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Summer Pockets REFLECTION BLUE 空門蒼√ 感想

書きたいと思ったことを書いていきます。
過去に読んだ√との関連についても書いていきます。ネタバレ注意
(紬→識→鴎→のみき→蒼です。過去の感想記事読んでもらえると嬉しい)
どちらかと言えばPCで読むの推奨です。

空門蒼について。
プロローグでは羽依里の歓迎会を提案し、他√では子どもたちや紬から師匠と呼ばれ、好かれている様子が見られました。のみき√では羽依里がのみきの付き添い役になったことに対し、心底嬉しそうな反応を示していました。なんでも一人で抱え込みがちなのみきがそういう、他の人を頼るようなことをした、という微細な変化が嬉しかったのかな、と思います。
とにかく面倒見が良い子、という印象でした。蒼√を読み終えた今では、寝たきりの藍の相手をずっとしているうちにこのような性格に育っていったんじゃないかなって思います。
蒼の声、可愛くてとても好きです。
ていうかこのゲームの声優さんはみんな演技が上手い。
声優さんによって命が吹き込まれるボイスがあってこその臨場感、没入感だと思うので、自分はフルボイスのゲームはセリフを全て飛ばさずに聞く派です。ミリ〇ン〇イブの望月〇奈ちゃんみたいに超絶ゆっくりしゃべる子がいるなら飛ばすかもしれませんが…このゲームにはいませんし。
Summer Pockets、人生において大切な何かを教えてくれるストーリーに加え、声優さんによって命が存分に吹き込まれたこのノベルゲーム、1√たったの1250円ってなんなんでしょうね。あまりにも安すぎる。
もうソシャゲに課金できません(するけど…)。

OPにおける蒼の言葉「とにかく、私が寝てても"放っておいて"
OPの各ヒロインの言葉からは各√のテーマ性が読み取れる、と思っています。自分は蒼でもう5人目ですし、流石にそろそろプレー前から意識していこうかなと思いました。
なので、ここまで読んできた√の他の子はみんな重要なことを言っているのに、蒼だけ本当にただ道端で眠ってしまう能天気さん…なわけないくらいは予想できていました。
蒼√開始前は、蒼は何か特殊能力持ってそうなイメージを勝手に抱いていました。空門家、名家の匂いがするし、例の青い蝶についてやたら詳しいし。
(ポケ〇ペのイ〇ローみたいな、睡眠がキーとなっている特殊能力者なのでは?と妄想したりしていました)(伝わらない)(世代がばれる)

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識√では、蒼は人目に付かないように巫女の仕事を全うしていました。あの時も蒼は、「絶対に七影蝶に触るな」と言っていたと思います。
蒼√の最初の方から、蒼は「山の祭りの件には触れないで」というオーラをずっと出していました。ストーリーを読み終えた今思えば、周囲の人に関わってほしくなかったんだろうなっていうのが痛いほどに伝わってきます。双子の姉である藍を傷つけ、それを謝ることができなかった後悔と責任を感じて、蒼は一人で…10年間ずっと一人で頑張ってきたわけです。
このストイックさ、何があっても諦めない精神力、絶対に負けないという気持ち。水泳部の大会で失敗し、荒れて不登校となり両親からも諦められた結果この島に逃げて来た羽依里にとって、蒼の持っているこれらの性分はとても輝かしく、心底惹かれてしまうわけです。
そんな羽依里は、1回七影蝶に捕らわれてあれだけ危険な目にあっても尚、蒼のそばにいる、協力すると言うんですよね。元から羽依里のことが気になっていた蒼は、羽依里のこの言葉で恋に落ちていくわけです。

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蒼はそれでも、自分のせいで長い眠りについてしまった藍のことを助けるまでは「(恋愛に)かまけてらんない」と言い続けるのでした。こういうストイックに目標を追い続けられる性格に、羽依里は更に惹かれてしまうわけなのですが。そして、最後の最後のシーンを見るとわかってしまう(後述)のですが、この段階で既に蒼は羽依里のことがかなり好きになっています。
そうやって「好き」の気持ちをずっとずっと奥底にしまい続けた結果、あるきっかけが火種となって爆発してしまうわけで、それが例のシーンとなるわけです。iOS版、審査に引っかからないといいですね。

