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旧朝倉家住宅(東京都渋谷区・代官山駅)

代官山。おしゃれな街である。渋谷と中目黒の中間に位置することもあってか麻布や六本木よりも若い層が集まる印象のあるおしゃれタウン。セレクトショップも立ち並び、おしゃれに憧れていた学生時代はよく遊んだものだった。そんな代官山に時代を無視するが如く素晴らしい歴史的建造物がある。

旧朝倉家住宅は大正時代に建てられて既に百年以上の歴史を持つ重要文化財で、東京府議会(都議会ではないのが歴史)や渋谷区議会の議長を務めた朝倉虎治郎によって建てられている。議員ゆえに貯め込んだのだろう、なんて半ば揶揄する気持ちもありつつ詳しく調べてみると、なんと元々は米問屋の養子。養父が米問屋で財を成して地主になった流れで村会議員となり、虎治郎はその後を継ぐ形で町会議員、長じて府会議員となったという親子揃って立志伝中の人物みたいな感じだろうか。

広々とした洋間もある

渋谷区のこの界隈に多くの土地を成しており、おそらく議員としての稼ぎどころの話ではなかったのだろう。ヒルサイドテラスも元々は朝倉家の土地である。朝倉といっても大名だったり猫好きの彫刻家とも関係はなさそう。

違い棚には猫じゃなくて鳥の絵が

戦後になって所有していた土地を手放すことになり、農林大臣の公邸や渋谷会議所を経て現在この朝倉邸は文部科学省の所有となったことで一般客が内部を見学することができるようになった。1階が主に家族用、2階は議長としての公職で使用したと考えられており、内部は順路に従って進んで行くことになるのだけれど、とにかく広い。1階だけで部屋数は15を超えているため初見では方向感覚がつかめなくなってまず迷う。入口がどちらだったのかわからなくなるという羽目に陥る。かなりの規模。これが渋谷区のど真ん中にあるというのだから驚いてしまう。トイレは洋式で屋外にある。ちなみに邸内にあった使用できないトイレ跡は和式。

とにかく広いんです

邸宅を見た後は庭園も見られる。台地の上にあるため庭園は崖を下るような形になりシューズとかでないと大変かもしれない。足腰もかなり鍛えられる上、出口が別の場所にもあるという広さ。財力よ。

苔むす庭から母屋をのぞむ


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