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[補助金申請虎の巻11]対象経費の積算

ども、ならなすおです。
 
このシリーズは、2025年の年明け以降に出てくる、経済産業省系の各種補助金へのエントリーを目指す中小企業さん向けに書いています。
 
個別の相談は弊社「合同会社それがし」にて、いつでも無料で承っておりますので、下のリンクのフォームからお気軽にお問い合わせください。


今回から、怒涛の6れんちゃんで、「対象経費の積算」について解説していきたいと思います。
 
面倒だけど大事な所ですので、投稿回数を増やして1つ1つの内容のボリュームを落としました。
全話ご一読いただければ幸いです。
 
まず1回目は、全体の概論です。
 
補助金は、前回示したような「補助金の色」、つまり政策目標によって、「ここに使って欲しい」という経費が異なります
 
その違いを把握したうえで、御社の投資に最適な補助金を選ぶ、というのが前回の話。
今回から、選んだ補助金のメインとなる対象経費のエビデンスをどうやって整えるか、という話です。
 
経費各論に入る前に、その辺のお話しをさせていただきます。
 
結論を、最初に書いときましょう。
 
補助事業のめんどくささは、「補助金の額」ではなく、「証拠書類(エビデンス)の点数」に比例します。
 
詳細は、本編にて。



(1)補助事業の経費の考え方

まず、補助金の「カネメ」についての考え方です。

①補助事業に要する経費

事業計画に書いた事業をやるのにかかった経費全体です。
「要する経費」と略します。
 
ここに書いた経費の証拠書類(エビデンス)を、全て整備しないといけないです。
 
消費税は対象外経費ですが、要する経費には入れていきます。


②補助対象経費

要する経費から、対象外経費を除いた額を、「補助対象経費」と言います。
ここに記載した金額に補助率を変え、補助上限を超えない金額で、補助金が支給されます。
 
補助対象経費は、少なくとも消費税分は要する経費より小さくなります

書類整備に励む彼女
(AIで作成)


(2)補助対象経費

計上していい経費は、補助制度ごとに異なります。
 
「事業再構築補助金」を例にとると、以下のような経費が対象になってきます。
 
・建物費
・機械装置、システム構築費
・技術導入費
・専門家経費
・運搬費
・クラウドサービス利用費
・外注費
・知的財産等関連経費
・広告宣伝、販売促進費
・研修費
 
「建物費」というのは、工場そのもの、レストランそのもの、といったイメージです。
ほとんどの制度で、補助対象外になります。
 
「機械装置・システム構築費」というのが、設備投資系の補助制度ではメインになります。
一昔前までは、「システム構築費」というのは「外注費」に分類されていたんですが、投資の中心がシステム構築費だったりする場合が多くなってきたので、設備投資と同じカテゴリーに分類され始めました。
ここは、証拠書類(エビデンス)
 
「外注費」というのが、自社でできない加工や検査などを他社に委託したりするケースです。
額が大きい場合が多いので、エビデンス整備は慎重に行います。
 
「人件費」は事業再構築補助金では対象外ですね。
 
その他「専門家経費」や「販売促進費」「研修費」の中に、「旅費」という経費が紛れ込むんですが、これがまためんどくさい、、、
私なら、旅費は、「可能な限り対象経費から外したい」です。

設備投資の相談をする彼女
(AIで生成)


(3)経費を積む際に気を付ける事

経費を積むタイミングは、2回あります。
 
A.公募に応募するとき
B.採択された後、交付申請をする時
 
Aの時は、かかりそうな経費を積んでおいて、Bの段階ではより現実的な経費水準に積算し直す、というイメージです。
「Bの時に出す経費がAと大きく違う」というのはNGです。
 
つまり、最初の応募の時から、かなり現実的な経費の積算をしておかないといけないということでね。
 
その際の留意点を、下記します。


①エビデンスは、少ない方が楽!

大事MANブラザーズバンドさんじゃないですが、「これが一番大事」です。
額の大きな経費から順番に経費に加えていって、一昔前だったら、税抜額が補助対象経費の上限に達したら、それ以外の経費は「要する経費に入れなかったりしました。
 
エビデンスは、1点1点の事務処理が面倒です。
1千万円の設備購入に係るエビデンス整備と、3万円の出張旅費のエビデンス整備の手間、大体同じだと思ってください。
 
冒頭に言いましたが、繰り返します。
 
補助事業のめんどくささは、「補助金の額」ではなく、「証拠書類(エビデンス)の点数」に比例します。

めんどくささを回避するためには、エビデンスの点数は少なければ少ないほどいいです。


②とはいえ、要する経費は積む必要あり

設備投資に対して補助金を出すようになって以降に一般的になってきたのが「収益納付」という考え方です。
「補助金を入れた事業ですげー儲かったら、その儲けを補助金交付額を上限に納付してね」というやつです。
 
これ、中小企業さんにはものすごく抵抗があるんじゃないかと思いますが、最初からものすごく気にする必要はないです。
 
計算式があるんですが、ホントにめっちゃ、めーっちゃ儲かったとき以外は、収益納付は発生しないです。
 
でも、可能な限り収益納付額は小さくしたいですよね。
収益納付の計算式に「要する経費」が出てくるんです。
補助事業は、「要する経費」を「補助金」と「自己資金(手出し)」で賄って実施されます。
ざっくり言うと、当初に手出しした経費は、収益から控除できます
「要する経費」をちゃんと積んでおくと、収益納付計算時の控除額がデカくなる、ということですね。
 
要する経費の積算は、「面倒くささ」と、「後々良いことあるかも」の、バランスです。


③おススメする基本スタンス

おススメの運用は、以下です。
 
最初に公募に応募するときに、対象経費に積んだもののエビデンスを整備する姿をイメージします。
「このぐらいならやれる!」というレベルまで、経費に含めます
旅費など、細かすぎる経費は、割愛します。
 
やってみるとわかるんですが、一つ一つのエビデンス整備、未経験者のイメージの10倍大変です。
最初の補助金活用の際は、支援者(無料の公的支援機関でもOK)にサポートしてもらうのが絶対にいいと思います。
 
弊社に手伝わせてくれると、嬉しいです。



書類の多さに呆然とする彼女
(AIで生成)


(4)おわりに

「めんどくさそう」というイメージを与えてしまったなら、お詫びします。
 
でも、エビデンス整備は、面倒です。
 
だから、対象経費の積算は、「これは絶対対象に入れる」というものから優先順位を付けながら進めた方がいいです。
 
補助金が出るからと、何でも経費に入れてしまうと、ほんっとに大変です。
 
そんなのは、本来の中小企業さんの仕事じゃないです。
そんなことに取られる時間があったら、外回りをして契約を取ってきましょう。
 
当初から、しっかりイメージし、備えることによって、補助事業は、実行可能なものになります。
人数の少ない、小さい企業さんでも、可能です。
むしろそういう企業さんを、私は手伝いたい。
 
未来を拓くために、補助金を活用してみましょう。
 
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
 
次回から各論。
「人件費」から始めます。

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