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昭和ノスタルジーへの旅

時代を遡る旅は、懐かしさが詰まった宝箱を開けるような幸せを感じることができる。

その銭湯はかつて栄えた城下町の真ん中にある。

ある人にとっては、日常の風景であり
また、ある人にとってはノスタルジーの象徴だ。

国の文化財にも登録されている、唐破風屋根の建物と石柱門。
そして夕焼けに染まる時間、ネオンサインが浮かび上がると
昭和の気配が辺りを包み込む。

脱衣場にはえんじ色の革張のソファー
壁に貼られた、昭和を代表する映画のポスター
ヘチマコロンの化粧水

閉店が近づく夜の10時過ぎ、湯上りの人々がそれぞれの帰路に着く時間
入口の扉が開き、仕事帰りであろう一人の男性客が入ってきた。
少し疲れた様子のその男性客は、番台のご主人に話しかける。

「そうか、頑張りやー」と穏やかな笑顔で声をかけるご主人。
温かいBGMのように流れる会話。

カタチだけではない、昭和の面影がそこにあった。



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