ミツバ、11歳の誕生日

2023年3月28日
ミツバ号11歳の誕生日。
とある記事にしれっとミツバ(セン11)と表記されていて切なくなった今日この頃。誘導馬だから、まあそうなるとは思ってたけど、そっか……と。


2022年は同期のダート馬であるノンコノユメやウェスタールンドが引退。
種牡馬生活を送っていたアポロケンタッキーがこの世を去った。

私がミツバを初めて見た日、2018年4月のアンタレスS。
ミツバのがんばれ馬券(単複100円ずつの豆)を名前が可愛いからと買った日から5年。
あの時1着だったグレイトパールは川田騎手の父川田孝好厩舎がある佐賀に移籍。九州大賞典四連覇を成し遂げた彼は、今年の佐賀記念をラストランとして当日引退式が行われた。
(蛇足だが、グレイトパールは1つ年下の2013年3月29日生まれである)


そして何と言っても欠かせない話題は、2023年3月4日福永祐一氏の騎手としての引退式当日。
チューリップ賞の誘導馬に福永騎手が騎乗した。彼が「ある意味ラストライド」の一頭として自ら選んだのは、ミツバだった。

ミツバの祖母ゴールデンジャックは福永騎手がデビューした頃、所属の北橋厩舎に居て、重賞勝ち馬の背中を教えたとも言える存在。
その娘でありミツバの母セントクリスマスも北橋厩舎所属で、半兄サイドワインダーは瀬戸口厩舎所属。
ミツバ自身は加用厩舎所属ながらも、新馬戦に騎乗。
縁のある血統ゆえ抜擢される事となった。

G1誘導用の背広とハットを身につけた福永騎手がミツバに跨る姿を、当日駆けつけた阪神競馬場の観客皆が見守り、カメラのシャッターを切る……未だかつてあんなにも注目された誘導馬と騎手が居ただろうか。
福永騎手が手を振って観客に応えたとき、ミツバは、巻き起こった歓声に反応するも暴れる事はなく、顔を上げて皆を見ていた。福永騎手の少し照れくさそうな笑顔とミツバの誇らしげな眼差しは一生忘れられない。

その瞳にはどんな光景が映っていたのだろう

偉大な祖母ゴールデンジャック。
その孫ミツバは誘導馬として、引退する福永騎手を送り出した。これは種牡馬になっていたら叶わなかった事かもしれない。
そう思うとミツバが誘導馬の仕事を立派に務める姿がかっこよく見えて仕方がない。

ミツバはこれから多くの新馬のデビューを見届け、去り行く馬たちを見送ることだろう。
どうか彼も先輩誘導馬たちと並ぶような、ベテラン誘導馬となってほしいと願う。そのためにもどうか健やかに過ごせますように。

ふっと誇らしげな笑顔に見えた


ミツバ、お誕生日おめでとう。
私は誘導馬ミツバのファンです。
長生きしようね。

2023年3月28日 narin

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