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Tokyo 7th Sisters -EPISODE. 6.0 第6話 感想

前置きとか

(2021/11/25)
第5話の感想記事からとてもとても間が空きました。この10ヶ月の間に色々ありましたが、それはまた別の記事で纏めたいと思います(こういうことを書くと結局書かなかったりするんだけど…気まぐれです)。

こんな間を空けてしまった時点でもう以前のような熱のこもった文章は書けない(6話感想の大部分は過去に書いた文章なのでセーフ)気もするんだけど、冬のナナスタライブの前に士気を高めたいという気持ちもあるので、絞り出していくことにします。

これ以下↓の文章の大部分(具体的に言うとハル以外全員)は過去に書いたものです。2021/1/5くらい?twitterによると第6話を読み終えたのが1/2らしいので、その数日後だと思います。
(と言いつつ、道中もかなり修正を加えています)

いよいよ終わりが近づいてきてしまいました。

そしてライブの告知。(※このライブは延期になりました)

6th+7th。

ナナシスにとって間違いなく重要なナンバリングである「7th」。それを6thと抱き合わせてきました。終わりは確実に近づいてきています。
終わってほしくない。ナナシスの世界観にまだ浸っていたい。

この感想記事は、僕かこの時期にナナシスのエピソードに全力で浸っていたんだっていう記録です。
人間は新しいものを吸収していくにつれ、過去のことを段々と忘れてしまいます。ナナシスが完全に終わってしまった後にもずっと記憶を保持していられる自信は、僕にはないです。でもこの記事さえ残しておけば、当時熱を持っていたんだなってわかる。それだけで満足です。

第6話を読み終わった直後の感想……長いわ。
どの子に対しても感情移入できるストーリーなのは間違い無いのですが、とにかく長い。110分は長すぎる。分割してほしかった…
あと、コロコロ視点が変わるから移入が途切れ途切れになってしまうんですよね。それがプラスに働くシーンもあるんですけど、それでもね。

今までのような書き方で感想を書こうとすると間違いなくダレるので、幾つかのキャラのブロックに分けて書きたいと思います。
でも、こうやって順々に視点が変わりつつ段々と皆が前を向けるようになっていくストーリー、RPGの終盤でそれまでの冒険で仲間になった人達を其々が住んでいる街に迎えに行くシーンっぽくてエモいよね(伝わる?)。

①ヒメ/スイ/シズカ

お墓参りをするヒメとその弟妹。
そういえばセブンスラストライブの前のミトも同様にお墓参りをしていました。

「また来ればいいんだから」

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ナナシスの世界観において「また」「次が」「ずっと」といった言葉が使われるだけで過敏に反応してしまうようになってしまいました。「また」の機会は本当にあるのか、とかね。

この時のニコルは再来年よりも前にセブンスシスターズが解散するなんて、全く考えてなかっただろうな…
とかね。

ヒメの前にシズカが姿を現します。
シズカはもう殆ど答えを出していました。

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シズカは姉のように慕っているマナの影響を受け、最初からアイドルに興味を持っていました。
ナナスタでは、「久遠寺」の名前が自分だけではなく、ナナスタ全体の仕事を止めてしまう事態が発生したことがありました。そこではシズカは自分の番組出演を辞退することで、この事態を食い止めようとします。しかしコニーには「それは”久遠寺シズカ”として正しい答えだね」と含みを持った言葉を投げかけられ、更に777☆Sの仲間からは「シズカの本当の気持ちを教えてほしい」と言われてしまいます。

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「EP3.5-008 私の名前」より

そこでシズカは初めて、「みんなと一緒に歌いたい」という自分の本当の気持ちを吐露するのでした。

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「わたくし」ではない、「わたし」という一人称は、シズカが「久遠寺家」としてではなく、「自分」の本心で語っていることの表れと言えます。
みんなはシズカがシズカだから助けたのであって、シズカが久遠寺家の娘だったからではないよね。

シズカは、今までの出来事で深く傷ついたヒメのことを助けたいと本心から思っています。仲間としてヒメを助けたい、助けなければならないという使命感から、シズカはこの場面においてヒメの背中を押せるかどうかを「今後も皆と肩を並べて歩くための資格」としているのです。

