五月、青色



五月、初夏、風の匂いと君の青い色を
君の横顔に見た 長い髪がそよいだ

君がいつかいなくなったから
わかってたから
消えないように心に穿った
それでも

遠ざかる、君が詩に成っていく

青も忘れた僕に
風も吹かぬ夜を
淀んだ道で転んで
暗い部屋で何かを見ていた
閉めたカーテンも、馬鹿みたいだよな



いつも愛なんか知らずに
笑っている未来が嫌いだったから
だから過去に縋って

遠ざかる君よ、詩に成っていけ

愛も忘れた僕に
風の匂いがする
コンクリート造りの一室も
胸が張り裂けるような青も
もうどこにもないのに
同じ匂いが
遠い君の匂いが

君が世界だった青い日々に染めた
たおやかな百日紅と日差し
揺れる白いカーテン



風だけがどこにいても
君を運んできてしまう








美味しいお酒でも飲みます。