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[補助金申請虎の巻12]エビデンス各論「人件費」


ども、ならなすおです。

このシリーズは、2025年の年明け以降に出てくる、経済産業省系の各種補助金へのエントリーを目指す中小企業さん向けに書いています。

個別の相談は弊社「合同会社それがし」にて、いつでも無料で承っておりますので、下のリンクのフォームからお気軽にお問い合わせください。


今回は、対象経費の積算の各論「人件費」です。

IT系のお仕事をされている方は、経費のほとんどが人件費、家賃、パソコン代、だったりするかと思います。

そういうのって、全部補助対象経費から外れることが多いんですよね、、、

「人件費」、何故対象から外れることが多いのか?

それも含め、今回解説していきたいと思います。

よろしくお付き合いください。

本編、スタートです!



(1)人件費が補助対象になる場合

そもそも、人件費は、補助対象になりづらいです。

なぜかというと、「その社員さん、補助事業以外の事もしてるよね?」となるからです。

補助金というのは、厳格に、
「その政策目的を達するための、特定の事業のみを、切り分けて補助する」
というスタンスを求めます。

つまり、他の事にも使えるようなことからは、「補助対象外」となります。

人件費については、社員さん。
補助事業以外の事も、当然やります。
「この時間は補助事業をやりました」という風に切り分けるのが難しかったりします。
なので、多くの制度では、人件費を対象外にします。

唯一といってもいい、対象にできるケースというのが、研究開発事業の研究員さんです。
これは、研究員さんの頑張りがないとそもそも開発するのが無理なので、面倒だけど従事時間を計算して補助対象にしてくれます。

余談ですが、人件費のほかに、「パソコン」など、「補助事業以外にも使えるよね」と言われてしまう機器の購入も、対象外になってしまいます。

冒頭に触れましたが、IT事業者さん。
経費の多くがスタッフ人件費と、パソコン等購入費。
正直言って、補助金との相性、良くないです。

次に、人件費が補助対象となり得るケースがもう一つあって、展示会に出展するケースなどで、「専用のアルバイトを雇う」という場合です。
この場合は、そもそもその事業しかやらないことを前提に雇っているので、補助対象経費にできます。
ただし、この場合も、雇用契約、給与明細、タイムカードなど、証拠書類を山のように準備しないといけないので、大変です。

研究開発を進める彼女

(AIで生成)


(2)人件費の事務処理の詳細

経済産業省さんの「補助事業事務処理マニュアル」(令和4年6月)から、「人件費」「補助員人件費」の項目を見ていきたいと思います。

https://www.meti.go.jp/information_2/downloadfiles/2022_hojo_manual02.pdf


①人件費

専ら補助事業の研究等に従事する職員の、従事時間の人件費を計算し、補助対象経費に含めます。

人件費は、以下の式で計算します。

人件費 = 時間単価 × 時間数

時間単価は、「従事職員の人件費を時給換算する」という恐ろしく面倒な作業を伴います。
勤務実績から時給を出そうとする「実績単価計算」というのをするととても大変なのですが、会社が年金機構に既に出しているその職員の「健保等級」に応じて時給を推定する「健保等級単価計算」というのがあり、これだと表の該当欄を見れば一発で時給を出せます。

[健保等級による時間単価計算]
(経産省事務処理マニュアルサイトより)

https://www.meti.go.jp/information_2/downloadfiles/R6kenpo.pdf

次に、時間数の特定ですが、これは「業務日誌」というのを毎日付けておかないといけません。
「○日○時から○時まで、この業務に従事しました」というやつです。

ご存じのとおり、日誌は、作成をサボると後々記入が大変になるので、補助事業の採択を受けた瞬間から、日誌を整備し、担当職員に「これ毎日書いてね」と言って渡しておきます。


②補助員人件費

こっちは、展示会で雇う宣伝員さんなど、いわゆる「臨時のアルバイトさん」の経費です。
アルバイトの契約、給与明細、タイムカード、業務日誌などが必要になります。
展示会出展などでは、人員配置も含めて業者さんに委託するケースも多いと思いますが、その場合は、経費全体を「外注費」としたりします。
会社で個々にアルバイトを雇うより、外注にした方が、楽です。

業務日誌を書く彼女

(AIで生成)


(3)おわりに

人件費を補助対象にできるのは、レアケースです。

その分、自社に該当しそうな「人件費計上OKの補助制度」が出てきたら、それは狙い目です。

ただし、そういう美味しい奴は、他の企業さんも狙ってくるので、倍率が上がります。

狭き門であることを覚悟の上で、チャレンジしていく姿勢が求められます。

今回もご覧いただき、ありがとうございました。

次回は「設備・備品費」。
最近メインになっている経費です。

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