自立とは、依存先を増やすこと。
まだ創業社員が入社する前、みんなが使うTeamsを準備していたときのこと。
チャネルはあるけどスレッドが一つもないと寂しいと思い、初めに目にするであろう投稿を何にするか考え、自立の考え方について書きました。
なんでも自分でできるようになってほしいのではなく、誰かを頼れるようになってほしい。
そう思えるようになったのは、連続起業家の家入一真さんが対談している記事をみたことがきっかけです。
”なんでも自力でやれる”は傲慢
親会社の人事で新入社員研修の企画をしていたとき、位置づけの中に「学生気分を抜けさせる」という項目があり、違和感を感じていました。
学生気分という言葉の裏側には、責任感がない、怠惰でよい、といったイメージがあり、責任感を持って、(上司がわざわざ尻拭いをしなくてもよいような)立派な社会人になってほしい、というメッセージが込められていたように思います。
そんな中、ふと目にした記事の中で、家入さんは「一番好きな言葉は他力本願、一番キライな言葉は自己責任」という哲学を持たれている、ということが書かれてあり、自分の違和感の正体がわかったような気がしました。
”一人前”の大人は、人の手を借りずに身の回りのことが出来て当たり前で、それが出来ない人は一人前ではない。という考え方は、何もかも自力でやれるという考えの裏返しだと。
自立とは、依存先を増やすこと
対談の中で、家入さんは熊谷晋一郎さんという難病を抱えた医師の方の言葉を紹介されていました。
熊谷さんは車いす生活でずっと親の世話になってたんですけど、大学生で自立するんだという想いで一人暮らしをはじめたと。
家のなかで転んで起き上がれなくなってしまっても、「自立するんだ、自分でなんとかしなきゃ」と一人で頑張ろうとしたらしいんですね。
でも結局どうにもならなくて、電話で友達を呼んで助けてもらって「申し訳ない」と謝ったら、「これくらい大したことじゃないからいつでも呼んでくれ」と言われたらしくて。
そのとき熊谷さんは、「自立って一人で生きていくことではなくて、一人で立てないときに支えてくれる仲間を増やして生きていくことなんだ」と思ったそうなんです。
「適切なときに適切な人に頼れる人間になること」を、自立と呼ぶと。
このときの話が心の中に深く刺さり、創業準備中に蘇ってきて、創業社員が初めて見るであろう投稿として、「自立とは依存先を増やすこと」というメッセージをしたためました。
高い目標を立てれば、他力本願にならざるを得ない
うちの会社は、フルリモート、フルフレックスですし、基本的に一つの業務を一人でやってもらうスタイルです。
なので、要件定義、基本設計、詳細設計、実装、テスト、納品、保守、運用などの各フェーズで、技術的課題は自分で調べながら、顧客のニーズを理解しながら、開発をしなければなりません。
UIもアプリもDBもインフラも、全部です。
これを誰の力も借りずにできる人は本当に一握りで、会社員なんかやらずに独立したほうがずっと稼げると思います。そして、現時点ではうちの会社にそんな人はいないです。
でも、だからこそ、他力本願になれるし、その先に本当の自立があるのではないかと思います。
従業員には、なるべくはやく、自立して自分で稼げるエンジニアになってもらいたいし、そうなったとしても居続けてもらえる仕組みを会社に作ろうと思っています。
それこそが、すべての人が対等に働ける社会を作るというミッションを実現する手段だと信じています。
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