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Tokyo 7th Sisters -EPISODE. 6.0 第5話 感想

短めに、気になった部分だけに絞って書きたいと思います。
(と思って書き始めましたが、結局そこそこの長さになりました)
第5話まで読んだ感想なので、6話以降の話はまだ読んでいません。
今更ですが、個人的解釈がたくさんあると思うので注意。

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「ハルやロナと違って」
「アイドルになりたいなんて思ったことはなかった」


777☆Sの12人はこの2年で高みに上り詰めましたが、果たして全員の想いが、気持ちが同じだったかといえば、そんなことはなかったと思います。アイドルに対する執着心も人それぞれですし、単にみんなと活動するのが楽しいから続けていた、という子だっているはずです。

人の細かな表情を読むのに長けているヒメは、以前に支配人に呼ばれて777☆Sが集合し、今後の方向性を話し合っていた時に迷いの表情を浮かべていたハルのことにも気づいています。

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「アイドルって何なのか」がわからないままにわかったふりをして突き進んだ結果、ナツミを救うことはできず、777☆Sはドリーム★エイジ社の配下に付くことになってしまい、自分たちの信念とは程遠いことを強要されてしまう、そんな事態に陥ったとハルは自分を責めています。

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スイもヒメと同じで、スカウトされて以降、自分のやりたいことが本当にアイドルなのかどうかを特に考えず、ここまで来てしまった側でした。
「アイドルになって良かったって思うことは有名になる前の方が多かった」という言葉は、有名になる前は777☆Sのみんなといつも会えて、一緒に活動できた、それが1番楽しかった、ということなのでしょう。

対するハルは、過去にこのようなことを言っていました。Le☆S☆Caのホノカとレナがアイドルになる前、キョーコに呼ばれてナナスタに来た際にハルと会った時のことです。

「あっ、あのっ!今日ってなにがあるんですか!?上杉さんに呼ばれただけで、なにも聞かされてなくって!」

「わたしのやりたいこと!」

(古瀬風『Tokyo 7th Sisters-episode.Le☆S☆Ca- 前編』p.112)

この後、ホノカとレナはハルとムスビによる箱スタでのライブを見ることになり、惹きつけられるのでした。
今さっき始めて会った子に対して、これから自分たちがライブの配信をすることを「私のやりたいこと!」と即答できる、これだけの気持ちがハルにはあるわけです。

この後現れた五燈田Pによって「アイドルは職業、ビジネス」であることを強調され、さらに激しい罵詈雑言を浴びせられることになります。

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アイドルは…ただの「お仕事」ですよッ!!!

この考えが絶対的に誰が見ても間違っているとは僕は思いません。しかし本当に心の底からアイドルが大好きな支配人に対して言わせようとしている言葉としては実にエゲツないものです。

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「新しいものに上書きされるためだけの……『消耗品』(ゴミ)、かな」

ハル達がアイドルを始めた頃は、セブンスの解散後で、アイドル文化が廃れており、アイドルを目指す人なんて珍しい、そんな時代でした。
その頃と比べると、現在は多くのアイドルで満ち溢れており、その場その場を楽しむために短い間だけファンでいるような、ファッションオタクのような存在も多く現れているのかもしれません。むしろ1人や1グループをずっと追いかけている人の方が珍しいのかもしれません。

でも、そんな「一瞬の」存在に背中を押された、救われた、人生を変えられた人間だって沢山いるはずです。その存在はアイドルに限った話ではないし、決して簡単に上書きできるものではないはずです。

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この感想記事でずっと言及している(2031冬のセブンスクリスマスライブ〜2032夏の解散ライブまでの)「例の半年間」に何があったのか、とうとうわかりそうな匂いがしてきます。セブンスシスターズは業界の闇に抗うために解散したのでしょうか。
でも、セブンスシスターズが最終的に「解散する」という手段しか方法がなくその方向へ進んだからといって、777☆Sも同じ道を進むしかない、そうなるしかないと決めてかかっているのは酷いし、セブンスを英雄視しすぎだと思います。支配人はかつてセブンスに魅せられた者だからこそ、こういう考え方になってしまうのでしょうか。

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「悲しいことや辛い気持ちを、全部胸の奥に隠して、ステージに上がる。
それも立派なアイドルとしての姿じゃないかしらって思うから」
ここでロナはセブンスクリスマスライブのことを頭に思い浮かべます。このライブでは、ライブのスタート直前にメンバーの一人であるミトの祖母の最期を知らされてしまい、メンバー全員が涙を必死に堪え、胸の奥に隠しながら歌い始めることになります。

