いのり


“襲ってきた”ときの毎分毎秒が、
俺が吐き出した幾千幾万の文字が、
君にとってのふと1秒でありますように

俺が息を殺して丸まっていた一晩を
君はひと息に眠っていますように

この目を貫く哀しみさえも君の温度に溶けいって
あばらに回る手の重みには俺の明日まで支えられた

俺の貧しく弱い体が君にとっての花束ならば
美しさなどとうに捨てても、
せめてせめては枯れぬよう

体をまわる薬も酒も、
君の幸せを害さぬように
この唇からただのひとつも、
息苦しさが伝染らぬように

 





届け 届くな どうか俺の一人芝居で
君は今日も忙しなく眠り、明日も無知に俺を救い
この恋文も、引き出しの奥でただ古びていくよう







神様

かみさま



このいまに光をくれた彼にもまた、祝福を
誰にも到底、成しえぬような祝福を





とわに溺れてささやかに喘ぐは、神と、世界と、彼に、祈りを。指先で虚構を綴り続く、

卑怯な俺と、俺を選び いだいた彼に救いを。










ああ、きっとまた君は私を心配するだろう
君が心配することなど何も無い それは杞憂だと伝えよう 君の前なら笑っていられる

そうして君の杞憂が本当にそうでありますように
私の杞憂も本当にそうでありますように

美味しいお酒でも飲みます。