ヒメの最初の想いは「可愛くなりたい」でした。
今、ヒメがしたいことは何なのでしょうか。

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「ヒメにはボクがいる」「ヒメを信じてる」

AXiS事件の最中、今まで自分たちが大切に持っていたものを全て奪われ、完全に自分を見失っていたヒメに対して、ヒメを助けたいという気持ちの籠った言葉は強く効いたんじゃないでしょうか。スイに背中を押されたからこそヒメはここまで来れた、とさえ言えるのかもしれません。

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今までずっと、皆と喜びを分かち合ったり泣いたりして、一緒に活動することが楽しくて、それを理由にアイドルを続けていた。楽しかったのは「過程」「道中」。そんなスイは今、自分が何をしたいのかわからず、変わりゆく他のメンバーに気持ちがついていけず、悩み苦しんでいます。

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そんなスイの背中を押すこと、それこそヒメが今一番やりたいことなんだと気づくのでした。自分の答えもちゃんと出ていないのに気持ちだけでスイの元に突っ込んでいき、理屈ではなくハートでスイの背中を押す姿、本当にヒメっぽくて好きです。ヒメのこういった愚直なハートがいろんな場面で皆の救いになっているのですが、ヒメもまたそれに気が付いていません。

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スイもヒメも、知らずの内に誰かの背中を押しているんだけど、自覚がないし自己評価がとても低いんですよね。ヒメはシズカに、スイはヒメに言われてようやくそれに気づくことになります。
かつて涙を見せて自分の気持ちを皆の前で吐き出したシズカには、もう迷いの気持ちはありませんでした。

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今ここにいる理由も人それぞれ。答えはみんな違っていいし、一緒にいたい、行きたいが自分の本当の答えなら、それでもいいんじゃないでしょうか。

②ロナ/モモカ(+スース)

自分は自分を貫くけれども、それは自分の答え。みんなにも正直でいてほしい。他の人が出した答えは何であろうとも受け入れる。かつてスースはキッパリとそう言っていました。

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こんな辛そうな寂しそうな表情をしながら、ね。

レインボードームライブ当日まであと2日、それなのに殆ど誰もナナスタに来ない状況は、スースの内心を段々と濁らせていました。

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「EP 6.0 第2話 プロと仕事と日常と」より

とりわけ、今までずっと隣にいたムスビの不在はスースにとって大きなダメージとなっていたはずです。第2話でムスビの隣にいた時のスースの一点の曇りも無い笑顔を今になって見返すと、胸が苦しくなってしまいます。

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この「世界中継されるような〜」ははっきり言ってスースにとってはどうでもいい要素であり、この状況を我慢するための言い訳の言葉ですね。

「乗り越えられなきゃダメ」

一見777⭐︎S全体に対して言っているように見える言葉ですが、全て自分に対して言っているはずです。辛そうにしながらも笑顔を崩さない表情が物語っています。

ナナスタは、スースからしたら第二の故郷のような居場所です。
あと2日という状況下、迎えに行ってでも一緒にライブがしたいという気持ちを必死に堪えているはずです。

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この感想記事では都合上、キャラ別に感想を書いていますが、実際には色んなキャラのシーンが乱れ乱れに流れていきます。実際にはこのシーンは(後述しますが)カジカが急激な心の成長具合をサワラに見せつけたシーンの直後に来ています。スースとカジカ、同じ14歳組ですが、かつてEP 4.0では「敵に立ち向かえないカジカ」と「大切なものを守るために敵に立ち向かおうと奮起するスース」の対比が描かれていたように思います。ここでもまた2人を対比的に描いているのではないでしょうか。

スースが涙を隠していたことくらい、ロナとモモカにはわかっていました。
かつて誰かに守られる側の存在であったロナは、いつしか年下の子を気遣い、そっとしてあげられるまでに成長していました。

「どんなに怖くても、ただ信じて待つ。それが一番いいと思う」

このように言うロナの表情は心底辛そうです。でもそんな顔をスースには見せませんでした。

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「好きになっちゃったんだよね、ナナスタのこと」

自分を変えてくれたナナスタを守りたい、がモモカが残る理由でした。
モモカがナナスタ好きなんだなあってシーンは過去にも幾つかありました。EP4.0では、もうお仕事が全然ないって状況でナナスタに来てムスビに驚かれていました。窮地に直面したからこそ、ナナスタが自分にとって大切な場所だったことにモモカは気づいたのかもしれません。