第2話↑の感想でも少し触れましたが、やはりロナはセブンスクリスマスライブでのセブンスメンバーの異変に気付いていたようです。セブンスの解散への道はここから始まったのでしょうか。そしてロナはどこまでそれに気づいていたのでしょうか。

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「自分に正直でいたいの」
「みんなにも自分に正直でいてほしいから」

スースは元々は家には自分の居場所がないと感じ、家出のような気持ちで憧れのセブンスシスターズの出身地であるナナスタに突撃してきたような子でしたが、とある事情でその家族からの愛情を知ってからは「ステキなアイドルになりたい」という思いを強くするようになりました。自分のやりたいこと、が明確にわかっている子と言っていいでしょう。

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そしてAXiS事件の際には誰よりも「AXiSと戦わなければならないという現実」に対して、目を逸らさずに真っ直ぐに向き合っていました。14歳で海外から日本に単身で来てしまうような凄まじい行動力を伴い、自分の幸せを得る貪欲さがとても強い子です。好き…。

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対するムスビは、スースに対して弱さを吐露していました。「みんなが」どうすればいいのかについて悩み続けていたムスビは、「自分が」どうしたらいいのかわからなくなっているようです。
今までずっとユニットを組んできて、様々な壁を乗り越えて、お互いの心を分かち合ってきた2人だからこそ、相手は答えを出せているのに、自分には出せない状況は非常にもどかしいと思います。

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「これは、『私たちの物語』なんだから」

ムスビは「みんなと一緒に」アイドルをやることが好きだったのかもしれません。元々は流されるがままにアイドルを始めたムスビですが、だからと言って勿論アイドルに真剣でなかったわけではありません。アイドルとしての自分が何なのかを知るために、それまで続けていた生徒会長を辞めてレッスンの量を激増させたりするくらいなのですから。
答えが出ている子もいれば出せない子もいる。777☆Sは12人で一緒、という時期はもう終わったということでしょう。

アイドル達に「"最後"の指令」を出した支配人は、現実逃避として酒に溺れているところである男と出会うことになります。それは、セブンスシスターズのお目付役であった、サダモトでした。サダモトもまた、過去に業界の闇に染まった経験のある人物でした。

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セブンスシスターズの解散、それは過去にサダモトが行ったものでした。
そのセブンスの解散について、過去にニコル(コニー)はハルに本音を漏らしていました。

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業界の闇に対しての仕返しとして「解散」という道を選んだ(と勝手に解釈していますが、まだ詳細はわかりません)ことについて、サダモトもニコルも過去に一度は後悔しているのです。
ニコルは、自分たちにもマネージャーがいたら違ったのかもしれない、とも漏らしていました。

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サダモトは支配人に対して、こう言います。

「彼女たち"が"信じたお前は、どうするんだ?」
「お前はどうする?」

支配人は777☆Sの子たちの意思を尊重し、レインボードームのライブに出る出ないも自由に決めていい、とみんなに言いました。それは支配人の持つ信念や正義に基づいた行動と言っていいでしょう。業界の闇に抗い、自分たちの信念を突き通すための言葉と言ってもいいと思います。
しかしそれは支配人個人として本当にやりたかったことなのでしょうか。

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支配人は、本音としては彼女たちにレインボードームのライブに出てほしいと思っているはずです。
「信念」+「復讐」と「やりたいこと」での心の中での葛藤において、前者を過去に優先してしまったことを後悔しているサダモトは、支配人に同じ道を進んでほしくないのでしょう。

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絶望に浸り、大雨の中を歩くハルの前に、謎の人物が現れたところで第5話は終わります。
以前、ハルはこのような大雨の中で自分を騙したネロと口論し、打ち負かされたことがありました。今回ハルの前に現れた人物もネロなのでしょうか。この人物は、ハルにプラスの影響を与えてくれるのでしょうか。どうかそうであってほしいと願うところです。

第5話、それまでに起きていた問題は何一つ晴れることがなく、更に闇が深まっていく、それまでに得た傷を更に抉るようなストーリーでした。
あと2話で全てが晴れるとは到底思えません。

