奈良マラソン2023
感謝
まずは、たくさんの方に応援サポート賜りましてありがとうございました。
大会開催にあたり、多くのボランティアの方、開催に尽力を賜りました皆様に感謝を申し上げます。
山口遥選手へのリスペクト
企業チームに属さず、同じようにフルタイムで働きながら、日本トップレベルで活躍される山口選手への憧れと共に、私たちNARA-Xの将来像を夢見ており、道標と思っております。
私たちが7-8位のW入賞したG1北海道マラソン2022。そこで優勝。MGC出場。
企業実業団でなくても、トップクラスで戦える。
そのモチベーションの原動力でもあります。
でも、奈良マラソン優勝するためには、絶対に超えないといけない大きな壁。
リスペクトでありながら、ライバルとして意識しなければいけない。
難しい問題でした。
奈良マラソン2023に向けて
チームで勝つ
通常、個人レースであるマラソンは、各々でタイムを狙うのか?順位を狙うのか?それぞれの目標で走る。
今回、NARA-Xは、「何がなんでも優勝」という目標なので、国別対抗戦以外では見かけない、チーム戦で挑み、走る選手の誰かが、最後に優勝のゴールテープを切ることだけを考えて、意思統一して戦略的に戦う方針を選んだ。
山口選手 vs NARA-X のみの構図をイメージした。
アニメで例えるなら「弱虫ペダル」のような戦い方。
その一方で、奈良のトップチームとして、最低でも2人を3着以内に食い込ませなければいけないとも考えた。
戦力分析
山口選手とNARA-Xエースの大井選手の自己ベストの差は約12分。
普通に1対1で戦えば、全く勝負にならない。
1本の矢では折れるが、3本の矢ならなかなか折れない。
幸か不幸か、今年の北海道マラソン、台湾マラソン、神戸マラソンと3本もNARA-X選手と被るレースがあり、いろいろとネットでは集まらない生の情報を収集させていただきました。
とある、マスコミの方にだけは、神戸の時にズバリ突っ込まれ驚きました。
山口選手のここ5年分ぐらいのレースデータと奈良マラソンの出場データを分析。
そこで得意なパターンと不得意なパターンがおおよそ見えてきました。
サッカーやバスケットを見て学ばせていただいた、得意なパターンに持ち込ませず、苦手をつくというマラソンではあまり見かけない戦術を使える準備をしました。
大まかな作戦
2人先行させて2人でプレッシャーをかけながら、1人を仮に先行部隊が潰れたときに、確実に3着をとれるように安全運転で少し後ろを無理しないマイペースで追走してもらう作戦を選手には、約1ヶ月前の神戸マラソン終了後に伝えました。
安全運転で確実に走れる選手がいるからこそ、安心して一か八かの先行勝負に出れる。そこが重要なポイントだと考えました。
レース直前の状態
思いの外、金沢組の疲労が抜けきらず、1週間前の段階では、イマイチでした。
神戸組は中3週間なので、もちろん疲労が残っており、危険信号でした。
4日前の最終調整では、3人とも想定内ぐらいまで持って来れていました。
やれることは全部やった。
レース当日
細かい指示
事前に過去の奈良マラソンのデータと直前1年間ぐらいのレースデータをもとに、おおよその5km毎の区間ペース想定タイムを共有していました。
更衣室からスタート地点へ向かうタイミングで、清水に「山口さんは、集団の前で引っ張るパターンが多い選手。清水も先頭で引っ張りたいタイプ。それなら、清水が前に出て気分良く走らせないで、かつ、レースペースを支配していった方がいいんでは?」と伝えた。
大樽には、大崩れしない安心安全な選手なので、安全運転担当をお願いした。
大井には、清水-山口さん-大井の隊列でサンドイッチしてプレッシャーをかけ続けながら、35kmで勝負。
スタート から前半戦
スタート直前、1人が話しかけて直後に涙。
あまりいい状態ではないことを悟った。
5km通過、こちらのイメージする完璧なレース展開をしてくれていました。
8km付近で1回目の声掛けポイント。若干、大井が遅れていた。
ここで、清水に「完璧な想定通りのレース」と伝えると共に、山口選手にチームで挑んでいるということを意識してもらい、プレッシャーをかけました。
※ゴール後聞いたところ、ひょっとしてチーム戦?とプレッシャーを感じたそうです。
15km過ぎまで、清水が完璧なレースメイクで先行。山口選手のスタミナを削り、プレッシャーをかけてくれました。
