火曜ドラマ「くるり〜誰が私と恋をした?」OPイラストの解説
※この記事はTBS系火曜ドラマ「くるり〜誰が私と恋をした?〜」8話のネタバレを大きく含みます。まだ見ていない方、内容を知りたくない方は、8話をご覧になってからお読みください。
とても光栄なことに現在放送中の火曜ドラマ「くるり〜誰が私と恋をした?」のOPイラストの1枚を描かせていただきました。
このイラストの中にはたくさんの意味合いを含めました。ドラマやキャラクターをよりいっそう楽しむ一助になりましたら何よりです。
https://www.tbs.co.jp/darekoi_tbs/
くる恋のざっとしたあらすじ。
記憶喪失の主人公・緒方まこと(演:生見愛瑠さん)が、自身の記憶、そして持ちものの中に入っていた男性サイズの結婚指輪の持ち主の謎を突き止めていく。そんなミステリー要素が掛け合わされたラブストーリードラマです。
私も毎週リアタイして楽しく拝見しています。
OPイラストは3種類。
まことの指輪がピッタリ指にピッタリハマった、イケメンの3人の男性キャラクター達それぞれをイメージしたイラスト達です。
私は朝日結生くん(演:神尾楓珠さん)パートのイラストを描かせていただいてます。
キリッとした見た目とは裏腹に、柔らかくて穏やかな振る舞いがとっても可愛いです。好き〜〜!
そんな朝日くんの人物像を、イラスト制作にあたって事前にある程度お聞きしていました。その情報を解釈し、イラストの中に組み込んでいってます。
※ここからめちゃめちゃネタバレオンパレードなのでお気をつけください。
別ブラウザなどでイラストを出して、見比べながら読んでいただけると楽しいと思います。
1.イラスト全体の色合いについて
まず監督さんから「極彩色でお願いします」というご要望がありました。
じゃあ具体的にどんな色にしようかなと考えたところ、「1つのカップ麺をまことと2人で分け合った」という朝日くんの思い出から、食べ物→食欲カラー!ということで暖色系+緑色中心の色で描いていくことにしました。
ちなみに朝日くんは記憶喪失前のまことと「同期で一番仲がよかった」と言っていましたが、それが嘘であることが8話で明らかになります。実際には、カップラーメンを分け合った思い出以外にまこととの特別な関わりはありません。
ですが朝日くんにとってはその思い出だけが、まことと自分を繋げられる唯一のもの。一見些細かもしれないこの思い出に、彼は必死にしがみついているんじゃないかと想像しました。
食欲カラーを全面に出したのは、「カップ麺=食べ物に強く関連した思い出を頑なに保とうとする朝日くんの強がり」の表れです。
朝日くんは明るく優しく振る舞うことができます。朝日くんのおかげで笑顔になり、明るい時間を過ごすことができたのはまことに限らず、他のいろんな登場人物達もそうです。
そんな明るさ、人当たりの良さで自分の弱さを隠そうとしている。そこが朝日くんの個性だと思い、その点を色合いで表現しました。
2.散りばめられたモチーフたちについて
色々描きました!テレビやおままごとセット、積み木などのおもちゃ、青い鳥。これらは全部朝日くんが「嘘をついている」という象徴です。
・テレビ(左下)
▶︎テレビドラマの世界はフィクション。つまり現実には存在しません。
・おままごとセット(右端)
▶︎料理の真似事ができますが、それで出来上がったものは実際には食べることはできません。遊びで出来上がった食べ物はあくまで空想の中にのみ存在します。
「カップラーメンを食べた思い出」と、「現実には存在しない」という意味合いを掛け合わせています。
・積み木(右下)
▶︎遊びの世界で街を作ることができますが、現実にはその街は存在しません。
・カゴの中の青い鳥
▶︎全身が青い鳥は物語の世界には存在しますが、現実にはいません。
他、ありえない空間様式や空飛ぶ車、空中に漂う魚、UFO、宙に浮かぶ街、それらも空想上では存在しますが現実世界には存在しません。
・緑の壁掛け時計
▶︎振り子はありますが、針はありません。この針はわざと抜いてあります。針があることで今が何時か、また時間は流れていくものだということを知ることができます。だったら抜いてしまえば時間なんてわからない。タイムリミットも気にしなくていい。「この明るい空間で、この時間がいつまでもずっと続くように」という朝日くんの願いを表現しています。
でも、実際には時間は流れています。針を抜いたところで時間が止まってくれることはないのです。いずれまことは本当のことを思い出すし、自分が嘘をついている事実も知ってしまう。
「このまま思い出さないでくれ」と5話終盤でボソッと朝日くんはこぼしていました。朝日くんは、この時間がいつまでも続くわけではないことを、本当は心の底では気づいていたのかもしれません。
・りんごを頭に乗せたヘビ
▶︎「旧約聖書」内の創世記に登場する、かの有名なヘビをモデルにしています。ヘビに唆されたイヴは誘惑に負けて、神様に禁じられた果実を口にしてしまいます。そのストーリーを少しだけ掛け合わせました。
記憶喪失のまことの前で「親友だった」と言えば、少なくとも記憶を無くしている間だけは本当に彼女の一番親しい人でいられるかもしれない。そんな誘惑に彼は負けてしまったのかもしれません。
・ほんの少しの現実要素
▶︎監督さんからのご要望でノートPCと、上部分の本棚にオフィス用ファイルといった現実的なモチーフも入れました。どこか「現実にも向き合わなくちゃ」と揺らいでいる部分も朝日くんらしいですね。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか?
ぱっと見明るく描かれたイラストに隠れた意味を含ませるという描き方が私は大好きなので、本当にめちゃくちゃ楽しく描かせていただきました…!
ほぼ毎週リアタイして、1ファンとしてもとても楽しませていただいた作品でした!
ここまで読んでくださってありがとうございました!
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