僕の記憶の限りだけで、残っている問題を以下でサラッと整理してこの記事を終わりにしたいと思います。

①ハル
自分の持っていた信念に基づいて行動し一度はナツミの背中を押すことが出来ましたが、結局は「自分とハルちゃんとは違う」とナツミ本人に拒絶されてしまいます。
777☆Sの今後の方向性について、前々から迷い、蟠りがあったのにも関わらずそれを言語化することが出来なかった。そのせいで777☆Sはドリーム★エイジ社の配下に付くことになってしまい、自分たちの信念とは程遠いことを強要されてしまう、そんな事態に陥ったと自分を責めています。
一度は自分を取り戻したハルでしたが、ここにきて再び自分を信じることができなくなってしまったように見えます。

②ナツミ
ナツミは「自分の居場所はどこにもない」と思っていたところで黎明期の777☆Sの中の「ハルちゃん」に背中を押され、アイドルを目指すようになりました。
そして幾度となく業界の闇に潰されそうになっても諦めずに立ち向かい、その過程で憧れのハル本人から直接光を貰うこともありました。
しかし、最終的には感銘を受けた777☆Sの信念を全て否定され踏み躙られ、「母親の愛情の証」であり「ハルにその姿を褒められた」大切な自分の制服さえも台無しにされてしまいます。彼女のような子がまっすぐに自分の明日に向かって進んでいける、そんな時代は果たしてくるのでしょうか。

五燈田P
アイドルを「職業」「消耗品(ゴミ)」と称し、ビジネスの道具としかみていない人物です。結果として彼のプロデュースするアイドル達は「たまたま流行っているから」「人気と数字が欲しいから」という理由でアイドルをやっています。
この「彼にとっての信念」の裏には「アイドルの、数値化できない秘めた可能性」を信じていた父親へ対する恨みがあるようでした。この父親が五燈田Pに何かしたのか、それとも早期に亡くなってしまったのか、詳細は不明です。
彼は電話で、彼の上にあたる人物から何か衝撃的なことを言われたようでした。これも詳細はまだ不明ですが、彼もまた「資本と権力に飲まれればそれまでの存在」だということなのでしょう。

④ムスビ
ムスビは、これからの777☆Sの方針を話す際も、「みんなで」を前提として動いていました。高校では生徒会長に推薦され、それを立派に勤め上げ、他の生徒からの信頼も厚い優等生ですから、リーダーシップがあるのは当然です。しかしここにきて「みんなで」という前提を崩されたことで「自分が」どうしたらいいのかわからなくなっている印象です。ムスビの自分探しはこれからも続くのでしょう。

⑤ヒメ
777☆Sの中でも一際仲間思いであり、仲間が傷つけられた際には自分のことのように感じて行動を直ぐに起こす、そんな子です。そして片親に育てられ、亡き母親の代わりに弟妹を守るお姉ちゃんでもあります。
ヒメは家族にとって大切な日を五燈田Pに潰された挙句、そこでの打ち合わせのないAXiSパロディ、大切な思い出をネタ、エンタメ要素として扱われたことに対して怒ってしまいます。そして怒ってしまった原因は「自分がアイドルを仕事にできなかったから」だと考え、覚悟が足りない自分はアイドルを辞めるべきだという意思を持ちつつあります。
ヒメは支配人にこれからどうすればいいのかと聞いたり、アイドルとは何なのか、支配人の口から聞きたいと言ったりするなど、支配人のことをひときわ信用し半ば依存しているかのような姿が印象的です。今後の話で支配人が自分の気持ちに正直になって「ライブに出てほしい」と直接言えばヒメは出るだろうな、と思っています。

⑥支配人
とにかくアイドルが好きで好きで堪らず、この業界に入ってきたという人物。セブンスシスターズに対する畏敬の念を抱いているようにも思えます。
支配人は「777☆Sにレインボードームのライブに出てほしい」という彼の個人としての願望と、「彼女達の意思を尊重してそれぞれに未来を決めてほしい」という777☆S、セブンスシスターズのこれまでの信念を覆さないための行動との間で葛藤が生まれているのではないかと思います。一見すると後者の行動は崇高なものに見えますが、サダモトには「その行動は彼女達に自分の大人としての責任を押し付け、楽になろうとしているだけ」だと説教を受けてしまいます。777☆Sの皆が幸せな未来へと飛び立てるかどうかは支配人の行動にかかっているのかもしれません。

第6話は100分超えという情報を耳にしてしまいました。そりゃあ↑ここまで問題が残っているんじゃそんな簡単に終わるわけないので、妥当と言えば妥当なのですが…
年内には…うん…


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