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Summer Pockets REFLECTION BLUE 野村美希√ 感想

全員書くわけじゃないから。義務にすると苦しくなるのはナナシスで学んだから。

というわけで自分にとって4人目である、のみき√の感想です。
ここまで紬→識→鴎とエピソードを読み進めてきたわけですが(過去の感想記事を読んでもらえると非常に嬉しいです)、正直な気持ちとして
そろそろいなくなるの勘弁してくれ…」(切実)
「純粋な(?)恋愛シミュレーションゲームさせてくれ頼む…」
120%幸せな気持ちで終わる√も読みたいんだが…?」
といったモノが心のどこかにありました。
このゲーム、各√をクリアするとその子がタイトル画面からいなくなるものだから、「もしかして8人ともラストでいなくなってしまうのか…?それはないよな…?」みたいな半信半疑な気持ちまで湧いてくる始末。

読み終えてみれば。
のみき√、ありがとうございました…。
いなくなりません。恋愛シミュレーション全開です。全員幸せです。
思惑通り…って顔にずっとなってました。
いや、ストーリーそのものの予想ができていたわけでは全くないのですが。

のみき√を開始する前の彼女について。
体の成長具合を気にしているところ。識√で識に先輩と呼ばれて満更でもなさそうな表情。鴎√で羽依里に頼られ、最初は反対していた洞窟になんだかんだで一緒に来てくれるところ。
可愛くて心優しくて頼りになる子、そんなイメージでした。

このストーリーを読み進めていくと、見せてくれるんですよね。
生真面目でこの島のことを心底愛し、島民たちから絶大な信頼を受け、なんだってできそうな子が、他の人には中々見せない表情、心の弱さを「自分だけ」に見せてくれるんです。たまんないですよね。

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なんですかこの膨れっ面は。こんな表情、他の√じゃ見られなかったはず。

しかしまあ、(前述したように)この√は恋シミュ要素がとても強いです。僕が感情移入する間も与えられず、羽依里はのみきのことが大好きになります。凄まじいスピードで。そしてそれと同じくらいに「のみき⇒羽依里」の気持ちも強い。両片思い、好きなシチュエーションです。

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ツイッター上でよく見るこの人にずっとなっていました。じれったい…!。
と思いながら読み進めていくと、

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全プレイヤーの気持ちを蒼が代弁してくれました。ありがとうございます。

ストーリーを読み進めていくと、のみきは物心がつくよりも前に両親に捨てられてしまっていること、そしてそれを幼少時に体調を崩した時から「両親は本土で仕事をしている、自分はこの島に下宿している」という記憶で自覚なく上書きしてしまっていることがわかります。
そして、いつかこの島に両親が帰ってくることを夢見て、自分を見つけてもらいたくて、ずっと放送塔の上から本土のある海を眺めているというのでした。
それでも、潜在的な記憶がそうさせるのか、ずっといい子でいれば両親は戻ってくるだろうと思って、のみきは真面目で心強く皆に優しい、どこに出しても自慢のできる少女に育っていくのでした。
そんな事情があったなんて、もう他の子√でものみきが放送塔の上にいるシーンを見るだけで胸が痛くなってしまう…。

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心のどこかで、のみきがずっと両親に会いたいと思っていることがわかってしまう1シーン。放送塔から足を踏み外して落下してしまうところを羽依里に間一髪で助けられたこの姿勢は、もしかしたら物心のない頃に両親に捨てられてしまった瞬間を想起させるものだったのかもしれません。

そして、遂にその時は来てしまいます。
この島についての記事を書くために、のみきに度々インタビューを行っていた新聞記者の男女は、実はのみきの親類であるということ。その事実は、のみきに刻み込まれた偽りの記憶にダメージを与え、自分が捨て子であるという記憶を思い出させてしまうのでした。

これまでも度々、羽依里とのみきは、寝ている際にのみきにとって都合のいい世界である夢を見ていました。どの夢でも2人は心底仲が良くラブラブで、そしてそれをのみきの両親に伝えに行こうとするタイミングで毎回眠りから目を覚ましてしまう。「両親」というワードは羽依里には聞こえない。
現実には存在しないものを夢の中で見ようとすると脳にバグが発生するのかそこで眠りから覚めてしまう現象、自分にもあるのでちょっとわかります。

しかし「捨て子である」という記憶をのみきが取り戻した後に羽依里とのみきが見てしまった夢は、とんでもないものでした。
島民の誰もがのみきの存在に気が付かない、ようやく気が付いたと思えばのみきを「捨て子」「非島民」扱いし、ぞんざいな態度をとってくる。
本来の島民がこんなことをするわけがない、それを一番わかっているのがこの島の全てを愛するのみきでしょう。それでも「自身が捨て子である」という事実、その記憶はのみきに自己全否定の感情を与え、夢の中にとんでもない世界を構築してしまうのでした。