「私、たとえひとりになっても、今回のライブに出ようと思うんだ」

七咲ニコルをニコ様と呼び、他の誰よりも憧れの気持ちが強かったはずのロナ。しかし自分は七咲ニコルにはなれない、自分は角森ロナなんだということを自覚した彼女は、今ではそのニコルすら超えようとしています。

自分が自分であるために、もナナシスのテーマの一つです。ナナスタに残る理由だって全員が同じである必要はないでしょう。誰かがやるから自分もやるではなく、自分がやりたいからやるのです。

「とてもとても辛くて、心細いかもしれないけど」
「でも見てみたいの。新しい景色を」
「ニコ様が、七咲ニコルが見ていた景色のその先を」

「ニコ様」:自分にとっての憧れ。目指していたもの。
「七咲ニコル」:自分とは別の人間。そこがゴールでもない。

こんなところでしょうか。
ニコルだって完全完璧な存在ではなく、普通の人間であるということを既に彼女は知っているのです。

支配人は先日、「セブンスシスターズのまっすぐ光は、長くは生きられなかった。だから…」というような言葉を漏らしていました。それに対して僕は「セブンスシスターズがダメだったから今回も…なんて言うのはおかしい」と謎に怒っていました(↓の記事)。

でもだからこそ、かつてニコ様を崇拝し、セブンスシスターズから光を貰ってここまで来れたロナの口から「ニコルが見ていた景色のその先を見たい」という言葉が出てきた時には、もう…、、、、感情が、、、、、、、、

ロナは、セブンスクリスマスライブの開始時、辛さを堪えるセブンスシスターズの面々の表情に気が付いているようでした。自分の憧れが、"辛さを堪えてステージに上がり、多くの人の背中を押す立派なアイドル"であったからこそ、今回の件でたとえ自分が1人になろうともライブに出よう、というわけです。それもまた、新しい景色なのでしょう。

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かつて自分のことが嫌いだったはずの女の子は、いつしか自分のことに真っ直ぐに向き合える、そして自分の「したい」ことに正直に、貪欲になれる、そんな子に変わっていました。

ロナは、モモカがマネージャーを目指していることを言い当ててしまいます。自分の一番の憧れの存在がマネージャーをしていたんだものね。

ところで、七咲ニコルの公式の紹介はこうでした。

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「時にダラダラ、変なことにも何故か一生懸命」
これ、むしろモモカの自己紹介なんじゃないかと思うくらいです。株にハマってナナスタに来なくなったこともありましたね…。

「EP4.0 第12話 最後の授業」より

EP4.0での1シーン。サワラはこの時点でモモカとコニーが似ていると気づいています。コニーとサワラは19歳同士で仲良かったものね。
このサワラとのやりとりがモモカのその後を変えたのかもしれません。

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あれだけ普段のレッスンをサボろうとしていたモモカが、逆に他のメンバーを連れ戻す意思を見せているの、とんでもない変化ですよね…
でも、好きなことに一直線なところはずっと同じだろうなって思います。

③スース/スミレ

ロナ、モモカに先に行ってもらい、1人で涙を必死に堪えるスース。
その側には、大学の帰り道にナナスタ付近を通りかかったスミレがいました。

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一週間顔を見なかったらそれがストレスになってしまうくらいに支配人のことが好きなスミレは、この状況下でも半無意識に支配人に会おうとしていました。

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スミレに会えて心底嬉しそうな反応を見せるスース。今までずっと必死に堪えて、我慢して来たんだなってのが伝わってきます……。
答えがハッキリしているロナとモモカの前では見せられなかった本当の気持ち。みんなと一緒にやりたい、やれないのは寂しい、辛いの気持ちをスミレにぶつけるスース。スースからしたらスミレは無条件に甘えられる優しいお姉ちゃんのような存在なのでしょう。

