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補助金加点要素「パートナーシップ構築宣言」

ども、ならなすおです。
今回、中小企業さん向けの情報になります。

取り上げるのは、「パートナーシップ構築宣言」
これをやっておくと、各種補助金申請の際に加点が受けられるというのがウリです。
公式サイトは↓です。

こういうのの面倒くささって、やってみないとわかんないじゃないですか?
自分で起業していると、こういう時、便利です。
弊社で宣言を作って、申請してみました
ついこないだ。
2024年7月24日(水)に。
鬼簡単だったー。
まだ正式登録はされてないんですが、多分大丈夫だと思います。

つい先日締切だった「事業再構築補助金」で加点を取ろうと思う方にも使えたんですが、申請してから登録されるまでに少し時間がかかるため、ぎりぎりで出しても「間に合わなかったー」となる可能性が高いと思い、混乱させると悪いので、記事公開の時期を今日にしてみました。

「補助金の加点を取るためだけに、あんまり無意味な作業をするのは・・・」
という方、いらっしゃると思います。
同感です。
そこに、ものすごくエネルギーを使うくらいなら、本業を頑張った方がいい。

でもこの制度、めっちゃ楽ちんです。
そして何より、「嘘っぽいことを一切しなくていい」です。
経営に「無駄」と「嘘」はない方がいいと思いますが、そのどちらもほとんどないです。

この記事を読んで、「ま、宣言しとくかな」と思っていただける企業さんがいたら、嬉しいです。

それでは、本編、始めていきたいと思います。

(1)そもそも、何?

公式サイトでは、パートナーシップ構築宣言は、
『事業者が、サプライチェーン全体の付加価値向上、大企業と中小企業の共存共栄を目指し、「発注者」側の立場から、「代表権のある者の名前」で宣言するものです。』
と書いてあります。

この宣言の根本精神は、「下請取引をする際に、親企業に下請けいじめをさせない」という事です。
宣言を所管している「(公財)全国中小企業振興機関協会」という組織は、かつて「全国中小企業取引振興協会」(「ぜんとりきょう」と略してました。)と名乗っていて、全国の下請中小企業の代表として、経済界に、「下請け取引を公正にやって!」と呼びかける仕事をずっとしています。

下請取引について、自動車を例にとって説明しますね。
・アセンブラー
「トヨタ」みたいな完成車を売っている会社を、「アセンブラー」と言います。
・Tier1
トヨタに部品を直接納めている「デンソー」みたいな会社を「Tier1」(ティアワン)と言います。
・Tier2
Tier1に部品を納めている会社を「Tier2」(ティアツー)と言います。
・Tier3
Tier2に部品を納めている会社を「Tier3」(ティアスリー)と言います。

こういう取引構造を「垂直分業」と言い、Tier1を「一次下請」、Tier2を「二次下請」、Tier3を「三次下請」と言います。

例えば、Tier2から仕事をもらえないとTier3は困るので、立場的に弱くなります
その立場を利用(「優越的地位の濫用」と言います)して、Tier2がTier3に、値下げを要求したり、お金のかかる金型の保管を無償でやらせたり、といった事が起きかねません。

そういう言わゆる「下請けいじめ」をさせないために、「下請代金支払遅延等防止法」(「下請法」と略します。)や「下請中小企業振興法」(「下請振興法」と略します。)といった法律があります。

でもそういう法律を無視する企業さんも時々いるので、「そういう商習慣とか文化を変えていこう」というのが「パートナーシップ構築宣言」です。

世の中的に、すごく大事なやつですね。
でも、「うちの会社に関係あるかな?」

次章をご覧ください。

パートナーシップを構築する若手社長

(AIで生成)


(2)弊社、対象外では?