少年団達はどこまで蒼の事情を知っていたのでしょうか。
蒼は何年もこの夏の期間に七影蝶に触れ続け、藍の記憶を探していました。
蒼が行っていた行動とその理由を全てを知っていたら、彼らは間違いなく協力しているはずです。
空門家が行うことになっている、七影蝶を例の場所へ送り届ける儀式について、蒼は次のように言及していました。
「見る人なんて誰もいないし、島外の人間に見せるものでもないわ」
興味本位で山に来られて七影蝶に捕らわれて事故が起きたら大変ですし、特に意味のない儀式、という風にしておくのが空門家にとっても楽だったのではないでしょうか。
蒼の母は元お役目でしたが、七影蝶は見えない人でした。これにより、蒼は藍についての全てを自分で背負い込むことになってしまうわけです。

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少年団達は、何かを蒼がずっと抱えていることはわかっていても、プライベートに関わるということで深くは触れないようにしていたのでしょうか。
藍の入院している部屋に入った男の人は父親と先生を除けば羽依里が初、とのことなので、やはり深くは触れない/触れさせないようにしていたのだろうと思います。その話題にあまり触れると蒼が辛そうな顔をするから、という可能性もありそうです。

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個人的に、のみきの蒼に対する心配そうな表情がとても印象的でした。
本当に小さな頃からの幼馴染ですから、蒼がこの時期に物凄く眠そうにしていること、夜に山で儀式を行っていますが、蒼が背負っているのはそれだけではないことだって気付いていたはずなんです。
蒼√の1つ前に読んだストーリーがのみき√だったの、運が良かったのかもしれません。この2人、お互いにお互いを心配し合ってたんだなって。
本当に、あったかい…。

蒼のキャラソンが流れるシーンが好き。
過去今までの夏休みは、蒼はずっと「一人で」頑張っていました。前述したように、蒼は大切な仲間たちは絶対にこんなことには巻き込みたくなかったはずです。
しかし今年の夏休みは、これまでとは違います。自分の抱えているものを全てを知っていて、それをまっすぐに受け入れ、なお自分のことが好きだと何度も言ってくれる、そんな最愛の相手がそばにずっといるんです。
このシーンは、この夏休みの楽しさ、最大級に幸せな気持ちを存分に詰め込んだ1日を表していると感じました。
メタ的なことを言ってしまうと、「先にここで幸せを見せておいて、この後でどん底展開に突き落とすんだろうな…」といった予感はもうありました。
(流石に5周目ともなればね…うん……)
その後、藍の心肺停止。一命をとりとめるも、思いつめた蒼は一人で山へ七影蝶を探しに行き、許容量を明らかに超えた無茶な接触をしてしまいます。

蒼と羽依里は、遂に藍の記憶を持った七影蝶を見つけることができました。
そこで2人は、藍の蒼に対する深い愛情、山の中で蒼に拒絶されてもそれでも姉として最後まで頑張ろうとしていた藍の記憶を見ることになります。
そしてその七影蝶の記憶を藍に戻すことで、藍は目を覚まします。

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姉妹の再開シーン、蒼の10年間の願いがここで叶ったわけです。
本当に、本当によかった…。蒼、ずっと頑張ってきたんだもんな…。
劇的に感情移入し、涙腺がまずここで壊れました(1回目)。
それと同時に、ここでもうエンディングを流してくれ、頼む…と願う僕がそこにはいました。
しかし、それを許してくれないのがSummer Pocketsというゲームです。

ストーリーを読んでいる間、蒼がいつ長い眠りについてしまうのか、という恐怖はずっとありました。のみき√では蒼は羽依里に対し、七影蝶に囚われて夢から覚めない可能性があることをとても心配してくれ、その夢からの脱出の手立ても教えてくれました。蒼本人がそんなレベルではない無茶をずっと繰り返しているのはどう見ても明らかだった上に、鏡子さんが見せてくれた古文書には「七影蝶に触れるのは禁忌」と記載されていました。
読者視点だと、本当にいつその時が来てしまうのか、恐くて仕方がなかったのです。
蒼「今日は、なんだか体の調子が良いのよ」
この言葉も素直に喜んでいいのかどうかずっと悩みながら読んでいました。