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支配人がスミレと初めて出会った時、スミレは自分のやりたいことが見つけられずにふらふらしていました。そんなスミレは今ではやりたいこと、好きなことを見つけ、それを真っ直ぐな目をして言うことができるようになったのです。
今のスミレに必要なのは勇気、後押しだけでした。スミレだってまだ大学1年生、20歳にもなっていません。それで何度も業界の闇と重圧を浴びて、恐怖を感じない方がおかしいくらいです。
しかしそんなスミレの前には、AXiS事件の際にも誰よりも闘うことに対して恐れを持っていなかった、自分の欲求に対しての行動力が並外れた女の子がいました。

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スースの信念として、負けるから何もしない、というのは何よりも耐え難いことなのでした。
さっきまで自分に会えたことを喜び、仔犬のように甘えた表情ををしていた、自分より幾らか若いはずのスースが見せる真っ直ぐで凛々しい顔は、既に答えの出ているスミレが最後の一歩を踏み出す助けになったようです。

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自分に正直に、みんなにも正直でいてほしいというスースの気持ちは、今までスミレが絶対に口に出さずに誤魔化していた言葉、支配人に対する気持ちを出させる一押しになったのでした。

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スミレに必要だったのはあと一歩の勇気であり、スースに必要だったのは一緒にいたい家族のような仲間でした。

ところで、スースとスミレのユニットである「SU SUTA(きゅうとな)」というものが存在するわけですが、正直あまり印象に残っていませんでした。

このナナシスという作品は、「EP 3.0 シトラスは片想い」というエピソードにおいて、デュオユニットを組むことの難しさを問いかける場面がありました。それなのに、そのような話を後輩2人にしたスースがまたユニットを組むのか……適当に支配人ラブの2人を組ませたようにしか見えないんだが…と僕は思っていました(ごめんなさい)。

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うーん。
どんな理屈やルールより偉いんじゃ仕方ないな。
SU SUTA(きゅうとな)、推していきます。次の曲をください。

えっ?もう新曲は出さない??????
お願いします、Le⭐︎S⭐︎Caの新曲をあと1曲ください。
イベント走りたいんです。TTNNでお願いします。

※)2021/11/25追記
Le⭐︎S⭐︎Ca新曲来ました。ありがとうございました。


④サワラ/カジカ/シンジュ

女子寮暮らしで妹達に中々会えず、悶々とストレスを溜めていくサワラ。2人に会いに行きたい気持ちと、2人本人の意思を壊さないようにしたいという気持ちの間で揺れることになります。
そんな中、サワラは筋トレしているカジカしいちゃんを発見し、隠れることにします。

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「EP 6.0 第2話 プロと仕事と日常と」より

それにしても、この動き。
年は倍くらい違っても、やっぱり姉妹なんですよね〜。

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話を盗み聞きするサワラは、カジカが「姉や妹の影響とは無関係に」「自分から」新しいこと(栄養士の勉強)を始めたことに驚いていました。そして、それが自分のことを思って始めたものと知って、普段めったにしないであろう動揺を見せることになります。

カジカはアイドルを始めたのも成り行きのままであったし、その後も姉がやるから、妹がやるからで自分の行動を決めるような子でした。何でもできてしまう姉と年齢離れした頭の回転の速さの妹に挟まれ、自分はその2人のおまけだと考えてしまう自信の無さでした。

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今サワラの目の前にいるカジカは、そこからとても大きく成長していました。自分から誰かのために動いただけに留まらず、それは上辺だけではない、頭の回転の速いシンジュに対しても理論立てて説明できるくらいには本気の行動だったのです。

お姉ちゃんはいつかきっと、私たちの元から旅立っていくよ。

それに加え、カジカは姉が自分たちの元から旅立っていく、という可能性を現実として受け入れる覚悟ができているのでした。

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そしてシンジュはそんなカジカのことを、信頼しきった表情で「姉ちゃん」と呼ぶのでした。今までずーっと「カジカ」呼びだったのに…。

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シンジュは完全に成り行きでナナスタに連れてこられて、「何故自分はここに…?」となっていたような子でした。そして10歳そこらで幾度となく社会の闇、業界の闇、大人の世界の闇を見てしまうことになりました。
その上での「アイドルを続けたい」という意思、アイドルに対する気持ちが相当に強いことが想像できます。


