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Summer Pockets REFLECTION BLUE 神山識√ 感想

√途中や終わった直後に書き殴った文章です。
ナナシスの時のように沢山スクショを貼ったりはしません(ナナシスの感想は気が向いたら更新します…)。
「Summer Pockets」というゲームの全体的な感想は全√終わってから書こうと思いますし、その辺のお話はここではあまり書きません。

神山識について。

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元々ゲームのパッケージに一番大きく映っていて、可愛いなあって印象を持っていました。元知識0でこのゲームを始めたので、この子が追加ヒロインであるということも最初は知りませんでした。
和風な見た目が好みなのに加え、プロローグで聞くことのできる「僕には識という名前さえあればいいんだ」というセリフとその際の表情にとても心を奪われ、早くストーリーを読みたいと思っていました。
最初に読んだのが紬√だったので、識は2人目。

ここで、「紬はnoteに書くほどじゃなかったの?」と思われるのはとてもとても癪なので、twitterに貼った落書きのようなモノをここにも載せておきます。そのうちもっと膨らませた感想をnoteに書くかもしれないけど。

識√の話に戻ります。
最初こそ子供っぽい描写が多かった識ですが、たまに見せる女の子らしさや憂いを秘めた大人びた表情、人を助けるのに自分の犠牲を厭わない心の美しさ、そして楽しそうに遊び、鬼と呼ばれると心底喜ぶ屈託のない笑顔、色々見せてくれます。
そんな識に惹かれていく主人公の羽依里には素直に感情移入できました。特に、

皆が恐れる鬼となりたいので"可愛い"では困る識
vs
羽依里くんに"可愛い"と言われて照れて喜ぶ識


の構図、最高に好きです。

古き日本の地方に残る風習やしきたりに触れるストーリーには惹かれました。
このゲームは夏を感じさせる爽やかなBGMが多くて世界観に引き込まれてしまいます。識と神社に来た時に流れる神秘的な曲が特に好きでした。全√終えたらサントラ買いたいね。

この√は前半から気になる伏線が度々貼られるので、その度に色々先を考えてしまって大変でした。
例えば"夏鳥の儀"、普通ならこういうしきたりに詳しそうな識が「知らない」って言った時点で「津波災害後に生まれた文化なのかな」とは予想はできていました。

津波災害から島の村人を守るために、識の考えた行動
「鬼になって島民を脅かして山に避難させる」
最初にこの話を聞いた時はもっといい方法絶対あるやろって思ってしまいました(羽依里もそんな感じの反応を示していたと思います)が、150年も前かつ人里離れた島と考えると、それ以外に本当にやり用がなかったのかな。

ところで、石碑を見て、津波犠牲者が減っている!ってシーンの度に「いや、それって今生きてる人に影響でないのかな…?」と考えていたけどどうなんでしょうか?
生存者が増えれば、その分今の血筋に影響出そうな気がするのですが。この手の歴史改変モノに詳しくないので有識者の意見を聞きたいですね。

識の前に紬√をやっていたのもあって、識が過去の人物であるのはなんとなく想起していたし、いつか別れは来るんだろうな…程度には考えていました。いたけど…
うん、色々甘かったです。ごめんなさい。

識は14歳です。14歳にして背負わなければならないモノがあまりにも大きすぎます。姫巫女とか言われても、その前に14歳の女の子じゃないですか…。

島の人々の優しさに触れ、羽依里くんを好きになってしまった結果、「ずっとこの時代に居たい」と思うようになってしまう識。当然の感情だと思います。
でもその感情を持つだけで、識がいた時代の島の人々は全員津波に飲み込まれ、全滅してしまう。そしてその子孫である今の村人もいなかったことになってしまう。その犠牲者の中には当然、識にとって一番大切な羽依里くんも入るのです。
識が持った迷いの感情は、識と羽依里を神隠しの世界に囚えてしまうのでした。
そこで羽依里が持っている選択肢は3つ。

