友人を使う


あまちゃんだなあと、思う。20にもなって、自分なりの修羅場も潜り抜けてきて、まだ幼い子どもみたいな甘ったるい精神性である。いろんなことを知ったら、辛い経験をしたら、人間性や価値観ってものはオートに深くなると思ってた。そうじゃなかったね、ほんとはなにも、教授にそそのかされて茶道体験教室に行かなくたって、心を病んでまでコンカフェで働かなくたって、なんなら大学なんか行かなくったってよかった。ヒントは与えられていたのに、私は何も学んでいない。そんな自分が狂おしいほどに気色悪いと思う。癪に障る人間を見た時にムカついてムカついて、舌打ちして虐めたくなるようなあの気持ちは多分、その人のことが嫌いなんじゃなくて、自分の中の嫌悪感の投影だと思う。あんまり変わんないか。

学べるチャンスなんて、いっぱいあったのにね、友達じゃない、なんて呼べばいいのか分からない、i。ねえ、俺さ、俺さ……やっぱキモいよな。忘れられないんだよ、昔仲良かった友達とかさ……。当時はインスタもLINEも監視してた。いろいろ言われたよ、冗談だけどね、犯罪者予備軍とか、ストーカーとか、不審者とか。だからね、あぁ、本当に仲が良くてしかも価値観が近い友達以外には、私のこと、ぜったい教えちゃだめなんだって。でも、特定される方が悪い、ってのは冗談だけれど、皆の住所とか、ffの変遷とか、誕生日とか、知れるのが嬉しくて、安心してさ、その割に、家族構成とか、好きな物とか、本人に関することは知ろうとしない、知っても覚えられなくて、なんかさ、興味ないんだろうね。気持ち悪いよね。
監視してた昔の知り合いの事、昔の友達に伝えたら、気味悪がったのかな、ブロックされちゃった、そう、この前の子。r、俺気持ち悪かったかな、気持ち悪いよね、わかる、わかる。
失敗したな、と思ったよ。何年まともに話もしてない人間のこと追ってんだって感じだしね。あーあ、失敗しちゃった。やっぱり私は受け入れられない子なんだ、気持ち悪い、他人のこと監視して、自分の寂しさとか支配欲とか満たすのに使って、マジで気色悪い。ストーカーって、まじで怖いからね。でもさ、私が悪いのかな。SNSなんて誰が見てるかわからないの当たり前じゃん。みんなガード緩すぎじゃないかな。だから私なんかにつけ込まれるんだよ。セカンドレイプみたいな思想だ。気色悪い。絶対に振りかざさないようにしないと。してるよ。してる。ほんとう。気をつけてるとかいうレベルじゃないし。だってこんなこと言ったら嫌われるの分かってるし、自分だってこんなこと言ってる奴はヤバいと思うし、だけど自分も心のどこかでそう思ってる。だけどだけどやっぱり“決して見せてはならないもの”だと強く知っているから、深く埋め立てて、他人の前ではなかったことにしている。そうして自分も他人と同じように、正常だと思っている。合っている。それが“無い”間は。でも、ある。だから、間違っている。相手の見ている私と、私が思う相手の見ている私は、違う。私は、隠しているけれど、隠していると思っていない。ねえ、伝われ。いいや、言葉になれ。相手に自分の全部が受け入れられていると思い込んだまま、受け入れられないであろう部分を相手から無意識に隠して、笑っている。

だから、ミスると、あぁ、やってしまった、と思う。自分でも、隠しているつもりなんてなくて、でもそれが一番結局、うまく隠せる方法で、自分にとっての当たり前と、相手にとっての当たり前が違うなんて、いちいち考えてたらおっかなくて生きていけないから、無意識のチューニングに身を任せて、ふんわりと香る相手の価値観に埋没して、相手の価値観に似た言葉と態度を自分の中から絞り出して 私が望んで得たものより、相手の雰囲気を推測して、私は私を作っていく。相手は相手の望んで得た自分を演じているのに、私は私の望んでいない、じゃあ誰が望んでいるの?相手も望んでいない、誰も得しない、自分が好きでさえない自分を、勝手に作っていく。自分のなさを作っていく。薄っぺらくてコロコロ変わる気持ち悪い自分のなさを。ペルソナってやつを。

ペルソナに埋没しきって自分を正常だと思っている仮面の表層意識と、自分を隠している後ろめたい身体の無意識。

自分のない子。自己中。自分勝手。幼い。「これじゃダメだってわかってて、しかもそれが自分のせいなのに行動できない気持ちがわからない。」
痛い痛い、刺さる、何年経っても刺さるよ、iの言葉は。嫌いだ、5年も前の言葉に嫌いだとかなんとか思ってる俺が一番気持ち悪いね。どうしてこんなんなっちゃったんだろね。問いかけてる場合か?変わる気なんてないんだろう。受け入れられたくて縋っている醜い乞食、愛情乞食。自分から吐き出される言葉が気持ち悪い。何も書くなよ、もう。


美味しいお酒でも飲みます。