見出し画像

【特集】フォーマル型とカジュアル型、「セットアップの基本作法」徹底解説!


 今月より定期購読マガジンをリニューアル。

速報などの【ミニコラム】と、本格的に1つのテーマに絞って掘り下げる【特集】とに分けて、定期購読マガジンを構成していく予定です。

皆様に1月を通して楽しんで頂けるように更新してまいります。


今回は特集、本当に需要の多い「セットアップ」というテーマについて、掘り下げていきたいと思います。


ZOZOTOWNなどでも常に検索キーワード最上位なのが「セットアップ」ですからね。

新型ウイルス禍の影響は言うまでもなく、元々「スーツ離れ」はどんどん進んでいましたから、カジュアル・フォーマル問わず、あらゆる場面で「ちょっと崩した」セットアップの需要が高まりそうです。

そこで「セットアップの基本作法」みたいなものにもしっかり触れながら、セットアップの着方、選び方を今回はじっくり解説していきたいと思います。



セットアップとは?セットアップは何が難しいのか?最も同調性が高いゆえに、セットアップに向く人、向かない人…


 「セットアップ」とは、基本的には上下揃いの洋服のことを指します。

同じ生地を用いて、同じテイストで作られたトップス(上)とボトムス(下)とを合わせる組み合わせですね。



画像10



私はコーディネートの組み合わせについて、「同調」と「相反」という整理の仕方をしています。

同じものを組み合わせるのが「同調」

違うものを組み合わせるのが「相反」


「同調」とは、素材・色・テイスト…アイテムの持つ要素が似通った物同士を組み合わせること。アイテムの統一性を高める方向性のことである。

「相反」とは、互いに異なる要素、相反する要素を持つアイテムを組み合わせること。アイテムの統一性を意図的に「ズラす」ことである。



このような「同調」性を高めるコーディネートというのは、「アイテム同士の合う・合わないで悩む必要がない」というメリットがあります。

普通コーディネートを考えるときには、このパンツにこのトップスは合うだろうか?

このデニムにこのリネンのジャケットは合うだろうか?


などと、まずは「アイテム同士の相性」という意味での「合う・合わない」について、多かれ少なかれ考える必要があります。

セットアップは、上下の組み合わせは決まってしまっているわけですから、これを悩む必要はとりあえずは無いですよね。

だからこの点を捉えて「セットアップのコーディネートがカンタン」などと言われるわけです。


毎日忙しい人、特にとにかく「判断」を求められるクリエイターやデザイナーは私服でOKな仕事であってもセットアップを着ます。

これはセットアップは、洋服について判断する要素が少なくて済むからなんですね。

このパンツにこのトップスは…合う?合わない?なんてやっていたら、時間はどんどん無くなりますし。

スーツや制服なんかも、毎朝そのような「判断」をしなくて済む、というメリットが存在するわけです。


また、セットアップスタイルにすることで「アイテムのテイストがバラバラなコーディネートになる」「色の使い過ぎでゴチャゴチャとした印象になる」といったことを結果的に防ぐことが出来ます。

結果としてまとまり感があり、大人っぽいコーディネートになる可能性が高まるというわけです。


ただし、アイテムの統一性を高めて「同調」性を上げれば、これによって増加・強調された要素と「着る人との相性」を真正面から問われてしまいます。

例えば、当たり前ですが全身で黒いアイテムが増えれば増えるほど、その人にとって「黒が似合うか?」が問われますし、全身で花柄が増えれば、「花柄が似合うか?」がより問われますよね。

コーディネートにおいて、「アイテム同士の相性」と「着る人との相性」は分けて考える必要があります。


さてセットアップスタイルは、上下同じものを組み合わせた結果、全身がより同一化して見えますから、「全体」へと視線が向くことになり、印象も全体へとシフトします。

セットアップスタイルは全身が見られやすくなる分、誤魔化しが効きにくいんです。

その結果、スタイルが良い人、雰囲気がある人でないと相当気をつけないとセットアップスタイルが似合わない…となりがちです。

「あの人IT社長みたい」…と言われてしまうような、ちょっと滑稽なものになってしまったり…(こうなりやすいパターンも解説します)。

この点から言えば、「セットアップはカンタン」とはとても言い切れない側面があります。


じゃあ雰囲気があって、スタイルが良い人以外セットアップは着るなって言いたいのか?と言うと、そういうわけではありません。

ただちょっとアイテム選びに気をつける必要があるよね、というだけのこと。

是非セットアップへの苦手意識を払拭してもらえればなと思っています。



何でもかんでも一緒くたにしないで!セットアップの分類、フォーマル型とカジュアル型


 私が思うに、定義が広いが故に何でもかんでも一口に「セットアップ」と言ってしまうから、「セットアップの選び方」や「セットアップの着こなし方」などで伝える側と受け取る側で齟齬(そご)が生まれやすいと思っています。

タイプが違えば、攻略法も違ってきますから。

まずはセットアップのタイプをきちんと分類していきましょう。



フォーマル型セットアップ

 

  フォーマル型セットアップとは、いわゆるスーツに準じたタイプを言います。


IMG_9018-3 - コピー


ジャケットはテーラードジャケットで、パンツはスラックスの形、そしてシルエットはスーツに準じた、崩れすぎてはいないもの。

タイドアップして、その気になれば、それこそスーツとして使えてしまうようなものを指します。


多義的というか「上下揃い」であれば何であれ成立してしまうセットアップですが、おそらく多くの人がイメージする「セットアップ」はこれじゃないでしょうか?