しかしまあ、本当に何がきっかけで人生変わるかわからないものですよね。かつてLe☆S☆Caのキョーコは次のようなことをホノカとレナに言っていました。

「きっかけなんて些細なことのほうが多いでしょ。…アタシだってアイドル目指し始めたきっかけは、超がつくほど個人的な理由だしね。アンタたちと何も変わらないわ。…きっかけはどんなものでも、結果どうなっていくかってことが大事なんだって、アタシは思う

(古瀬風『Tokyo 7th Sisters-episode.Le☆S☆Ca- 後編』p.117)

好きな言葉です。episode.Le☆S☆Caについても、そのうち色々書きたいですね…。

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このカジカの「やりきったって言えるところまではやる」というスタンスはスースと同じですね。
昔のカジカなら「シィちゃんがやるなら私もやる」と言っていたと思います。それでなくても、とりあえず続ける意思を見せるだけで、「いずれ辞める」という未来の話は絶対にしなかったはずです。

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「EP 6.0 第2話 プロと仕事と日常と」より

かつて、シンジュは自分のこれまでの道のりを「お姉ちゃんと一緒にやっている、おままごと」扱いされて動揺してしまうことがありました。この出来事は、自分はどうしてここにいるのか、本当に姉に付いてきただけなのか、それとも別の理由があるのかを考えるきっかけにもなったことでしょう。今のシンジュならキッパリと「それは違う」と言えるはずです。

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変わりゆく妹達の姿を寂しく思いつつ、でも自分のことをずっと想ってくれていたこと、そして妹達の「自分の想定を大きく超えた」成長に対し、サワラはとてつもない嬉しさを感じていました。

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「大切なのは……未来(あした)を信じること!!

本来なら普段サワラが1番言いそうな言葉、そして今回は言うことのできなかった言葉を、カジカとシンジュは「綺麗なばかりではない大人の世界を存分に見てしまった上で」出してしまうのでした。
この局面でまさか妹達に背中を押されるなんて、サワラは思いもしなかったんじゃないでしょうか。

⑤ムスビ

「みんな」と一緒、という前提を失った上で「自分が」何をしたいのかがわからなくなったムスビは、無意識に高校の中をを歩いていました。

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ムスビの前に現れたのは、アイドル部の部長でした。ムスビがナナスタに入るよりも前からずっとムスビのアイドルとしての資質を信じていた彼女は、ムスビがそこからどれだけ高みに上り詰めてもずっと同じ目線でムスビのことを見てくれていました。投げかける言葉に嘘偽りはありません。

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「EP 1.0-002 スクール・オブ・アイドル」より

ムスビは一年生にして生徒会長であり、その業務を完璧にこなしているという事態の凄さを自覚していない節があります。更には、自分を変えようとして逆に自身のの魅力を損ってしまったりするシーンも何度かありました。自分に対して持っている評価がとても低く、だからこそ「みんなが」望む完璧な優等生を目指そうとしていました。
今回も、自分に救われた人間が沢山いることに気がついておらず、かつそれを信頼のできる人物に言われてもムスビの心には届かないようでした。

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「EP 6.0 第5話 消えゆく光の中で」より

ムスビは、自分探し、天童寺ムスビの物語を探し続けた結果、「自分が何をしたいのか」すら「みんながいたこと」が前提となっていたんだと自覚するのでした。
かつて「大人になろうと思うんです」と先手を切って宣言したムスビは、自分が心から賛成した「ドリーム★エイジ」との提携によって「アイドル=職業」であることを突きつけられ、それまで自分たちが追い求めてきたものはなんだったのか、自分は無意味な存在なのではないかと思うようになってしまいました。

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「夢から醒めたみたいだった」

このムスビが見ていた「夢」はムスビ本人にもわかっていなさそうです。それは「自分を探し続けることでいつか意味のある存在になれる」という想いでしょうか。「意味のある存在≒誰かの背中を押せる存在」と言い換えても良さそうです。

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意味はあるんだと断言する支配人に対し、ムスビは今までに見せたことのないレベルの言葉の荒げを見せるのでした。年下で可愛い妹のような存在であるスースに対しても隠すことのできない絶望の顔を見せていましたし、今のムスビは完全に心の余裕を失っているんだな…って想像ができますし、胃が痛くなってきます。
でも、サダモトに説教を受け、自分の正直な気持ちをアイドル達に伝えると決心した支配人の心はそんな言葉では揺るがないのでした。

