んだ行動であれば、「お、いいんじゃないですか」と声に出してあげるだけでいいのです。

とにかくポジティブな声がけを。
「好きにしてみて」「まぁ、頑張って」
は手放す言葉なのでNG

もし初心者が選んだ行動が最善手でなかったとしても、それはぐっとこらえ、口には絶対しないようにします

明らかに負けている盤面だとしても「まだいけるんじゃない?」と、とにかくモチベーションの維持に努めます

調子が出てきたようであれば、その初心者さんの後ろからそのまま他のプレイヤーの盤面についての一言も添え始めるのも良いかもしれません。
不安や緊張がほぐれれば、だんだんとプレイ視野が広くなって、自分の盤面だけで手いっぱいだったのが、他の人の様子も見れるくらい余裕が出てくるようになります。

このような不安を和らげる役割の人が後ろについていれば、もし圧倒的な点差で負けたとしても、受け入れやすいのではないでしょうか。

もちろん付添人が必要だとするなら、
マナーとしてそのテーブルのプレイヤーには一言断ったほうが良いですね

まとめ

そんなわけでまとめです。

・難しめのゲームのとき、初心者は不安でいっぱいストレスいっぱい。
・その不安を取り除くために付添人が1人ついてあげる。
付添人の役割はアドバイスでも攻略法を言うのではなく、モチベーションを維持するために初心者の意思決定を後押しして、それを認めてあげるだけ。
付添い人は最善手や盤面解説する必要はない

何度も繰り返しますが、決断というものには不安が付きまといます
その決断がそれで良かったのかどうかなどずっと抱き続けながら結果、ゲームが不利に動いていたとすれば、それはストレス半端ないです。

苦手な人が多いゲームというのは割とこういった物事が多く、初心者受けしづらいことが多いような気もします。
(40分以上かかる招待隠匿や協力ゲーム、点数が開示されていて、点差がはっきりわかるものなど)

あとは、子どもたちとボードゲームしているときにも結構こういう場面は良く見ます。
「なり先生~、うしろでみてて~」と声をかけてくる小学低学年の子どもたちがいますが、不安を緩和してくれる付添人を求めてるのですね。
(今から何かに挑戦するからカッコイイ姿を見逃すなよ、というアプローチである場合もあります)

難しいチャレンジでも、誰かと一緒なら一度乗り越えられるかもしれませんね。

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