①神隠しにあったまま二人だけの永遠を望む
②識だけを犠牲にして現実に戻る
③現実で識と一緒にいることを願い、全員消滅する

こんなのもう、①を選びたいよね。こんな残酷な運命なんて全部投げ出して、二人だけで安寧の時を過ごしたいに決まっています。誰も二人を責めたりしません。
それでも、識の決意に満ちた表情を見た羽依里は、識に「頑張れ」と言ってしまいます。

過去に、羽依里と識は鬼の調査をするために「しろはの祖父」に会いにいくシーンがありました。そこでしろはの祖父は「大切な者を守るためなら鬼にだってなれる」という言葉を残していました。
その言葉を聞いた僕は
"識にとって大切な者"=羽依里くん、になるのかな…
などと勝手に想像していました。

実際、羽依里に神隠しの世界で「頑張れ」って言われなかったら、あのまま識と羽依里は二人で永遠を過ごしたのかもしれないです。

こっから先のシーンはもうダメです。
必死に願い、識を追って過去の時代に飛び込んでいき、津波に溺れる識をなんとか岩場に引き上げる羽依里。
そして、夏休みの思い出を次々にフラッシュバックさせていく二人。

(この辺りから僕は僕で人生で経験したことのないレベルの涙を流しすぎて呼吸が安定しなくなり、このゲームを僕に勧めた人間、許さんといった謎の感情まで湧いていました。冷静に何考えてんだよ。完全にストーリーに感情移入したら過呼吸で倒れると体が勝手に判断した結果かもしれません。ごめんなさい)

その後、今の時代に戻ってきた羽依里は知ることになります。
「神山識」という女の子が過去にこの島を救ったというお話、それを皆が共有していること。石碑にもその名前は残されていること。そして、識が最後の最後に命をかけて守った1人の女の子の子孫が自分であるということ。

識にとって悲願であった、「自らが鬼となり津波の犠牲者を0にする」は叶ったわけです。せめてそれだけでも識に伝えてあげたい、そんな気持ちが湧いてきます。

識は一番最後の女の子を助けるのを諦めていれば、命はきっと無事だったのでしょう。
しかしその女の子が助からなかった場合、結果的にその子孫の羽依里は命を与えられることはありません。羽依里は現世界から姿を消してしまうでしょう。
当然ですが識はその女の子の子孫が羽依里だと知って助けたわけではないんですよね。誰であろうと助けたし、村から犠牲者が1人でも出れば彼女は心を痛め、どうして助けてあげられなかったんだと後悔することでしょう。
全ては、捨て子だった自分をここまで育ててくれた島への感謝があるからこそです。
羽依里が風邪をひいて倒れた際に、識は山へ向かい、そこで傷を負いながらも葛の根を見つけ、羽依里のために薬を作ってあげていました。
彼女はたとえそれが自分を傷つける行為であったとしても、受けた恩は必ず返す子なんです。

現実で犠牲者〇〇人ってニュースを見ても僕たちはそれを当たり前のように受け入れてしまいます。
ましてやそれが昔の、自分が生まれてすらいなかった頃の話であれば尚の事です。
でも、そのせいで生まれなかった命ってあるんですよね。言われれば当然のことなんですが、当事者でなければそこまで意識することはないと思います。

時が流れれば多くの物は変わりますが、線香花火のように昔から変わらないものもあります。
150年の時が流れても、この島の人々の温かさは変わらないということを、識は身を持って知っているんです。
識はこの島に育てられた恩があるので、それを守るためなら自分の命さえかけることができる。

大自然からみた人間など、人間からみた線香花火の如き儚くちっぽけな存在なのかもしれません。
人間の命はあっけなく、簡単になくなります。
でも、いつかなくなるものに意味がないなんてことはないんですよね。
識が行動を起こさなければ、あの島にはもう本当に誰もいなかったし、羽依里も生まれていない。
線香花火は一瞬の輝き。その一瞬が誰かのその後を大きく変えるんです。




まだ探せば書きたいことは無限に湧いてくる気がしますが、とりあえずこれだけにしておきます。
そもそも、他の√をやることでも新たな発見がありそうですし。
(例えば前述したしろは祖父の発言は、しろは√を掘り下げるのに役立つ予感がします)

そのうち追記するなり、別の記事を書くなりするかもしれません。

2021/8/8 追記



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