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奈良の奇跡

奈良県の産業は色々あるけれど、「観光」が占める割合は大きいと思う。
寺社仏閣の参詣はもちろん、奈良公園で鹿と遊んだり、カフェや雑貨屋めぐりも楽しい。

奈良の観光地としての側面は、東大寺と大きなかかわりがある。
東大寺とは「奈良の大仏さん」がいらっしゃるお寺。
創建が752年なので1200年以上の歴史がある。

東大寺は二度焼けた。現在の建物は江戸時代のものだ。
当時の人々が沢山のお金と沢山の労力を使って復活させた。
生まれ変わった大仏さんを拝むために沢山の人がやってきたのだ。

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人がくれば泊まる場所がいる。宿屋が増える。飲食店だって繁盛する。案内する人も求められる。現在でいうガイドブックができ始めたのもこのころだという。

江戸時代。社会に秩序が生まれ、安定した生活を営むことができた時代。街道というインフラが整い、旅をする「道」ができた時代。出版文化が花開き、訪れる人に有益な情報をもたらす「本」を庶民が手に取ることができた時代。

そういう世の中の後押しを受けて「大仏さんを見物にくる」という流れができた。これは奈良の奇跡だと思う。

さらに言うと、江戸時代に以前から「巡礼」という文化があった。
桜の名所で名高い奈良の吉野は修験の聖地として名を馳せていたし、お伊勢さんは言うまでもない聖地だし、大阪の住吉さん、京都の加茂社、滋賀の多賀大社(おたがさん)、もっといえば瀬戸内海のこんぴらさん。全国の聖地を巡る「聖地巡礼」が連綿とあった。

昔は旅って超絶ぜいたくなことだったと思う。貴族や天皇がどこそこのお寺に詣でて●●日お籠りして・・なんて記述がよくあるけれど、お金ないとできませんから!農作業や商売をしている人々は、一日だって完全オフにするのは難しかったと思う。

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でもどうしても巡礼しないといけない人がいただろう。もしくは巡礼者に託す人もいただろう。古代より存在する「聖地」 その聖地と聖地の中間点にあった場所。それが奈良だった。

立ち寄りせざるを得ない場所。それが奈良だ。


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