藍が目覚めた日から一週間に渡る睡眠の後、蒼は目を覚まします。
長く眠りについていた蒼は、自由に体を動かすことができません。
目覚めた蒼の願いは、羽依里の背中に乗って島を回りつつ、迷い橘まで行って蒼の体から零れていく七影蝶を返してあげる、というものでした。
この夏の思い出を振り返りながら、思い出の地を巡っていく2人。
蒼は、これから本当に深い眠りに入ってしまいます。そしておそらく、いや、間違いなく、そこから二度と目を覚ますことはない
それがわかっているのに、蒼は最愛である羽依里を追い詰めて悲しませないように、最後まで笑顔を見せるのでした。

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「ねえ……羽依里……」
「この夏、楽しかったね」
「羽依里は……この夏、楽しかった…?」

そんな蒼が紡ぐ言葉に、なすすべもなく涙腺が決壊しました(2回目)。

「この夏」はもう二度と来ないんです。次の夏は1年経てばやってきますが、この夏はもう何があっても戻ってくることはありません。島に来て蒼と出会い、その眩しさに恋愛感情を抱き、二人で一緒に蒼の抱える困難の解決に奮闘した、そんな夏はもう、二度と、来ない。

迷い橘に着くと、蒼の体から無数の七影蝶が放出されていきます。
本当にもう、どれだけ頑張っていたんだよ…
羽依里は、蒼の記憶の七影蝶が返らないように、必死に掴もうとします。
羽依里の指先がその七影蝶に触れると、「蒼目線」でのこの夏休みの甘酸っぱい思い出が次々に羽依里の脳内に入ってくるのでした。
蒼は、羽依里のことをずっとずっと意識していました。この夏が蒼にとってどれだけ幸せだったんだろうってのが存分に伝わってきます。こんな幸せな夏休み、今までじゃありえなかったんだろうなって…

「羽依里…羽依里……はいり…」
「ずっと…………大好き…」


最後の最後に大放出された蒼の羽依里への想いは、僕の涙腺にダメ押しの如く大ダメージを与えるのでした(3回目)
永遠でないことが美しさを引き立てるだとか、終わりのないものなんてないだとか、そんな戯言はもういいから、どうか蒼と羽依里をずっと一緒にいさせてあげてください。そんなこれまでに自分が書いてきた感想記事を全て覆すようなことを願ってしまう自分がいました。

この夏休みが終わった後、寝たきりの蒼と話すため、そして来年の夏には蒼の記憶の七影蝶を探し、いつか蒼に目を覚ましてもらうために頑張ろうと目を輝かせ、毎日を懸命に生きるようになった羽依里。
誰よりも頑張り屋で、何があっても諦めない、強い信念を持った少女との出会い。それは羽依里のその後の生き方を大きく変えることになりました。

こんなストーリーを叩きつけられたら、漫然と生きるよりも何かに向かって強い信念を持って生きる方が幸せなのかなって思わせられてしまいます。自分で書いていて自分で辛くなってくるんですけどね。
(蒼√に限った話ではないですが)密度の濃い夏休みを過ごした羽依里と各ヒロインに対してはどうしても羨ましく、自分には到底届かない何かを感じてしまうわけです。
1度の夏休み、人生全体に占める時間としてはそれは決して長いものではないのかもしれないですが、そこで彩られた経験はその先の人生に確実に影響を与えますし、ちゃんと意味があるんです。大有りです。

このノベルゲームもただ漫然とプレーして終わるのではなく、そこで発生した感情を記事として形に残すことで、この期間は自分はこういうことに全力だったんだよって振り返りたい気持ちが自分の中にはあるのかもしれません。その前に、自分の中の感情の整理という意味合いが一番強いですけど。文字にしないとわからないことが沢山あるんですよ。何をどうしてどうだったからそのような気持ちに至ったのか、頭で考えてわからなくても文字にしていったらわかることがよくあります。数学の問題も、頭で考えて処理方法が思いつかなくてもとにかく手を動かしていたら解法に至っていたりしますし、似たようなものかもしれません。とにかく、ただ良かっただとか感動しただとかだけで終わらせたくない。
そろそろどの√が一番好きかを考え始めようかなと思っていますが、どの√にも別々の良さがありますし、すぐには判断できません…。それぞれの√の良さを簡潔に纏めた記事なんかもそのうち書きたいですね。
名場面集とか、名言集とか。そのうち聖地巡礼できたらその日記なんかも。

