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『それでも僕はここで生きる』 #4 僕

4.僕
 僕は何の変哲も無い家庭に生まれ、普通の学生生活を送ってきた。小学校の時には、運動会のリレーでアンカーになろうと必死だったし、中学校の時はそれなりに部活にいそしみ、高校では恋もした。それなりに勉強もして東京の大学に入り、上京した。大学にもそれなりに通い一般の企業に就職した。僕の人生は、全部それなりの人生だった。
深く付き合う友人はあまりおらず、女の子と付き合ってみてもあまり長続きはしなかった。
僕はそんな退屈な人生を半ば好意的に受け入れていた。何も拒まない。誰かに頼りきりで生きたりもしない。自分一人の力で生きているようなふりをしていたのだ。
僕には趣味がある。僕は幼い頃から、一人で本を読むのが好きだった。本を読んでいる間は、本の世界に没頭できたし、その間だけは日常のことを考えなくてよかったからだ。
幼少期から日常に悩みがあったのかは定かではないが、僕には孤独になり、自分と向き合う時間、本と向き合う時間が必要だった。
ある人はゲームかもしれないし、ある人は友達と意味のないことで笑い合うことかもしれない。それは人それぞれ違うわけだけれど、僕にとっては本であっただけなのだ。
もっと言わなければならないことがあるのかもしれないが、僕はまだ自分についてよくわかっていないことが多すぎる。そして、まだ自分の思考を整理する段階に至っていない。だからこれ以上は言うことができない。

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