スターチスの花に水をまく/30:塔
今日もわたしは昨日と同じように技術と学問の塔に登る。これからも登ることもあれば下ることもある。そういう今までと変わらない日々が続くのだろう。
「おはようございます」
「おはようアデール」
「……なにかトラブルでも?」
最上階の扉を開けると既にガスパルが仕事をしていた。思わず窓の外を確認してしまう。まだ薄暗いから、私の通勤時間が遅かったわけではなさそうだ。しかしガスパルはいつものように穏やかな顔で書類をさばいている。
「いやあ。アデールを見ていたらわたしも頑張らなくてはいけ