街路、蛍光灯


いかないで
いってもいいよ
もう時間だ 会ったばかりなのにね

さよならもしないまま

いつか心を欠くために
名も知らぬ君を待っていた

咲くやこの花、温く訪れた春は夜
街路、蛍光灯の下
永遠に明けぬこの夜と、俺の影よ君の瞳へ


いかないで
いってもいいよ
もう時間だ 君が始まるから

ここにはもうもどらずに

通りすがりの一夜と
群青の影に俺を置いて

咲くやこの花、明けに匂うは春の朝
俺の心臓を持ちさるのならば代わりに、
永遠に消えぬ、ささやかな切り傷を君の胸に



いかないで
いかないでほしかった
薄明の光差す君の、消えぬ影になりたかった


美味しいお酒でも飲みます。