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さらば、我が娘たち。

めっきりペースが落ちてますが神話シリーズやまだまだ書いてないことは続けるとして。
LA-MULANA1+2パッケージが発売され、KickStarterのリワード発想も終わった今、ようやく長い長いLA-MULANA2のプロジェクトが終了になる。ひょっとしたら数年後の新たなゲームハードに両作品が移植されることはあると思うが、ひとまずはLA-MULANAの発売お祭り騒ぎはこれが最後だ。我々もいつまでもLA-MULANAばかりではなく新しいものを作っていかなきゃならない。だからこそこのタイミングで我が娘たちにも感謝と別れを告げなければなるまい。

我が娘たちと言うのはLA-MULANAとLA-MULANA2に登場するルミッサとムーブルクのこと。なんだ我が娘って気持ちわりーな!と思うことなかれ。自分にとっては自分が生み出し育てたキャラクターなのだから娘のようなものなのだ。
どこかで書いたことがあると思うが、生み出し育てたといえばLA-MULANAから登場している主人公ルエミーザ博士やその親父、長老もいる。けど彼らは自分でゼロから生み出したと言う気持ちになれない。と言うのも、ルエミーザはどう見てもインディージョーンズである。「遺跡を探検するゲームだから帽子被せてムチ振ろうぜ!」ぐらいのノリで決め、改めてインディーの服装など調べもせずノリだけで絵を決めた。だから上着の上にベルトを締めるというよくわからん格好になっている。何より、キャラクターデザインというよりは先に出来上がっているドット絵から絵を起こしている。つまり大して考えてデザインしていないのである。LA-MULANA1+2でルミッサと並べるとどうしてもディティール不足が目につくので新たに装飾を描き足したほどに。そういう意味で自分でゼロから生み出したキャラクターといえばムーブルクでありルミッサになるのだ。

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まずはムーブルクよ。
君をそもそも生み出したきっかけはLA-MULANAをWiiWareでリメイクする時にプログラマのduplexさんの「ウチのゲームにも洞窟物語のカーリーブレイスのようなヒロインが必要ですよ」という言葉に「う~ん、そうなのか~?」というノリで考え始めたことだった。
しかし完成したゲームに新たなキャラをねじ込むのはなかなか難しく、カーリーブレイスのように主人公の後をついてきて一緒に戦ってくれたり、途中ではぐれたりするドラマチックな展開もない。エンディングにも関わらな……いや、エンディングには意地で関わらせたんだ。しかしそれ以外はゲーム中ずっと同じ場所から動かない、ヒントをくれるキャラといいながら肝心な時にズレたことを喋るキャラどまりだった。

でも君はプレーヤーに愛された。
プレイ配信などを見ても特に用もないのに動画の締めには必ず君の元を訪れるプレーヤーがいっぱいいた。大概寝ていることの方が多いのに。
ゲームのNPCにも関わらず役に立たない、欲しい時に全くヒントをくれないなど、プレーヤーの思い通りにならない加減が人間臭さを出せていたのだろうか。すぐ寝るという特徴づけは、数千年眠りについていたのだから寝起きの悪さは尋常じゃないはずという冗談のノリでつけたものだった。そう言う意味でも作った自分が意図しないところで愛されて育ったキャラだった。

でもな。君の髪の毛描くのめんどくさすぎるんだよ。
デザインした時はLA-MULANAの時で第7の子はインディアン文明モチーフだったことからインディアンの頭の羽飾りを模した髪型にしたんだ。君を描くのはその1回きりだと思ってたからね。そういえば1の時とは2で顔つきも変わっちゃったね。今では安定して2の頃の顔で描けるようになったよ。でも2でも髪の毛めんどくさいよ。後リボンとストッキングもな。

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そして2の主人公を務めてくれたルミッサよ。
LA-MULANAをリメイクしている頃には構想があったためPVでウソネタとして登場させたのが最初だったな。描いたはいいがいまいち可愛くないと言うか主人公できそうなほど魅力はなかったな。それで改めて描いたのがKickStarterの時のこの絵だ。

これはピタリとはまったね。描いた本人は流し目でこちらを見ている、つまり目は開くとクリッと大きめの顔にするつもりだった(名残としてKickStarterのファッションアイディアの絵では目が大きい)。けどこれを見て外人が描いたファンアートではキツめのつり目で醒めたような目つきとして描かれてしまった。しかしその方が無口っぽくてLA-MULANAの主人公として向いてそうだ。と言うことでそれ以降は目つきの悪い娘として描くことにしたんだ。公式として何枚も描いてきたが笑顔で描いたことはほとんどない。それもあって初回特典のメモリアルサントラの絵や今回のトップイメージで笑わせておいたよ。

だけどそのキツめのイメージとゲーム内でのコミカルな動きがギャップとなってファンには人間臭く受け入れられたような気がするよ。主人公キャラはゲームでどのように動かされるかはプレーヤー次第だ。キビキビ動いてバタバタ敵をやっつけるルミッサもいれば、すべての罠に引っかかってぺったんこ続きのルミッサもいるだろう。そういえば親父と同じぐらいのハードな冒険をするんだから強い女性であるべきだとは思ってたな。そんな人それぞれのルミッサがありながらもメインイメージはツリ目の無口女のイラストだ。

どこかの動画のコメントで「ルミッサはいい主人公だった」てのを見た。何がどう良い主人公だったのかは生み出した自分でもわからない。さっき書いたように無口主人公として人それぞれの主人公として動いてもらおうとしてたから。でもきっと決定したデザインの意志の強そうな顔からゲーム内のイベントドット絵アニメは動きをつけてたんだろうな。そう言うところからも何か皆に共通するルミッサ像という根っこの部分ができていたのかもしれない。

でもな。君なんで首に星条旗巻いてるんだ。描くのめんどくさすぎるんだよ。
初期は左ももにも日本国旗とミックスさせた国旗貼り付けてたけど、こっそり描くのやめるようになってたんだよ。右袖の愉快な缶バッジも同様だ。
髪型も実はどうにもはっきりしていない。顔にかかる前髪は手癖で同じように描くようにはなったが、後ろ髪はボッサボサだな君。決定デザインを描いた時は絵に動きを出すためにぶわさっと広がった金髪のつもりで描いたんだよ。それを忘れて描くたびにただのボッサボサに書いちゃってたな。すまん。
そういえばKickStarterの時に外人女性から「ゲームのキャラが不必要な露出をする必要があるのか」って怒られたっけな。無視したけどな。いいじゃねぇかなぁ、胸大きいんだからそりゃシャツの前ぐらい開くよな。見栄はってサイズに合わない服着てるもんな。何がポリコレだ、勝手に胸元に注目してるのは自分だろうに。どうして袖からのぞく筋肉質な前腕を見てくれないのかねぇ。健康的な娘だよ君は。

LA-MULANAのプロジェクトが一区切りついたことで、もう君らを描くことは……まぁ落書き程度で描くことはあるかもしれないが公式絵素材として描くことはもうないだろうな。デザイナーとして人に見せるために考え抜いてデザインして、そしてあずかり知らないところで育っていった娘たちよ。
お疲れ様。君たちのおかげで自信がついたよ。

盛り上がるのであれば、もっともっと掘り返してみようと思います。