話、逸れすぎました。ごめんなさい。
蒼√を終えた今、タイトル画面に残っているのは、しろはと静久。

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はい。
いや、勝てる気が、しない…。

以下、余談というか色々なおまけ的な話です。
・アイテム
人と人とを結ぶ、想いの込められたアイテムがこの作品には幾つか存在しているように思います。
紬√であれば青いリボン。識√であればハマグリのストラップ。鴎√であればスーツケース。
蒼√のキーアイテムは「トンボ玉」というアクセサリーでしょう。
蒼と藍が持っているそれは、お互いに相手が作成したものです。
10年前、藍は山の中で七影蝶を探す蒼を追いかけ、蒼を見つけるも蒼には振り切られてしまいます。その後、藍は座り込んで泣く蒼の元に再び現れ、蒼を迷い橘まで導いてあげました。
しかし、ここで現れた藍は果たして本物の藍だったのかどうか疑問です。というのも、この後藍は崖から落ちて意識を失っているのを村人に発見されるからです。その道中で蒼が落とした髪飾りを拾ったのでしょうか、落ちた先でも藍はその髪飾りを握りしめていました。
蒼の前に2回目に現れた藍は、髪飾りに願って蒼のことを心配した結果生まれた幻影だったのではないかと思います。識√で羽依里がハマグリのストラップに願って識のいる過去に飛んだように。

・紬√の灯台守の男
羽依里が見た、七影蝶から流れ出した記憶です。
おまけの欄に書いておいてなんですが、蒼√のストーリー全体で見てもかなり上位に位置するレベルで自分が心を痛めてしまった場面です。

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……。
(このスクショを探して貼るだけでもだいぶ辛くなっています)
(しかもこの道中で、一瞬だけ灯台の映像が映るんですよね)
(もはやホラーだと思います)(深夜に感想記事書くのやめたい)
僕がこのゲームを開始して最初に読んだストーリーが紬√でした。
かつての時代に生きた紬(ツムギ)は、灯台守の男と駆け落ちしてこの島を出ていくか、それともこのまま島にいて温かい人たちと暮らすかで迷い続けました。その迷いの感情は紬(ツムギ)を神隠しにあわせてしまいます。
灯台守の男は、駆け落ちを約束した当時の紬(ツムギ)と会うことができず、未練を残したまま戦死した、とここで発覚するわけです。
紬(ツムギ)のいた時代がいつ頃なのかはかつても考察しようとしていましたが、この「戦死」がかなりヒントになりそうです。
このゲーム、最低でも全員2周はしなきゃな…

・チャーハン
藍の件で思いつめた蒼が一人で山へ七影蝶を探しに行き、許容量を明らかに超えた無茶な接触をしていた際に見た、七影蝶から流れ出した記憶です。

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このゲームでチャーハンって言ったらあの子しか出てきません。
ところで、この√からそんなうみちゃんの喋り方が変わってしまいました。
タイトル画面からいなくなったこととリンクしているとは思うのですが…。
チャーハン作るの下手になってるし。い〇ご100%を突然評価し始めたし。ぼくは西野つ◯さちゃん派です。
ともかく、この母親に会いたいと縋る子(メイド?)の様子も何かのフラグの可能性もあるってことで頭の片隅に入れておくことにします。

・しろは√に向けて
しろはの出番は少なかったですが、しろはが蒼のことを気にかけている様子は十分に伝わってきました。あったかい。巫女仲間的な意識はあるのでしょうか。
どうせしろはも後半でとんでもない何かを抱え込むんだろうし…(諦め)

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海の方の儀式(夏鳥の儀)の巫女さん役は他√では全てしろはだったが、蒼√の最初ではまだ決まっていないという描写がありました。これについて、しろは√をやれば何かわかるのでしょうか。

そろそろ終わりとします。少し長く書いてしまいました。
相変わらず「夏休み」という言葉の響きに弱すぎるということを再確認した蒼√でした。
ところで、社会人にとっての実質的な「夏休み」(強制的な有給休暇を含み、11連休)が丸々緊急事態宣言とやらに覆われて何もできなくなりそうなんですが、本当なんなんでしょうね。
どこでもいいから旅行に行きたいんだけどな…


2021/8/3 追記

1周目で書きすぎた反動なのかあまり書くことなかった(それはそう)

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