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向島百花園(東京都墨田区・東向島駅)

かつて都内の庭園を制覇しようとしていたことがある。旧芝離宮、浜離宮、旧岩崎邸庭園、六義園、旧古河庭園、小石川後楽園。これらは都立9庭園に指定されている庭園である。その他に行く機会を失ったまま幾年月。ようやくその夢を果たそうと動きはじめ、これらの庭園を再訪したのをはじめとして未訪問だった残りの場所も徐々に開拓し、清澄庭園と殿ヶ谷戸庭園をクリアーした最後の砦となったのが向島百花園。いよいよである。個人的には何度か前を通ったりしていたのに訪れることができなかった因縁の場所でもある。

向島百花園は岩崎家や大名家とは関係なく、骨董商を営んでいた佐原鞠塢が購入した土地で、当初は梅が主体だったが、詩経や万葉集などの古典に詠まれる有名な植物を集めて、四季を通じて花が咲くようになったのだという。江戸時代の花園としては現存する唯一のものとなる。百花園の命名者である酒井抱一、門の額をかいた大田南畝をはじめとして芸術家たちの集う場所として愛されたという。

現在ではスカイツリーもある趣き

園内を特徴づけるのはそれらの古典に準えた野草が集められていることや、江戸時代から残されている29基の石碑である。松尾芭蕉の句をはじめ、山上憶良や、変わったところでは月岡芳年などの碑も残されている。これらはわかりやすく「いろは」が割り振られており、園内を回るときにこの「いろは」を順番に辿るというのも面白いかもしれない。一筋縄ではいかない順番に配置されているのでいろいろと思考をめぐらせながら順路を考えてみるのが正しい楽しみ方である。間違いない。

石碑のある場所いろは

決して広い敷地ではないのだけれど、藤棚や萩のトンネルなど全ての季節で楽しめる要素が盛り沢山の庭園になっているので、石碑の謎解き要素も含めて意外と楽しめる庭園だったりする。トイレはウォシュレット式。ここも野外なのに珍しい。

萩の季節は最高なことだろう

こうして都立9庭園は全てコンプリートできた。我ながら褒めてあげたい。
さて、旧安田庭園、大隈庭園、毛利庭園も済み、有料の都立庭園博物館、昭和記念公園、新宿御苑も済み。あと都内で目ぼしい庭園といったらどこになるだろうか。ホテル系列の庭園を除けばスムーズに訪問できるのは山本亭くらいかな。迎賓館は庭園も開放しているのだろうか。いつか行ってみたいものだけれど。

水琴窟もあるよ やったね!


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