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支配人はムスビに対し、理論というよりはハートで想いをぶつけるのでした。スイに対してのヒメの声に近しいものがあります。

「君の知らない君自身を、僕が見つけるから」

自分が大人になって彼女たちを守る盾になると決めた支配人の「したい」ことがこの言葉に詰まっています。

無くなってしまうから意味がない、そんなことはないんです。いずれ無くなってしまう「一瞬の煌めき」が誰かの背中を押し続けている、ニコルに押されたロナ、セブンスに押されたスース、ハルに押されたトモエ、、、過去の感想記事で既に何度も書いたことです。
そういえば、セブンスシスターズのラストライブのOPはStar⭐︎Glitter(≒一瞬の煌めき)でした。セブンスシスターズの絶頂から解散までは僅か2年、その期間が過ぎ去ってから振り返ると、これは一瞬です。

ナナシスのテーマの一つに「自分だけの輝きを見つけて」というものがあると常々思っています。
第5話の感想の最後にも書きましたが、ムスビの自分探しはこれからも続くのです。


⑥ハル

絶望に浸り大雨の中を歩くハルの前に現れたのは、AXiSのネロでした。
ハルの過去がここで明かされます。

   「EP 6.0 第4話 氷の世界」より   

決して有名ではなかったアイドルから光を貰い、先へ進む勇気を得た。
ハルとナツミは、アイドルを目指したきっかけが全く同じだったわけです。
ナツミを見捨てるとは、つまり今までの自分の全てを否定することになるので、そんなことはできない。でも、中途半端な慰めの言葉は、無責任なものにしかならない。そう考えて、ハルは動けなくなってしまいます。

誰かの背中を押すとは、果たしてその場を落ち着かせるような取り繕った綺麗ごとを言うことなのでしょうか。そうではないはずです。スイはヒメからスミレはスースからムスビは支配人からのストレートな気持ちを受けたからこそ、自分を取り戻すことができたのですから。
かつての七咲ニコルは絶望に浸るハルに対してストレートに自分の気持ちを伝えてきたはずだ、とネロはハルに言います。

          「EP 5.0 第5話 フォール・イン・ラブ」より             

そういえば、EP 5.0で八方塞がりとなったマノンに対してのルイの言葉も、綺麗ごとではないストレートなものでした。


ネロの言葉を受けたハルは、バスに乗って帰ろうとするナツミを見つけ、必死に追いかけ、ストレートな「自分の言葉」をナツミにぶつけます。

本当にもう、どストレートすぎる応援です。
しかし、ハルに憧れてここまで来たナツミにとって、ハルからの100%自分に向けられたその応援の言葉は、ナツミの凍り付いた心を溶かしてくれたようでした。
誰かの背中を押すにあたって、アイドルとかそうじゃないとかは関係ないんですよね。かつてのニコルは大切なライブを控えた前日であっても一人の少女を笑顔にしようとしたし、EP4.0では顔面をグシャグシャにしながらもハルの背中を押していました。その姿に、華やかな世界でファンを魅了する一般的な意味の”アイドル”の面影はありません。

”私自身が”というところが大事ですね。誰かに認められたアイドル像なんて関係なくて、自分の輝きは自分自身で見つけるものなのでしょう。


そしてライブ当日。
おそらく上からの圧力を受けて失脚した(のでしょうか)五燈田Pにライブの出演キャンセルを迫られ、無理やりハルを連れ去られてしまうのでした。
負けるな、777☆SISTERS。

(まだ最終話を読んでいないので、僕の頭の中ではハルちゃんは1年近く彼らに連れ去られたままになっています。ごめん)

どうにかこうにか書き終わりました。後々読み返したら直したいところ、追記したいところが無限に湧いてきそうな予感しかしませんが。
今週末のナナスタライブ 2ndにEP6.0のお話は一切関係ないだろうし、それまでに…と考える必要は全くなかったと思いますが、自分の中で期限を設けないと一生最終話を読まないで終わってしまいそうだったので…。

最終話を読むだけ読んで、気持ちを100%ナナシスに向けたままナナスタライブに行こうかな、と思います。
セブンスシスターズの過去とか未だに全然語られていないように思うのですが、最終話でどこまで明かされるのかな。





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