後で聞いてわかったのですが、ここで大井が遅れていたことで逆に、チーム戦できているということは、大井が猛追してくるというプレッシャーがかなりかかってたようです。
清水も遅れながらも30秒差ぐらいでキープ。
中盤戦
22kmで2回目の声掛けポイント。ここでのキーポイントは、4位集団。
15km時点では大樽が3名の集団で走っていた。
このポイントで先行部隊の情報を伝えたいが、集団だと先行部隊の情報が他の選手にも伝わってしまう。できれば離してきて欲しいと思っていました。
私の前を通過する時、大樽は思い通り、集団から抜け出し、約20秒離して通過してくれた。「先行部隊、少しヤバいから、3位狙いで追いかけてくれ」
もし集団で通過していたら、3位が見えてくるので勢いづけることになる。この情報だけは、他の選手には漏らしたくなかった。
そういう意味で、抜群にいい仕事をしてくれました。
25kmで3回目の声掛けポイント 私担当は最後
清水には、まだ見える位置、暑いから何が起きるかわからない。
大井には、このまま中途半端でいいんか?潰れても大樽がいるから、行けるところまで行け。
大樽には、後ろは安全圏。このまま安全運転で前を追え。
実はこの時点で、大樽の通過タイムが昨年2位の大井よりも速いことに気がつく。先行の2人は昨年よりも5分速いタイムで通過。この暑いコンディションの中、相当、無理して突っ込んでいるのが数値的にもハッキリした。
終盤戦
電車移動で奈良に戻る。25kmで約2分負けている。かなり厳しい状況。
奈良駅からロートFまで想定タイムでゴールするなら25分で移動しなければいけない。情報シャットアウトして、選手たちを信じて走った。
ロートFに到着すると、岡﨑マネージャーから35kmで大井が約1分差まで詰めたと顔を見るなりものすごい表情で報告してきた。そのまま、わたしバトンタッチして、坂の下へ向かっていった。
40km通過で差が詰まっていない。かなり厳しい状況。
そしてそのまま2位で大井がゴール。
安全運転できっちり3位を確保して大樽がゴール。
前半戦仕事をしてくれた清水が7位でゴール。
わたしの思い
3人で勝負しても勝てなかった。
しかも3選手が100点なレースをしてもまだ1分半も差があった。
トラック1周分。
やはり山口選手は強かった。大きな壁であった。
あらためて偉大さを知りました。
今回、清水には一番負担をかけて、一番しんどい役目をお願いして、申し訳なかったという思いと、30km以降の山口選手が止まり大井が猛追できたのは、間違いなく清水の先制攻撃が誘因した結果であり、最高の仕事をしてくれたMVPです。
普通に走れば、2-3位だったと思うが、犠牲にしてしまい7位と悔しい順位になりました。ごめんなさい。そして、ありがとう。
大樽が安全運転できる信頼が高いからこそ、大井清水が思い切り攻めることができた。堅実な走りは大樽の持ち味。完璧に任務を遂行してくれました。
そして、神戸マラソン通算4位4回で3位が取れない呪縛に陥っていると、みんなに突っ込まれていましたが、今回、見事3位。これで呪縛は解けた。
もっと上を目指そう。
最後に大井。
水曜日の練習が消極的な感じに変えていたから、あまり状態は良くないと思っていました。少し遅れながらも見える範囲で追走。後半猛追。
後一歩まで絶対女王を追い詰めた。昨年の10分差から1分半差。
でも、勝ちたかったよなぁ。
繰り返しになりますが、今回は何がなんでも勝ちたかった。
そして、戦力が揃っていた。
惜しい。でも、負けは負け。悔しい。
チーム全員がそれぞれの持ち場で100点の仕事をしても勝てなかった。
それだけ強い選手なんです。
同じ作戦は2度と使えない。次は自力で勝負できるぐらいベースアップに努めていきたいと思います。
最後に
本日は、奈良サポさん中心に奈良スポーツチームが一体となり、また、「だいたい奈良」な皆様も含めて、大応援ありがとうございました。
完全なホームで戦うことができました。山口選手陣営もアウェイを走りながら感じたと話されていました。
これだけ多くの方に応援していただき、マラソン応援の新しいページを加えていただいたように感じます。1秒1秒削っていただきました。
ありがとうございました。
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