「それでも……捨てられた私にとって、自分という存在に自信が持てないんだ……」「私はっ……いらない子なんだっ……必要とされないんだ……!」

”たとえ両親に捨てられたとしても、それは物心がつくよりも前の話。その後ずっと島民、同世代の仲間たちからも愛されて不自由なく健やかに育ったのならば、ここまでの感情って生まれるのかな…。それでなくても、のみきを捨てた側にもどうしようもない事情があるわけだし。その全ての事情をのみきにちゃんと話せば、全て解決して再びやり直せるよ…”

ストーリーを読み進める僕は、一瞬この↑ような思考になりました。
でも冷静に考えると、「幼いころに両親に捨てられた」という事実がどれだけの恐怖で精神にダメージを刻み込むかなんて、現実で何一つそのようなことがなく生きてきた僕にわかるわけがないんですよね。簡単に想像できるものじゃない。簡単に考えてはいけないし、「気持ちはわかる」だなんて簡単に言えるものではないんです。

島民ではない羽依里からのまっすぐな愛情は、のみきにとっての最大の支えとなったと言っていいでしょう。
過去の(両親に捨てられた)事実からの同情や、島民だから、という理屈が一切ない、ありのままの「今現在の」自分に対して向けられるまっすぐな「好き」の気持ち、それがあったから、のみきの夢を羽依里も同じように見ているし、最後に見たおぞましい夢の中でも羽依里だけはずっとのみきの味方なんです。

そしてこんな残酷な夢から目を覚ますために、羽依里は蒼から事前に聞いていた方法を思い出し、高いところから飛び降りようと考えます。
しかし羽依里が放送塔から飛び降りようとすると、ギリギリのところでのみきに止められてしまいます。死に物狂いで何とか羽依里の体を引き上げることができたのみきは、羽依里にキスをしてそのまま勢いよく放送塔から飛び降りてしまいます。そして今度は、羽依里がのみきの後を追って飛び込んでいき、のみきの体を空中で必死に包み込んで支えるのでした。

「言葉」以上に「行動」の方が相手を想う気持ちって表れるものなのかもしれないですね。
あの局面においてお互いが自分の身を投げようとして、それを相手に必死に止められるの、もうどんだけお互いのこと好きなんだろうって思います。
ましてやのみきは、過去に一度ここから落ちてしまったことがあるわけです。一度味わった恐怖なんてもう二度と経験したくないに決まっています。

当然ですが、のみきのことを想っているのは羽依里だけ、なんてことはありえません。最後まで読み終えた後に振り返ると、少年団の仲間たちののみきに対する温かい言葉が刺さる刺さる…

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ていうかもう、のみき√読んじゃったらもうアレよね。
良一がのみきの前に上半身裸で現れてのみきに水鉄砲で撃たれるお決まりのシーンまで愛おしく思えてしまうのよね。良一がのみきに「お兄ちゃんとして」ふざけて絡んでいるのかなって。このゲーム、やればやるほど味が染み出てくるの勘弁してほしい。OPムービーだってもう見るの苦しいんですよ。まだ半分の√が残っているの、信じられません。

無事に現実世界に戻ってこれたのみきは、羽依里に説得され、自身の親戚である新聞記者2人に最後の挨拶をしようとします。しかし羽依里のバイクに乗って急いでも2人の本土行きの船の出航に間に合いませんでした。
そこでのみきがとった行動は、「放送塔を私用で使う」というものでした。
「あの」のみきが、最後に放送塔を「私用で」使ってしまう強引さ、青春を感じてしまいます。それと同時に、これはのみきが「自分を」優先させたシーンです。羽依里に出会って、自分嫌悪を払拭し、自分を大切にすることを知ったのみきだからこそ起こせた行動と言えるんですよね。
サマポケ全体で見ても大好きなシーンの一つになりそうです。

新聞記者が書いた観光雑誌の中には、のみき本人が書いた文章も掲載されていました。
「この島は、ひとつの大きな家族のようなもの」
そしてエピローグでは、のみきの「家族」が集結し、三者面談に押し寄せてきます。そこでのみきは本当の両親に会い、この物語は終わりとなります。

終わってみれば、120%幸せな気持ちで終わるストーリーでした。
のみきは紬や識、鴎とは違い、他の子√でも最後まで出てきます。羽依里とここまで仲良くならなかった場合、のみきは過去を清算できず、夢の中でのみ両親の存在を見続けていたのでしょうか。ある運命的な出会いが少女の背中を押し、その後の運命を変えてしまう、そんなひと夏のストーリー。

そして。

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次はうみちゃん√……あれ。
いないんだけど。どうして。
いや、この3人は最後にやるって紬√やった時点で決めていたんですよ。
静久は紬に感情を持っていればいるほどにヤバいって聞くし。
しろはと蒼はどう考えてもこのゲームのメインヒロインだと思いますし。
羽依里の過去のトラウマにも大きく触れてくるんじゃないかな…(想像)
僕の最後の逃げ場、返してください… 


2021/8/1 追記



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