最も需要が多いのもこのタイプかもしれませんね。

今後はどんどんこうしたスーツを崩したようなセットアップスタイルが認められる職場やビジネスシーンが増えていくでしょう。


このタイプは、形を極端には崩すことが出来ないため、「セットアップとしてしか使い道が無い」ということになりがち、というデメリットがあります。

要するにジャケットだけ、パンツだけ、のようにバラバラだと使いづらいんですね。

それぞれを仕事着のスーツから拝借してきたような雰囲気になりがちなので。

使っちゃ駄目なんてことはないですが、このタイプは基本セットアップで使うことを前提として購入することになると思います。


またどうしても「気取った感じ」や「キメ過ぎ感」が出やすい点も考慮に入れる必要があります。


 

カジュアル型セットアップ

 

 カジュアル型セットアップは、フォーマル型とは異なり、「上下の生地と色さえ揃っていれば何でもアリ」です。


ジャケットはテーラードジャケットの形をしていなくても、別に良いんですね。


画像11


この「テーラードジャケットを使わなくて良い」というのが、セットアップ入門にはとても大きなメリットになります。


IMG_0901 - コピー


オープンカラーでも良いし、こういう風に、エリのついたジャケットでもOKなんです。

テーラードジャケットは、とにかく難しいアイテムですからね…。


また、フォーマル型はどうしてもスーツを崩した形の着こなしになるため、「崩し過ぎ」が厳禁。

対して、こちらはある意味何でもありで、フォーマル型では使いづらいインナーや靴も使うことができるというメリットがあります。

また上下セットアップでないと成立しない、ということが少なく、ジャケットだけ、パンツだけ、のようにバラバラでも使うことが出来ます。


実はどのブランドも今はセットアップ提案が増えていて、「ジャケットだけ」「パンツだけ」と単品で作ることは少なく、ほとんどのアイテムはセットアップを組めるようになっています。


またこのフォーマル型とカジュアル型の「中間」型と呼べるようなものもあります。

テーラードジャケット+スラックスというフォーマル型セットアップの「形」だけは踏襲し、それをかなりカジュアル向けに崩したもの、と理解してもらえればいいかと思います。


画像34


https://zozo.jp/shop/unitedtokyo/goods/44627408/?did=73793934


このタイプはテーラードジャケットと言っても着こなしやすい形になっていたり、パンツもフォーマルではちょっと許されないかな?というくらいに大胆にテーパード(スソに向かって細くなっていく形)を掛けたりして、脚の形が綺麗に見えるようになっていたりするものを選ぶことが出来ます。

どうしても形に限界のあるフォーマル型と違って、体型を綺麗に見せやすいものも選ぶことが出来るんです。

このタイプもカジュアル型と同じく、上下バラバラに使いやすい形になっていることが多いですね。

ただし、本当にフォーマルな場面、ビジネスシーンであったり、結婚式などには向かないものが多いですね。



オススメのフォーマル型セットアップ



 さて、ここからは各類型別に具体的なアイテムも交えて、セットアップのオススメアイテムを紹介していきましょう。


まずはフォーマル型から。

これは多くの大手セレクトショップがオリジナルアイテムとして出していることもあり、そのほとんどがセールで買えるチャンスがあります。

ご存知の通り今年は新型ウイルス禍により、どのセレクトショップも休業を余儀なくされていましたから。


ただそうは言っても、このフォーマル型が一番難しいアイテムということもあり、厳選して紹介したいと思っています。


ここから先は

18,345字 / 45画像
随時更新。その月に配信される有料記事はもちろん、過去の多数のマガジン収録記事が読めます。最低限の更新(週1本程度)は保証しますし、本数にはこだわらず情報と考えを必要な時に必要なだけ供給することを心がけます。 絶対損はさせません。

随時更新。その月に配信される有料記事はもちろん、過去の多数のマガジン収録記事が読めます。最低限の更新(週1本程度)は保証しますし、本数には…

サポートも毎回大変ありがたいのですが、「スキ」を押して頂けることや、シェアして頂くこと、またコメントを頂けること等、そうした皆さんの反応がとてもとてもとても励みになります! もっともっと精進してコンテンツを充実・発展させていきたいと思います。 応援よろしくお願いいたします!