前章を読んでいて、

『ん?ワシ、「発注者」(親企業)になったことないけど?』
と思われた方、多いと思います。

弊社も、下請けいじめをする立場になったことは、ありません。

でも、消耗品を買ったり、原材料を買ったり、サブスクの契約をしたりは、しますよね?
その時、あなたは「発注者」です。

この宣言を作る資格、充分にあります


(3)具体的な中身

パートナーシップ宣言の中身については、
公式サイトにアップされている「記載要領」というのを見ながら、
同じくアップされている「ひな形」というのを少しいじって完成させます。

主な留意項目は、↓です。

①やることの個別項目

以下から選択します。
a.企業間の連携
オープンイノベーション、M&A等の事業承継支援 など
b.IT実装支援
共通EDIの構築、データの相互利用、IT人材の育成支援、サイバーセキュリティ対策の助言・支援 など
c.専門人材マッチング
d.グリーン化の取組
脱・低炭素化技術の共同開発、省エネ診断に係る助言・支援、生産工程等の脱・低炭素化、グリーン調達 など
e.健康経営に関する取組
健康経営に係るノウハウの提供、健康増進施策の共同実施 など

弊社の場合は、オープンイノベーションIT実装支援ができるので、その2つを選択し、何をやるか書きました。

②下請企業との取引適正化

下の項目の「ひな形」の記載を必要があれば修正します。
・価格決定方法
・型管理などのコスト負担
・手形などの支払条件
・知的財産・ノウハウ
・働き方改革等に伴うしわ寄せ

弊社は金型の管理というのがないので、その項目を削除しました。

こうやって作業していくと、すぐ完成します。
それをPDF化して、サイトの指示に従って提出すれば完了です。

これもパートナーシップですが、意味が違いそう

距離が近過ぎます

(AIで生成)


(4)これからの補助金事務


パートナーシップ構築宣言、「事業再構築補助金」や「ものづくり補助金」などの主要補助金で、加点項目になっています。

でも実務的には、多くの中小企業さんは「下請けいじめ」とかしたことないと思いますし、「これ意味あるん?」と思われるかも知れません。

その皆さんの疑問、残念ながら、これから、増していくと思います。

理由は、「補助金事務局が民間に外注されるようになったから」です。

補助制度に直接関与できるプロフェッショナルが減る以上、審査は外形的なものにならざるを得ません
「これが書かれてあるか」
「ここの記載はこうやって順位付け」
「この加点があるか」
といったマニュアルに基づき、淡々と審査される時代になるでしょう。

なので、これは本当に残念な事ですが、「事業にかける熱い思い」「これまでの血のにじむような努力」といった、これまで作文で頑張ってきた部分は、あまり評価されなくなるでしょう。
これからは、「作文ではなく、戦略として数字や定型の記載に落とし込む」時代です。

パートナーシップ構築宣言も、同じです。
「弊社、その手の取引がないので、作りませんでした」という声は、事務局には届かないでしょう。
事務局の判断基準は、
「作ってれば○点加点」
というだけだと思います。

事業計画や補助金申請書も、こうした時代の変化をとらえてアップデートしないといけません。

そうして書類審査を突破し、次に面接があるような場合は、、、
それは、「経営者の人となりが見たい」「熱い思いを直接聞きたい」という事です。
その時思う存分、思いを語っていただけばいいです。

世知辛い世の中だと思われたかもしれませんが、補助金実務の現場は今、そんな感じだと思います

補助金申請書を書きあげた若手社長

(AIで生成)


(5)おわりに

補助金の加点が取れる計画書等は他にもありますので、今後順次触れていきたいと思います。

後半、割とドライな文脈になってしまいましたが、昭和なコンサルの私から一言

「熱意を数字に乗せることは、可能です。」

中小企業診断士という職業の人間は、3期分の決算書(数字)を見ただけで、感動できる人種です。

売上・利益創出の取組涙ぐましい節約どれほど従業員を大事にする会社か等々、、、

そういう企業さんの頑張りを、決算書から読み取ろうと、懸命に精読し、分析します。
(もちろん読み取れないこともあります。その場合は直接聞きます。)

当然社長さんとの面談は最重要視しますが、それと同じくらい、決算書などのお預かりする書類も大切に扱わせていただきます。

故に我々は、各種補助制度のフォームに合わせて、「クライアント様の頑張りを定型フォームに叙情的に乗せる」工夫をし、全力でサポートします。

新しい時代になっても、「入念に戦略を立て、妥協なく実行した企業が勝つ」という基本線は変わらないと思いますし、「誠実に頑張る企業さんに光を当てたい」という政策担当者、支援者の思いも変わらないと思います。

審査の手法が、少し変わっただけです。

「パートナーシップ構築宣言」のような「補助金で加点を取っていく取組」は、小手先のテクニックではありません。

少しでも補助金取得の可能性を上げる「あと一押し」になるかも知れないやつです。

是非、取り組んでほしいです。

今回も、ご覧いただき、ありがとうございました。

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